ひらめきの月曜日
2016年6月27日
バンドの方のキッス顔で恐縮です。
未だに現役のレジェンドバンド、キッス(KISS)。誰しもがそのヴィジュアル、そして音楽に一度は触れたことがあるだろう。彼らがいなければ聖飢魔IIも人間椅子も存在しなかったかもしれない。
私はキッスをあまり聴いてこなかったのだが、今更ながらとてもかっこいいことに気が付いた。1973年に結成されたバンドだから本当に今更なのだが、今更ついでにあのメイクをしてみたいと思った訳だ。 要するにメイクのハウツー記事です一見簡単なものほど難しいのはすべての世界に共通する真実。あのシンプルかつインパクトのあるメイクも、やってみるとさぞや奥が深いのだろう。
そこで美容の専門学校で技術を磨き、バンドのメイクなども担当していた坂田さんに、その方法を教わることにした。 メイクをするのが一人だと寂しいので、プープーテレビなどでおなじみの宮城マリオさんにも来ていただいた。 右がメイクを教えてくれる坂田さん。宮城マリオさんにはジーン・シモンズが似合うと思うんですよ。
以前、『ヴィジュアル系バンドメイクに挑戦』という記事でも坂田さんに協力していただいたが、あれはすべてお任せのお大尽コース。
今回の肝は自分でメイクができるようになること。自分で自分を変えられてこそのメイク。いつでも好きな時にキッス顔ができるようになったならば、後日ライブをやろうという魂胆だ。 宮城さんが一番左のジーン・シモンズ、私が一番右のポール・スタンレーに挑戦します。
「ぼく、このメイクならしたことあります!」と宮城さん。キッスのピーター・クリスかと思ったら聖飢魔IIのジェイル大橋代官。
必要なメイク道具について本物のキッスみたいな大御所ならともかく、バンドマンがメイクをする場所といえばライブハウスの楽屋だろう。
そこでなんとなく楽屋と似た雰囲気の場所ということで、カラオケボックスで講習会を開いていただいた。スーパーマンが電話ボックスで着替えをするイメージだ。 「準備している間に一曲いいですか?」とエアギター。
キッス顔になるために一番必要なものは、顔に塗る白と黒のなにか。高校生の文化祭なら迷わず絵具かポスターカラーでやるとこだが、坂田さんによると三善という舞台メイクの専門メーカーが出しているものがいいそうだ。
なるほど、キッスは使ってなくても、カブキロックスは使っているかもしれない。 グリースペイントというファンデーション(油性)の白、そしてライニングカラーの黒を購入。小さな入れ物で800円とそこそこ高いが、ここでケチってはいけない。 今回は2色だけだが、マネしたいメンバーが他にいるなら、その顔色に合わせてシルバーやグリーンなどを用意すること。 用意したのはこちらになります。一式そろえて3000円くらい。
そのほかに、真っ赤なリップ、ベビーパウダー、アイライナー、パフ、鏡など。これらは100円ショップやドラッグストアで適当に購入。
リップクリームを買うのも微妙に恥ずかしいくらいなので、真っ赤なリップ選びはとても恥ずかしかった。 「このカツラ、ポール・スタンレーとはちょっとイメージが違いませんか?」
「卑弥呼さまー!」とハイキングウォーキングのモノマネをしたくなる真ん中分けのストレートだった。
フリマアプリで適当に購入したカツラは、おもいっきり失敗だったようだ。
■ステップ1:顔の脂を落とすまずはメイクの前に、顔の脂をしっかりと落とす。脂ギッシュなおじさん世代は(私のことだ)、これをしないとファンデーション(ドーラン)の乗りが悪くなるそうだ。
水道があれば洗顔すればいいし、なければメイク落としシートなどでしっかりと拭き取る。 100円ショップで購入したメイク落としシート。
喫茶店などでおしぼりを出された際に、顔まで拭きたい気持ちをどうにか抑えているのだが、今日ばかりはたっぷりと拭いていいのだ。
「ひんやりして気持ちがいいなー」と、外回りの途中でルノアールに入ったみたいに。
三善のドーランさえも弾き返す鼻の脂をしっかりと拭き取ろう。
■ステップ2:模様の下書きをする顔の汚れを落としたら、なりたい顔の写真を見ながら、黒のアイライナーでざっくりと下書きをする。
ちなみにアイライナーとは、瞼に線を引いてアイラインをはっきりとさせるもの。要するに鉛筆みたいなものだが、芯が柔らかくて顔に絵を描きやすい。 アイライナーってかっこいい名前だなー。
先生役の坂田さんはジーンとポールの一人二役をやってくれるそうです。
自分の顔になにかを描くという背徳感。なんだかもうドキドキする。ごめんなさい、おかあさん。
複雑な形となる宮城さんはともかく、私は星を書くだけなので簡単そうなものなのだが、これがなかなか難しい。 平らな紙に書くのと違って立体だし、鏡に映った自分の右手が思い通りに動いてくれない。描こうとした顔が無意識で動いてイラッとする。止まってろよ俺の顔。 ピンなどで髪を止めるとやりやすいです。
ジーン・シモンズ役は大変そうですね。
■ステップ3:白い部分を塗る続いては白のファンデーションをパフにとって、顔に塗っていく作業。
私は当然のように丸いパフを買ってきたのだが、こういう作業の場合は四角いスポンジタイプがいいそうだ。 この直線部分や角っちょをうまく使い、下書きに合わせて塗っていく。 こういうタイプのパフを用意してください。
塗る時のコツは、トントントンと顔を軽く押すように塗っていくこと。グイっと滑らせるように塗ってしまいがちだが、あくまでトントンが基本。
そしてムラは気にせずにどんどんと塗って、二度、三度と重ね塗りをしていく。 パフにとるファンデーションの量は、なるべく少量ずつが基本。ベッタリ塗ってしまうと、逆に顔のファンデを持っていってしまうのだ。 パフの角をうまく使えば、複雑な形でもうまく塗ることができる。
ムラは気にせずに、トントントンと塗り進めよう。
パフでは塗りにくい目元部分は、筆や綿棒などにファンデーションをとって塗るのだが、目の周りをいじるのはとても怖い。
「キワッキワまで攻めてください!キワッキワ!」と、坂田さん。 まぶたは閉じた状態で塗るのだが、私はウインクができないので、片目を閉じて、もう片方の目で見ながら塗るという技ができなくて悔しい。 坂田:「もっと!もっとキワッキワまで!」
いったん鏡を持ち上げて、見る角度を変えると塗りムラがよくわかるそうです。
なんだかキッスじゃなくて、ニューロティカ(画像検索結果)に近づいている気がしてきた。
■ステップ4:ベビーパウダーをはたく厚塗りしたファンデーションはペタペタするので、ベビーパウダーで鼻やほっぺをパタパタとはたく。
これによってムラとテカリが抑えられるし、多少は汗にも強くなる。また指などで触ってしまったときに落ちにくい。 少量をティッシュにとってから使う。
左ジーンの右ポール、左ヒラメの右カレイみたいなことを言いたくなるメイクだ。
空調の効いたカラオケボックスではあまり必要ないかもしれないが、汗だくになって動き回るライブのことを考えれば必須だろう。
遊んでいるだけのように見えるが、一応ライブを想定しているのである。
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