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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

ドラクエ名作探訪その3 ドラゴンクエストII 悪霊の神々(FC版)

ドラクエ ドラクエ名作探訪

f:id:potatostudio:20160626164956p:plain実を言うと、「ドラゴンクエストII 悪霊の神々(以下ドラクエII)」の評価は、自分の中ではある1点を除いては決して低くない。だが、下記の過去エントリの個人的ランキングではシリーズ10作品中8位と、評価が低くなってしまっている。

potatostudio.hatenablog.com

まあ、だいたいお察しがつくだろうとは思うが、こういう順位になったのはひとえにロンダルキアへの洞窟以降の難易度のせいだ。あの突然急上昇するバランスの悪さは半端ではない。このあたりのことは、過去に下記エントリで散々語っているので、ここではあまり触れないようにする。

potatostudio.hatenablog.com

というわけで、今回はドラクエIIについて、主に難易度のバランス以外の面で振り返ってみようと思う。

 

ドラクエIIのウリは、パーティープレイとそれに伴う複数の敵との戦闘、大幅に拡大されたワールドマップ、移動手段としての船、世界中に散りばめられた謎、ワープポイントとしての旅の扉、「紋章」と言う名のキーアイテムの登場、洗練されたインターフェイスなど、本当に多岐にわたる。

ストーリーも、前作から100年後の世界が舞台ということで、アレフガルドの外側に広がる広大な世界が舞台だ。ローレシア、サマルトリア、ムーンブルクの3つの王国の王子、王女が主人公で、彼ら、彼女らは前作の主人公の子孫ということになっている。

ドラクエIがそうであったように、ドラクエIIも後の作品に引き継がれることになる多くのフィーチャーが満載である。

まず、ストーリーが進むに連れて仲間が増えていくという日本のRPGの形を作り上げたことが大きい。普通の海外のRPGだとキャラクターメイキングがあって、最初から後半へのキャラクタービルドを考えながらプレイしたりするのだが、ドラクエIIはキャラクターにあらかじめ個性が付与されていて、それらの仲間を自分が集めていくのだ。

この、いわゆる「JRPG的な様式美」は、ドラクエIIが下地になっていると言っていいだろう。日本においてRPGが最も人気のあるジャンルになったのは、こういうキャラクタービルド部分の簡略化が進んで、ゲームを遊ぶためのハードルがかなり下げられた事が大きい。

船を手に入れるまでの間は、厳格なフラグ管理がなされ、行ける範囲も限られているが、パーティーが揃い、音楽が変わり、船を手に入れると途端に世界がひらける。文字通り「どこへでも行ける」状態になり、正直最初にプレイした時は面食らった。「どこへ行けばいいの?」的な感じで、驚きよりも不安が大きかった。

実際にはエリアごとの敵の強さで「あ、ここは行っちゃダメなところだ」とわかるようになっているのだが、その代償は大抵の場合「死」だったりする。今作から導入された棺桶システム(という名前はないが)のおかげで、真っ赤になったステータスウィンドウを見ながら青息吐息で旅を続けるのは、冒険の厳しさを思い知らされた感があり、ちょっと切ない。

前述した「紋章」と、幾つかのノーヒントの謎に関しては、ドラクエ史上でもかなり不親切な謎解きとして語り継がれている。特に、盗賊ラゴスの一件は本当に思い出すだけで腹が立つ人もいるだろう。最終盤の「じゃしんのぞう」も大概だが…

全体的なストーリーのうねりのようなものはまだIIの時点では感じられないが、それでもIから格段に大きくなったワールドマップ、さらに船を手に入れてすぐの場所に、前作の舞台であるアレフガルドがあるのは、プレイした時には素直に感動した。憎い演出である。

 ワールドマップの拡大に伴い、入ることが出来るロケーションも増えた。その中の1つが「塔」だ。洞窟とは違い、上へ上へと進んでいくダンジョンで、外壁のない部分からは飛び降りることが出来る。風のマントというアイテムがあれば、1つ遠くのマスに飛び降りることができ、それを使った謎解きも用意されている。

アイテム面でも、特殊効果を持つアイテムやレアアイテムなどが導入され、後のシリーズにも引き継がれる要素になった。特に、はぐれメタル(IIのはぐれメタルは結構強敵)を倒した時に得られるという復活の玉は、正直見たことがない。一時は都市伝説かと思ったくらい出なかった。

セーブポイントも各地に用意されたが、そのためのパスワードである「ふっかつのじゅもん」が最大52文字と長くなってしまったため、日本各地で「じゅもんがちがいます」という悲しい事件が起きる事になる。

自分は専用のノートを用意して、必ず2回じゅもんを効いておくことにした。それでも、間違える時は間違えるのだが、実のところラスダン前の呪文は今でも普通に言える。Wiiで出た復刻版で入力してみて上手く言った時にはちょっと感動した。

使えるメモリが増えたことにより、キャラクターには上下左右に移動した時のグラフィックスが用意され、前作にあった「はなす→きた」などの手間がなくなったり、宝箱が「しらべる」だけで取れるようになったり、「そうび」コマンドの登場など、後のシリーズに引き継がれることになるインターフェイスの刷新が行われたのもドラクエIIの特徴である。

他にも、はかぶさの剣だとか、ふしぎなぼうしのドロップしない問題だとか、それをすてるなんてとんでもない!が出ない鍵とか、乱数の幅の広さ問題とか、例のバランス問題とか、色々システム面でも不備のある作品であり、やはりデバッグ期間の少なさをどうしても感じてしまうドラクエIIではあるが、それでも後のRPGに与えた影響はとても大きい作品なので、未プレイなのであれば、現在出ているスマホ版でもWii版でもいいからプレイしてみることをオススメする。

古き好きRPGが、そこにはある。