『鳴風荘事件:綾辻行人』人を愛するが故に起きた哀しい物語をおすすめします
今回ご紹介するのは、綾辻行人さんの「鳴風荘事件」。
綾辻さんといえば、新本格ミステリブームの先駆け的存在ですね。
「十角館の殺人」からはじまる館シリーズ、映画やアニメにもなった「Another」が有名です。
作品のクライマックスに、あっと驚く展開を用意するのが得意な綾辻さん。
だけどこの、「鳴風荘事件」はちょっと毛色が違います。
まさに、本格ミステリのど真ん中を射抜くような1冊のご紹介です。
以下、amazon商品説明より一部引用
奇天烈な洋館に集まった人々は目を疑った。六年前に殺された女流作家そっくりに、その妹が変貌していたのだ。そして姉の事件と同じ月蝕の晩、惨劇が彼女を襲う。"不思議な力"を持っているという黒髪を切られる手口も酷似して――。
あらすじ
全ての始まりは、6年前の殺人事件だった。
友人である夕海と久々の再会を果たした大学生の美雪。
美雪は、夕海の姉である紗月が新進気鋭の女流作家、兼イラストレーターで、
更に未来を見通す不思議な力があると知り、彼女との面会を夕海に頼み込んだ。
渋々といった様子でそれを了承した夕海と共に、紗月の部屋を訪れた2人。
そこには血まみれで倒れている紗月の姿があった。
6年後。
中学時代の美術クラブのメンバーで埋めたタイムカプセルを掘り出そうと、
当時の教諭であった青柳の家へ集まった同級生達。
美雪も、夫の双子の兄である響を連れ参加する。
1人遅れてやってきた夕海の姿に、一同は戦慄した。
彼女は6年前に殺された姉、紗月そっくりの姿になっていた。
同級生の1人が、青柳邸の近くに別荘を構えているというので、そこへ宿泊することになった一行。
その夜、夕海が、かつて姉が殺されたのと同じような手口で惨殺される。
果たして犯人は一体……!?
全ての真相が明らかになった時、一同は、犯人の哀しい事実を知ることになる。
感想
とても良い意味で、綾辻さんっぽくない作品でした。
普段の綾辻作品の特徴である「驚き」というよりも、トリックに重きをおいた作品です。
そして、読者に対し十分なヒントを与えた末の、「読者への挑戦」もあります。
トリック自体の予想は、そう難しいものではありません。
だけど、犯人の正体や、その動機など、事件の全貌を明らかにするのは、なかなかの難易度ですよ。
しっかり文章を読み込んで、綾辻さんと知恵比べをしてみてはいかがでしょう。
読了感は、東野圭吾さんの「容疑者xの献身」に似たものがありました。
人を想うが故に起きてしまった哀しい事件。
みなさんも、味わってみてください。
まとめ
「読者への挑戦」がついたミステリ小説です。
トリックと、犯人、その動機について、著者と知恵比べしてみてくださいね。
1995年に初めて世に出た物語ですが、2016年現在に読んでも、全く色褪せない作品です。
綾辻作品が好きな方にはもちろん、ミステリが好きな方は、ガッツリ楽しむことのできる1冊ですよ。
最後に
最後まで読んでくださりありがとうございます。
今日のオススメ本、いかがでしたか?
こんな時に読む本をお勧めしてほしい。などあれば、コメント等でお知らせください。私、とても喜びます。
読んだ感想などお聞かせいただければ、これもまた、とてもうれしいです。
ぜひ私と、読書体験を共有しましょう。
目的別おすすめ度
泣ける:★★★☆☆ 3
ミステリ:★★★★☆ 4
関連記事
この本が気になったあなたにおすすめするミステリ小説、4選
サスペンス色のある綾辻作品:緋色の囁き|綾辻行人
綾辻さんの名づけ親:占星術殺人事件|島田荘司
館シリーズはこの作品があったからこそ:グリーン家殺人事件|ヴァン・ダイン
いちおしミステリ:葉桜の季節に君を想うということ|歌野晶午
次回の記事を読む
現在準備中
前回の記事を読む
まほろ駅前多田便利軒:三浦しをん|感想・評価【第135回直木賞受賞作】 - 目的別推し本
twitter始めました
更新情報などお知らせします。フォローお願いいたします。