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13:36
「半分に割っても結局最終節までもつれるのか…」

相変わらず最後まで予断を許さない優勝争いを演じるJリーグには、薄っすらとシナリオ班の存在も感じられます。2016年のファーストステージ、優勝を争うのは2009年以来のリーグタイトルを狙う鹿島アントラーズと、J1としては初のタイトル獲得を狙う川崎フロンターレ。

前節の時点では「川崎が優勝を決める可能性があります!」ということだけが連呼されていましたが、終わってみれば川崎分け・鹿島勝ちでの首位交代。「やっぱり」「こうなる気がしてた」「川崎を勝たせまいとする謎のチカラうんたらかんたら」という声の数々。こうなってしまうと鹿島が負ける姿は想像できませんが、「鹿島が勝たないかも…」という一縷の望みを託しての最終節です。

3万を超える大観衆が優勝決定を見守る鹿島スタジアム。対するは今季昇格したアビスパ福岡。「昇格組か…」「こりゃあさすがに厳しいかもしれんな、最下位だし」「首位と分け以上に持ち込むのは難しいだろう」との声も上がります。(※神奈川県川崎市方面からのみ「福岡は結構強い」「首位と言えども油断はできない」「首位転落あるかも?」という小さな声アリ)

そんな少数の期待の声を受けて、奮闘する福岡。前半5分には右サイド金森からのクロスを受けたウェリントンがボレーで狙う決定機も。NHKのアナも「今日は昌子がいません」情報や、「(福岡は)前節はあっという間に2点決めました」情報を繰り返し、わずかな可能性の存在をお知らせしてきます。

↓サッカーダイジェストも「川崎フロンターレ優勝記念号」を準備して、全力で優勝待機!

現在、鋭意制作中だと思います!

表紙画像は大久保が仰向けになって寝てる写真の予定!


しかし、10分もすると福岡側の勢いは落ち着き、鹿島がゆったりと試合を支配し始めます。両サイドをワイドに使い、滞ることなく前線に運ぶこなれたチームの連動。ひとたび相手ゴール前でボールを持てば、ドリブルの仕掛けで「抜いて決める」という強い意識。こねて持ってもミスするだけという割り切りが小気味よさを生んでいる。

そうした積極性をタイミングよく引き出すキャプテン小笠原からの配球。ときにはチームを落ち着かせ、ときには思い切った飛び出しを引き出し、単なるベテラン以上の存在感でチームを牽引しています。世間的には2009年からリーグ優勝がないなどというイメージはまったくないのですが、「タイトルを知る」という意味でも貴重な存在。盛り上がったり、さわいだり、落ち込んだりすることなく、ただ勝つ…そんな鹿島らしさを体現する仏頂面が今日は一段と頼もしい。

↓そして前半27分、右サイドのCKに山本脩斗が合わせて鹿島先制!


あえて外にいた山本の飛び込み!

その手前で相手DFを押しやって飛び込むスペースを無理やり空ける動き!

狙いすましたセットプレーで先制!


↓おめでとう!J1第1ステージ、優勝は鹿島アントラーズ!!

※失礼、まだ先制したところまでの話でした。
※1点で決まるかなーと早合点しました。
※勝てば優勝の試合で鹿島が負けるイメージもなかったので。


↓つづけざまの前半37分、今度はカウンターから怒涛の攻めで最後は土居が決めてアントラーズ2点目!


自陣から相手のエンドラインまで駆け上がる攻め!

次々に選手が追いかけてくるカウンターへの意識!

「ここぞ」を逃がさない鹿島の強さ!


↓おめでとう!J1第1ステージ、優勝は鹿島アントラーズ!!


※失礼、まだ2点リードしたところまでの話でした。
※でも、もう決まりじゃないですかね。
※川崎もハーフタイムに途中結果見て諦めると思います。

J1ファーストステージ 川崎フロンターレ優勝記念号 ベースボールタイムズ 2016年 7月号増刊 【雑誌】

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苛立つウェリントンを相手に口撃を放ち、そのまま胸で突き倒されるという小笠原パイセンの頼もしいキャプテンシー。あわよくば相手の苛立ちによってさらなるアドバンテージを引き出せないかという、勝利への徹底した詰め具合。「優勝やー」などと浮かれた様子はこのチームに限っては一瞬もない、気がする。実際はあるのかもしれないけれど、そういう気配で何かを取りこぼすことはないので、ないような気がする。

前半終了間際にはDFラインでのボールまわしを始め、危険な時間帯を徹底的に潰すあたりも鹿島ならでは。最後は自分たちの攻撃が終わったところでキッチリと前半終了するなど、アディショナルタイム用の時計でもついているんじゃないかという動きで、優勝への残り時間稼ぎタイムを45分に縮めて前半終了です。

↓ここで、頻繁に場内広告でもお誘いが表示されるカシマサッカーミュージアムの様子をご覧ください!

看板も優勝慣れしてる感じが満載だなwwww

「勝ちましたー」くらいの顔wwww


残り45分のカウントダウン。それでも鹿島は手を緩めることはありません。「ウチにとっては大事なタイトル」「獲れるタイトルは全部獲る」「それが鹿島の伝統」という貪欲な勝利への意識。遠い記憶では去年の今頃は「年間優勝以外は興味がないし、俺たちの無敗完全優勝で2ステージ制をぶち壊す」みたいな空元気が渦巻いていたような気がしますが、やはり「勝ちたいです!」という素直な人にこそ勝利を与えたいというもの。

そしてアントラーズにはただ勝ちたいだけでなく、やりたいことがあった。この勝利を、この試合を最後に去る仲間に捧げたいという想い。ジネイ…はともかくとして、鳥栖移籍が決まっている青木剛にたむけの優勝を贈る。できればピッチの上で。そのためには、やはり2点キッチリとリードして安全圏にいたまま、試合終盤を迎えたい。「思い出作りでまさかの逆転負け」などという事件を絶対に引き起こさない状況づくりをしたい。

アビスパが中盤の選手を下げてFWの坂田を投入するなど、「ダメだと思うけど一応頑張りますわー!」の圧力を示してくるなか、アントラーズは身体を張ってガッチリと守ります。小笠原が無言で身体を投げ出し、静かに立ち上がる。その背中に3万のサポーターが「おーがさーわらー」のコールを送る。淡々と、渋く、時間を削り取っていく。鹿島がためにためて切った1枚目のカードも、今日ばかりを小笠原を下げない選択。「勝つ」とはどういうことか知る男の静かさが、いつも以上に物を言うような展開。

そして迎えた後半46分。「勝った」と確信できる時間まで耐え切って、アントラーズは大事に残した2枚のカードを投入。ジネイ、青木剛、今日でチームを去るメンバーを最後に投入する粋な采配。ジネイの惜別ゴール取り消しと、青木への大コール。ただ勝つだけでなく、思い出作りまでこなすこの余力。やりたいことを全部やり切って、アントラーズお見事なステージ優勝!

↓「今日は2枚カード残して2点差でアディショナルタイムまで行くぞ」という事前の打ち合わせが目に浮かぶ、ファンタスティックジョブ!


勝点差以上に差がある感じだな!

ジネイのぶんまでカード残されるとは!

ジネイのぶんは正直いらんやろと思うけど、そこが辞めても愛されるチームの理由なのかもしれない!


↓ずっとユニフォームを提げて「出せ出せ」要求をしていたOB連も青木の登場に喝采を贈る!

OB連、鹿島好きすぎるだろ!

いつまでも大学に顔を出しつづける先輩みたいな居つき具合!

嫁の実家にもちゃんと顔出せよ!


↓おめでとう!J1第1ステージ、優勝は鹿島アントラーズ!!


やる前から決まってた感じはしますが、正式に決まりました!

ほかのチームだと負けそうな気がするのに、鹿島だと勝ちそうな気がするのは本当に不思議!

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報道によれば、来季は外国の企業がJリーグの放映権を高値で買ってくれるそうで、財政面の危機も一息つける状況になりそうだとか。そういう意味では、当座の資金繰りという理由で始めた2ステージ制や、チャンピオンシップなども見直し論もまた出てくるのかもしれません。しかし、優勝というタイトルがあることで、試合の価値や楽しさが増す側面もある。この惜別の試合にしても、シーズン中の1試合であったよりも、やはりトロフィーを掲げる試合であったほうが思い出にも残るというもの。

結局は心意気の問題。「勝ちたい」という強い気持ちがあり、そこに向けて全力を尽くすからこそ見る側にも伝わるものがある。「勝ちたい」と思う理由は、1年にひとつである必要などまったくない。本当は全試合そうあればよいのでしょうが、人間なのでやはり毎試合スーパーハイテンションは難しいので、何かの理由をつけたほうがやりやすい。夏には少し早いですが、温かい気候の時期にひとつ盛り上がりがあるのは、日本の暮らしにもフィットしていいのではないでしょうか。2ステージ制を見事に使いこなした思い出深い勝利、いい第1ステージの締めくくりになったと思います。さすが、常勝・鹿島アントラーズですね。

↓完璧な勝利!これでこそ鹿島アントラーズ!

常(にこういう試合で)勝(っている気がする)!

またひとつ、「常勝」のイメージが固まった!


ちなみに、第1ステージを勝者で迎えたCSは2回やって2回負けてる模様!