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 政治外交関係が事実上凍結状態にあるイスラエルとトルコが26日、関係を正常化する和解案に合意した。両国メディアが同日報じた。両首相が27日に正式に発表する。中東の軍事大国イスラエルと、地域大国トルコの関係改善は、シリア内戦にも影響を与えるとみられる。

 両国の関係悪化の発端は、2010年5月に起きたガザ支援船拿捕(だほ)事件。イスラエルの封鎖が続くパレスチナ自治区ガザに支援物資を届けようとしていた6隻の船に対して、イスラエル軍が強行突入し、トルコ人の人権活動家ら9人が死亡した。トルコはイスラエルに謝罪や賠償、ガザの封鎖解除を求めたが、イスラエル側は反発。それまで比較的良好だった両国の関係は、一気に冷え込んだ。

 イスラエルの有力紙ハアレツによると、和解案には①トルコが事件に関する全ての訴訟を取り下げる②イスラエルが遺族への補償基金に2千万ドル(約20億円)を払う③互いに召還していた大使を再び任命する――などを盛り込む。ガザの封鎖解除は含まないが、トルコが支援物資をイスラエル経由でガザに運び、病院や発電所を建設することも認める。

 今回の和解の背景には、トルコが昨年11月、ロシア軍機を撃墜し、ロシアとの関係が悪化した事情がある。トルコは、米国の重要な同盟国であり、エネルギーの安定供給も可能なイスラエルに接近。イスラエルもトルコに天然ガスを輸出したい思惑があり、関係改善へ向けて協議していた。(エルサレム=渡辺丘、イスタンブール=春日芳晃

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