【和訳】A.D.H.D.

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この曲の和訳を探してみたところ
見当たらなかったので
挑戦してみました!




Kendrick Lamar - A.D.H.D.





~リリックと和訳~


[Hook]
Fuck that
8 doobies to the face
Fuck that
12 bottles in the case
Nigga, fuck that
2 pills and a half weight
Nigga, fuck that
Got a high tolerance
When your age don't exist

どーでもいい
ジョイント8本
どーでもいい
ケースにはボトル12本
どーでもいい
錠剤2錠とコカイン
どーでもいい
歳なんか気にしなければ
落ち着いていられるんだ(※1)


[Verse 1]
Man, I swear
My nigga trippin off that shit again
Pick him up, then I set him in

まじかよ
また友達が騒いでる
俺はそいつを起こして落ち着かせる(※2)

Cold water, then I order someone to bring him Vicodin
冷たい水とヴァイコディンを誰かに持ってこさせる(※3)

Hope to take the pain away
From the feeling that he feel today

そいつが感じてる痛みを
ちょっとでも和らげようと思って

You know when you part of Section 80
Feel like no one can relate

セクション80に属する以上
一人ぼっちに感じるもんな(※4)

Cause you are, you are
A loner, loner

だってみんな、みんな、
孤独だから

Marijuana, endorphins
Make you stronger, stronger

マリファナやエンドルフィン無しでは
やってけないんだ

I'm in the house party trippin off
My generation sippin cough syrup like it's water
Never no pancakes in the kitchen

このハウスパーティーはどうも落ち着かない
俺らの世代は咳止めシロップを水みたいに飲むし
パンケーキすらも出されない(※5)

Man, no wonder our lives is caught up
In the daily superstition
That the world is bout to end

世界がそろそろ終わるっていう迷信に
俺らが囚われるのも
無理はないな(※6)

Who gives a fuck? We never do listen
Unless it comes with an 808
(A melody and some hoes)

808のビートに乗せない限り
誰も耳を傾けない
(メロディーといい女)(※7)

Playstation and some drank
(Technology bought my soul)

プレステと咳止め
(テクノロジーに魂を売った)

Looking around and all I see
Is a big crowd, that's product of me

周りを見渡せば人、人、人
みんな俺の産物だ

And they probably relatives
Relevant for a rebel's dream

きっとみんな仲間で
この反逆者の夢に賛同してくれてる(※8)

Yep, her president is black
She black too

大統領は黒人
彼女もまた黒人(※9)

Purple label on her back
But that tab
Is light blue

背中には紫のラベル
でも飲むのは
ライトブルーのやつ(※10)

She take it straight to the head
Then she look at me

She got AD-HD
それを口に持っていって
それから俺の方を見る
こいつ、ADHDだ


[Hook]


[Bridge]
Like woah oh oh woah (x4)
(Don't got a limit just gimme some more with it)
(Don't got a limit just gimme some more with it)
(They always told me ADHD did it)

うぇーいうぇーい
(限界なんて無い、もっとくれ)
(限界なんて無い、もっとくれ)
(みんなADHDのせいだって言うんだから)


[Verse 2]
And then she started
それからその子は

And then she started
Feeling herself like no on else in this apartment

このアパートの他の誰でもない自分に
自信を持ち始めたんだ(※11)

Beg your pardon
Oh I rap baby, how old are you?

「え、何?
俺はラッパーだよ。いくつ?」

She say 22, I say 23
Ok then we all crack babies

その子は22、俺は23
「じゃあうちらクラックベイビーぢゃん」

Damn, why you say that?
She said where my drink at?

「おいーそれ言うかよ」
「あたしの飲み物わ?」

I’mma tell you later, just tell your neighbors
Have the police relax

「そんなの後でいいから
近所の人に警察呼ばないよう言っといて」

I stood up, shut the blinds
Closed the screen, jumbotron
Made it to the back, where she reside

俺は立ち上がってブラインドを閉めて
でかいテレビを消して
そいつのいる方に向けないようにした

Then she said, read between the lines
「ねぇ、空気読んでよ」

Yep, hope that I get close enough
When the lights turn down

電気を消せば
合体できるといいな

And the fact that she just might open up
When the Nuvo start to drown

ヌーヴォが回ってくれば
体を許してくれるだろ(※12)

Her body and I, know the both of us really deep in the move now
この子と俺、お互い深くまで知っちゃったな

It’s nothing we can do now
もうどうすることもできない

Somebody walked in with a pound
Of that Bay Area kush

1ポンドのベイエリアのハッパを持って
誰かが入ってきた

She looked at me then looked
At it, then she grabbed it
Then she said, get it understood

彼女は俺を見て
それを見て掴んで言った
「分かるでしょ?」

You know why we crack babies
Because we born in the 80's
That ADHD crazy

なんで俺らがクラックベイビーかって
80年代生まれだからだよ
ADHDってのはもう…


[Hook]


[Outro]
You can have all my shine
I'll give you the light

コカイン全部あげるよ
火もあるよ

Double cup, deuce, four, six
Just mix it in Sprite

咳止め2, 4, 6オンス
スプライトに混ぜて

Ecstasy, shrooms, blow, dro, hoes
Whatever you like

エクスタシーでもキノコでもアッパーでも草でも女の子でも
お好きにどうぞ

You can have all my shine
I'll give you the light

コカイン全部あげるよ
火もあるよ




~解説~


※1
この曲は、Kendrick Lamarが、自分達の世代(彼が言うところの"Section.80")を描写したものです。彼らの生まれた80年代、米国はロナルド・レーガン政権下にあり、クラックブームと呼ばれる社会問題が起こっていました。クラックとは、パイプなどで吸引できる状態にしたコカインのことであり、これが若年層・貧困層を中心に蔓延していたため、この時代にそのような親から生まれた子供達は「クラックベイビー」と呼ばれることもあります。クラックの胎児への影響については、幾つかの論争がありますが、クラックベイビー達は、ただそれだけの理由で世間から見限られている一面があります。
また、この世代のもう一つの特徴として、ADHD(注意欠陥・多動性障害)患者の多さが挙げられます。本当にそのような子が増えたのか、発達障害への理解が進んだ結果として患者数が増えたのか、診断基準がおかしいのか、定かではありませんが、ADHDには強力な向精神薬が処方されることが多く、この薬欲しさに精神科へと足を運ぶ若年層も少なくないそうです。
このようなことを背景に、Kendrickの世代のアティチュード(考えることを嫌う、パーティーを好む、遊びに酒やドラッグを多用する…)が、この曲では描かれています。

"Fuck that"は"Fuck thought"とも聞こえるように発音されています。これはまさに、彼らの世代のアティチュードを象徴する2語と言えるでしょう。
ジョイント…マリファナのジョイントのこと。
ボトル12本…ビールではなく、ジンやウォッカなどのリキュールかと思われます。
錠剤…向精神薬のこと。
"when your age don't exist"の"age"は"H"にも聞こえるよう発音されていますが、ADHDからHを除くと…そう、ADD(注意欠陥障害)となります!


※2
Kendrickはあるハウスパーティーに参加しているという設定で、そこにいる人物を描いています。

"I set him in"が"acetamin(アセトアミノフェン。解熱鎮痛剤の一種)"とも聞こえるように発音されており、次の"take the pain away"に繋がります。




※3
ヴァイコディン…ヒドロコドンとアセトアミノフェンとを合わせた薬で、痛み止めとして用いられます。




※4
クラックベイビーとして社会から見限られた彼らは、どこか孤独感を感じるということのようです。


※5
咳止めシロップを多量服用すると、多幸感が得られるそうです。マリファナや他のドラッグよりも入手が容易なことから、米国のティーンエイジャーの一部で流行っていますが、依存性が高く危険なので、ダメ、ゼッタイ!
パンケーキがここで登場するのは、シロップとの関連性からです。




※6
2012年に地球が終わるとか人類が滅亡するとかいう、あれです(この曲は2011年のもの)。


※7
これまたKendrickの世代に特徴的なアティチュードです。ヒップホップの商業化については多くのことが言われていますが、リスナー側にも、トラックにノれなければ聴かない、PVにセクシーなお姉さんが出ていなければ聴かない、といった問題があります。


※8
この反逆者…Kendrickのこと。


※9
ここで新たな人物が登場します。ハウスパーティーに参加している女の子です。


※10
ライトブルー…ADHDに処方されるアデラルのことですが、若年層はパーティー・ドラッグとして用いることも多いです。




※11
女の子は、アデラルを服用したことで気分が高揚し、Kendrickに話しかけるだけの勇気が持てたようです。


※12
ヌーヴォ…ウォッカやシャンパンなどから成る、ピンク色の女子向けのお酒。






~その他~


爽やかなトラックとは裏腹に
メッセージ性が強いこの曲。


Kendrickのライブでは
最も盛り上がる曲の一つです。


この曲を多くの若者に聴いてもらえるよう
トラックを聴きやすいものにしたという
Kendrickの意図も感じられます。


これだけ自分の世代を鋭く風刺しながらも
どこか仲間意識さえ抱いているような
印象を受けるのは自分だけでしょうか?


自分の世代の問題を
それだけで片付けるのではなく
レーガン政権に端を発する問題として
世間に訴えている気がしてなりません。


この先彼はどこに向かっていくのか
注目ですね!


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