(大和)
長崎県西南端の沖合に浮かぶかつて海底炭坑で栄えた端島
またの名を軍艦島
その廃墟の島へと続く道行きは7年前に始まった
(未来)ねえ進路どうすんの?東京行くの?
(大和)まだ分かんないよ。
(大和)取りあえず大学って考えてるだけで。
別に東京にこだわってるわけじゃないから。
学校には東京の大学の情報なんてまるでないからな。
(未来)おじさんは?何て言ってるの?特に何も。
自分の好きなことをやれって。
なら好きにすればいいのに!その好きが分からないから悩んでんだろ。
東京に行けば見つかるかもよ。
未来も意外と田舎者なんだな。
怒んなよ。
何?これ…。
ちょっと大和!ねえ。
ねえ大和…。
ねえ大和!どうしたんですか?
(東海林)お前…。
(東海林)鳴海鉄也の…息子か?えっ?はい…そうですけど。
(東海林)こっちへ来い!ねえねえ…救急車か人呼んだ方がいいって!ねえ!これから言うことを忘れるな!お前の父親鳴海鉄也は…。
三億円事件の犯人だ!はあ?
(東海林)いいか?誰も信用するな!周りの人間を信じちゃいけない!
(東海林のせき)「今日午前9時30分ごろ東京府中市…」「現金およそ3億円が輸送車ごと…」「発炎筒を使用して…」「白バイ隊員を装った男は…」「未解決事件となりました」
(関口)じゃ救急車を呼ぼうとしたら突然血を吐いて亡くなってしまったんだね?はい。
(関口)その人亡くなる前に君たちに何か言ってなかったかな?いえ特に何も。
あの人はどういう人なんですか?
(関口)東京の府中っていうとこから来た人で定年までは私と同じ刑事だったようだ。
刑事…。
(関口)ただどうして長崎に来たのかどうしてあそこで亡くなったのかは不明だけどね。
(葉子)未来!未来!お母さん。
お父さん。
(葉子)大丈夫?ケガない?怖かった。
(小田切)大和君も大丈夫だな?はい。
お父さんはまだ帰ってないんですか?
(小田切)ああ…まったくこんなときにどこ行ってんだ。
三億円事件のことは俺と未来だけの秘密にした
その日の夜から俺の親父が消えた
(刑事)身元を確認してほしいのだけど顔は見ても分からないと思います。
運悪く船のスクリューに巻き込まれたか何かで顔は形をとどめてないんだ。
それでも見られますか?
(刑事)分からないよね?ポケットの所持品からお父さんの免許証が発見されてね。
釣りをしていた目撃証言もあることから事件性はなく水難事故と見なされたんだ。
いや…親父は釣りなんかしません!絶対におかしいです!
(刑事)なぜお父さんは君に黙って東京に来たのかな?分かりません。
(刑事)君の知らないお父さんがいたということだよね?
(東海林)《お前の父親鳴海鉄也は…》《三億円事件の犯人だ!》おじさん。
(小田切)うん?どうして若いころの写真が…。
親父には一枚もないんだろう。
写真自体がほとんどないんですけど。
(小田切)さあ…。
いつも撮る側にいたからじゃないかな?大和君と亡くなったお母さんの写真はよく撮ってたじゃないか。
うん?僕は父が40を過ぎてから生まれた子です。
(小田切)うん。
母と出会ったのもそのころで。
母と出会う前の親父はどんなことをしていたんだろう。
(小田切)昔から剣道を教えていたよ。
私も女房も同じ施設で育ったことは知ってるよね?はい。
その施設にいる子供たちの面倒をお父さんは若いころからずーっと見ていたんだ。
子供のころから剣道を教えてもらっていた私は君のお父さんを父親のように思ってきた。
(小田切)だから君のことも家族のように思っているんだ。
大和君。
よかったらうちに来ないか?家族のように一緒に暮らさないか?
(東海林)《いいか?誰も信用するな!》《周りの人間を信じちゃいけない!》
あんな言葉に縛られたくはなかった
その言葉にあらがうように僕は小田切家に居候した
(店長)鳴海君。
はい。
(店長)手が空いたとき裏の商品棚整理しといて。
あっはい。
だけど自分の将来を見据えるなんてことはできなくなっていた
進学も就職もせず人生を好きに生きることとは無縁な無意味な日々を送るだけの大人になった
その無意味を埋めるかのように僕の妄想は膨らむばかりだった
自分の知らない若いころの親父の顔はこの有名なモンタージュ写真の男と重なることはなく妄想の中でそれを行っているのは…
いつも自分だった
《関東信託銀行の車ですね?》《はいそうです》《今緊急連絡があり巣鴨の支店長宅が爆破されました。
この車にも爆弾が仕掛けられているかもしれません》《シートの下を調べてください》
(運転手)《はい》《あったぞ!ダイナマイトが爆発する!》《早く逃げろ!》
わずか3分
3分で2億9,430万7,500円を積んだ車を奪いその存在と現金だけをこの世から消し去った
それが今から48年前に起きた20世紀最大の未解決事件
三億円事件だ
あっまた爪かんでる。
ノックしろよ。
あっねえ臭い!こもってる!こもり臭がひどい。
換気しなくちゃ駄目でしょ。
けさ窓開けて換気したよ。
いや窓じゃ駄目でしょ。
ここ!ここ開けて換気しなくちゃ!こもり臭は体から臭ってくるんだからね。
うわ!臭っ!近いよ。
何ドキドキしてんの。
してない。
あんたに近づく女子なんて今じゃ私一人かもしんないけど私だってこのままじゃ近くて遠い他人になっちゃうからね。
迷惑ならいつでも出ていくよ。
そうやってすぐ捨て犬みたいな顔すればいいと思ってんだから。
思ってないし捨て犬って思いっ切り失礼だなお前。
人がさ未来の仕事見つけるのに必死だっていうのにいつまでこんな過去にとらわれてんのよ。
過去って…。
親父を犯人だと決め付けんなよ。
決め付けてるのは大和じゃない。
絶対にそんなことない。
もし…。
もし仮にそうだとしても君は君の人生を生きればいいだけじゃないの?俺だって働いてるよ。
それで満足してるの?この世には2種類の人間がいるんだ。
働くために生きる人間と生きるために働く人間。
どっちが偉いとも言えないだろ。
じゃ大和にとって生きるって何なのよ?ほら答えられないじゃない。
うるさいな。
お父さんがねそろそろおじさんの跡継いで道場で剣道でも教えてみないかって。
俺はそこまでの腕じゃないよ。
未来よりも弱いんだから。
(小田切)面!おじさんの剣道具本当はお父さんが受け継ぎたいぐらいなのよ。
(小田切)面!
(小田切)うおー!うわあー!
(泰成)ああ大和君。
久しぶり。
泰成さんでしたか。
お久しぶりです。
(小田切)どうしたんだ?剣道やる気になったか?いえ。
そうじゃありません。
それじゃ私はこれで。
(小田切)そのまま帰るのか?
(泰成)ええ。
車で予備校に戻ります。
向こうに仕事が残ってるんで。
シャワーも向こうで浴びちゃいます。
それじゃ大和君また。
すみません何だか。
どうしたんだ?親父の道具をおじさんに使ってもらおうかと思って。
鉄也さんの?自分が持っていても無駄にするだけですしおじさんに使ってもらった方が親父も道具も喜びますから。
本当にいいのか?本来そうあるべきなんです。
そうしてください。
分かった。
見ていいか?はい。
それじゃあ私が大切に預かっておくがこれだけは私が譲られるわけにはいかない。
君がしっかりと持っておくべきだ。
振り返ってみればこれが大きな分岐点だった
(沢田)憲法というものはですね国民の幸福を守るための国家のマニュアルというふうに私は考えます。
ですからまあ時代の変化につれてですね不備が生じればそれに対して…。
(沢田)われわれ日本人の手で書き換えようというのですから。
《三億円事件で奪われた紙幣のうちナンバーが分かってるのは新券の五百円札2,000枚だけだ》《XF227941A》《XF227941A》
(沢田)私はですね新しい国家国民の平和…。
・
(ノック)・
(小田切)私だ。
起きてるか?あっはい。
ちょっと待ってください。
はい。
何ですか?あっ…さっきの垂ちょっと見せてくれないか?あっはい。
どうぞ。
それがどうかしたんですか?いや。
ただ懐かしいなと思って。
ありがとう。
おやすみ。
おやすみなさい。
《おじさんも何かに気付いている…》《まさか…他の防具からも?》葉子。
お前鉄也さんが軍艦島にいたって話聞いてるか?軍艦島?俺何となく覚えてるんだよ。
遠い記憶なんだけど軍艦島に行ったことあるような気がするんだ。
・
(『帰って来たヨッパライ』の口笛)
(葉子)鉄也さんと?
(小田切)うん。
あそこに何か鉄也さんの秘密があるのかもしれない。
その数日後におじさんとおばさんは行方不明になった
(警察官)えーっと携帯は?つながりません。
この3日間誰とも連絡を取ってないみたいなんです。
(警察官)家出かな?夫婦で家出するわけないじゃないですか!
(警察官)まあそうだけど。
何か事件とか事故に巻き込まれた可能性の方が高いんじゃないんですか!?
(警察官)もちろんそれも調べるけどね。
(関口)あれ?君たち。
何だ覚えてないのか。
前に君たちから話を聞いた刑事課の関口だ。
かれこれ7年ぐらい前になるかな。
ああ。
あのときの。
刑事さんはよく僕たちのこと覚えていましたね。
それが仕事だからね。
で今日はどうしたの?泰成さん。
まだ何の連絡もないの?おい。
何してんだよ?警察は当てになんないし自分で何とか手掛かりを見つけるのよ!大和も手伝ってよ!落ち着けよ。
落ち着いてどうすんの!もし大和のお父さんみたいに…。
ごめん。
(泰成)電話の履歴はどうかな?家にいるとき携帯を使うとは限らない。
何か連絡先…。
軍艦島?・
(操作音)最後にかけたのは知らない番号だ。
・
(呼び出し音)もしもし!あのそちらは…。
釣り船?《地獄段?》はい。
ありがとうございます。
お父さんが最後にかけたのは釣り船用の貸しボート屋さんだった。
釣り?何かボートを借りようとしたみたい。
でもお父さんは来なかったって。
それってどこの?長崎市高浜町。
軍艦島だ。
軍艦島?
いったいこの軍艦島で何が待ち受けているんだろうか
どっち?そこ左だ。
ここが65号棟だ。
この先が地獄段。
これが地獄段…?ここを上った所が2号棟だ。
これが2号棟。
その横の最終階段。
側面。
石垣。
星印。
星印…。
星印…。
これ?大和!ここ!これだ。
あっ…。
これは…何?聖徳太子?68年に盗まれた…3億円かもしれない。
どういうことよ!?何でお父さんがこれを知ってるの?えっ犯人だってこと?まさか。
おじさんはそのころまだ生まれたばかりだよ。
うちの親父が関わっていたと考えるのが普通だろ。
おそらくおじさんはこの場所のメモを見つけただけだよ。
これを隠したい誰かが親父やおじさんやおばさんをどうにかしたのかもしれない。
それが真犯人?だとしたらこれを持っていればおじさんとおばさんを取り戻せるかもしれない。
もらうもんだけもらったらきっちり始末しろよ。
あれ?あの人刑事の関口さん?何で?乗れ!逃げるぞ!
(山田)何だ?てめえ!あっあっ…。
(泰成)早くしろ!乗るんだ!
(山田)てめえ!
(泰成)あーっ!うわ!いったい何なんですか!?ヤクザに狙われてたんだろ?いやあの人は刑事です!刑事?警察の拳銃じゃなかったけどな。
(関口)ヤクザのチャカ使えねえな。
何やってんだよお前!
(山田)あっ…痛っ。
(殴る音)
(男性の悲鳴)追ってきませんからスピード落としてください!じゃ何があったのか聞かせてもらおうか。
それはこっちですよ。
泰成さんがなぜあんな所にいたんですか?2人までいなくなったら軍艦島に行ったと思うだろ。
あのときの流れで。
私たちを心配して来てくれたんですか?そうだよ。
どうして?あなたはそこまで僕たちを心配してくれるんですか?武雄さんと奥さんの行方が気になるからだよ。
僕の手掛かりは君たちだけなんだから。
(東海林)《誰も信用するな》《周りの人間を信じちゃいけない!》でその荷物は何なの?それはまだ言えません。
大和。
泰成さんがもし僕たちの味方なら何も聞かずに力を貸してもらえますか?分かったよ。
で何がしたいんだ?まず大きなスーツケースを買いたいんです。
取りあえず朝までここにいれば安全だろう。
それじゃ隣の講師室にいるから何かあったら声掛けて。
ありがとうございました。
もうあの家には帰れないの?そんなことないよ。
俺たちは何も悪いことをしていないだろ?ただ安全を確認するまでは…。
誰も信用しちゃいけない?ねえ大和!泰成さんのこと何か疑ってるんでしょ?とにかく荷物をこれに移し替えよう。
(泣き声)どうした?7年前の刑事さんも…。
大和のお父さんも…。
これのせいで…。
だとしたらお父さんとお母さんだって…。
そんなこと考えるな!生きてる可能性があるうちは助けることだけを考えよう。
(東海林)《お前の父親鳴海鉄也は…》《三億円事件の犯人だ!》
(刑事)《運悪く船のスクリューに巻き込まれたか何かで顔は形をとどめてないんだ》ハァ…。
大和君未来ちゃん大変だ!早くこっちに!早く!未来!
(アナウンサー)死亡したのは釣り船屋を営む小松徹さん59歳で小松さんは経営する釣り船屋で殺害されており凶器とみられるバールが近くに落ちていました。
警察ではこの店で最後に釣り用ボートを借りた男女の2人組が…。
俺たちが警察に追われてる?どうして?誰がやったの?考えられるのはあの刑事しかいない。
どうして!?分からない。
分からないけど他に考えられない。
だって…警察を疑うの?バールは俺のか。
あの刑事はどう考えてもおかしい。
それを確かめる必要があります。
えっ何言ってるの?おじさんとおばさんの行方を知ってる人間を見つけるためには今はあの刑事が最大の手掛かりなんだ。
どうするつもりだ?あの刑事のいない警察署に出頭して事情を説明するしかありません。
ロッカーの鍵とスーツケースの鍵は没収されては困るので泰成さんに預けます。
(泰成)いいのか?スーツケースの暗証番号は僕が決めたので2人揃わなければ開けられないことになっています。
(泰成)分かった。
君の信頼は裏切らないよ。
それじゃあ僕たちはこれから警察に向かいます。
で本当に私も行かなくていいのか?泰成さんは僕たちに深く関わっていないことにしてください。
今は外に味方がいた方が心強いです。
それじゃあ。
ねえ3億円のことは?警察に隠しとくの?いきなり切り札を手放すわけにはいかないよ。
だけどこのまま警察に捕まったら?そのときの準備もしておかなければ。
準備?逮捕されるとすればあの関口とかいう刑事がいる中央署に連れていかれるはずだ。
そうなったらアウト。
俺たちの冤罪は晴れない。
ねえ大和。
何か楽しんでる?えっ?何か前より全然生き生きしてんだもん。
必死に考えてるだけだろ!だから僕たちは何もやっていません!何もやっていないのにあの刑事は僕たちを撃ってきたんです!これが車に残っていた弾です。
調べてください。
(宮下)信じられないな。
そもそも君たちは何で逃げたわけ?だからヤクザかと思ったんです!
(宮下)顔見知りの刑事だったんだろ?その関口という刑事がどうしてそこにいたのかその理由を聞いてください。
チッ。
分かったよ。
だったらその刑事から直接話を聞けばいいじゃないか。
えっ?これからその関口刑事がいる中央署に君たちを重要参考人として連れていくから。
どうして…。
ここじゃ駄目なんですか?捜査本部は向こうなんだよ。
《やっぱりこの道だ》どうしよう…。
どうしたの?あのあれが始まっちゃったみたいで…。
お願いです。
トイレに行かせてもらえませんか?
(宮下)どうした?そこのコンビニへお願いします。
緊急事態です。
320円です。
はい1,000円お預かり。
(店長)680円のお返し。
(警察官)大丈夫?大丈夫です。
来ないで!
(警察官)えっ?何だ!?大和をこっちに!彼をこっちに渡して!早く!
(宮下)バカなことはやめろ!一緒に死にたいの?分かった。
お前ら逃げられやしねえぞ!冤罪で捕まるぐらいなら死んだ方がましだ!行こう!おい!
(店長)鳴海!?すいません店長逃げてください。
・逃げろ!逃げろ!
(宮下)逃げて逃げて早く早く!
(宮下)離れろ!ちょっと待って。
えっ?こっち。
こっち?ああ。
行こう。
うん。
クソ!
(宮下)こっちだ!
(警察官)はい!
(関口)分かった。
発炎筒ときたか。
血は争えないってわけだ。
(関口)2人が逃げました。
あっいや大丈夫です。
(関口)警察から逃げてくれた方が追い詰めやすくなりますから。
(関口)それに泳がしていればやつが現れるかもしれませんし。
(男性)いいか?これ以上無駄なことはしたくない。
7年前と同じ失敗は繰り返すなよ。
分かりました。
(東海林)ああ…ああ!ああっ!あっ…うっ…ああ…。
(関口)しぶといな。
(東海林)ああ…あっ…。
あっ!あっああ…。
(関口)ったくしぶてえな。
(東海林)ああ…!
(せき)
(関口)どこが失敗なんだよ。
大成功だよ。
面白くなっただろうが。
(警察官)鳴海大和25歳。
身長は183cm。
チノパンにスニーカー。
黒いシャツにオレンジの上着。
同行するのは小田切未来23歳。
制服捨ててなくてよかったよ。
童顔でよかったね。
そっちもな。
どっからどう見ても中学生だ。
うっ…バカ。
でもこれで警察が信用できないとはっきりした。
携帯に入ってる必要な情報は全てこれに書き写すんだ。
えっもう使えないの?持ってるだけでこっちの居場所が分かっちゃうよ。
だってお父さんとお母さんから連絡が来たら?きっと心配して泰成さんにかけるよ。
急いで。
(関口)懐かしい姿だ。
(捜査員)えっ?
(関口)いや。
でどこで降りたんだ?
(警察官)君たちちょっといいかな?
(アナウンサー)次です。
長崎市高浜町の釣り船屋店主が殺害された事件で警察は凶器に残っていた指紋から長崎市イズミハラマチに住むコンビニ店員鳴海大和25歳を容疑者として特定しました。
鳴海容疑者は連れの女性と一緒に任意同行を求めた警察官から逃亡したため警察は全国に指名手配をして行方を追っています。
(水原)君たち。
(水原)ちょっといいかな?・
(夏美)お姉ちゃん!やめてよ。
人前でイチャイチャすんの。
恥ずかしい…あっすいません。
今後注意させますので。
妹さん?
(夏美)はい。
(夏美)博多に住んでるお姉ちゃん夫婦のところに遊びに来たんです。
ここで待ち合わせてて私が遅れたんで退屈したんだと思います。
(警察官)水原。
窃盗の通報に向かうところだぞ。
どうした?いえ。
何でもありません。
手配中の男女に似てたものですから。
危なかったですね。
あっもしかしてあなたが?はい。
鈴木先生に言われて来ました。
予備校生の中野夏美です。
泰成さんはどうして君に?信用できるからじゃないですか?あっスーツケースはもうホテル取ってそっちに置いてあります。
どうぞ。
あとこれも預かりました。
カワイイでしょ?キーホルダーは私たちからのプレゼントです。
逃亡犯のお二人へ。
君はどこまで…。
鈴木先生が知ってることは話してくれましたよ。
2人がきょうだいみたいに育った仲だとか無実だとか。
まああの態度見てたらきょうだいとは思えないけど。
あれは!演技よ演技!演技!分かりますよ。
私も女ですから。
あっ。
あと鈴木先生からの伝言で先生とは直接連絡取らない方がいいそうです。
盗聴されてる可能性があるので。
その分私がこの近くの別のホテルにいるので何かあったら電話ください。
君はいつまでこっちにいる気だ?お二人にもう必要ないと思われるまでです。
まあそれまでは自由に使ってやってください。
先生からはバイト代も頂いてるし受験勉強はどこでもできるので。
それじゃあごゆっくり。
変な子。
ねえ信じていいのかな?まあとにかくスーツケースは無事に戻った。
さあどうする?大和君。
次はどんな手を打つ?また爪かんでる。
何よ?やってみるか。
な…何を?こうなったらこっちから攻めるんだよ。
・
(呼び出し音)《君に頼みたいことがあるんだけど》
(泰成)ご苦労さま。
(山田)おいてめえ!何…お前はっ!?ああ!
(女性)少なくとも286名が…。
運転する乗用車が逆走し…。
ウェブやインターネットの技術を物作りに生かし…。
今日当局の報道部宛てに差出人不明の封書が送られてきました。
旧紙幣の一万円札の束で100万円が入っており文書が同封されておりました。
「この金は三億円事件のものである」「証拠の五百円札も私が持っている」この五百円札というのは三億円事件で唯一通し番号が確認されている紙幣だと思われます。
その三億円事件とは何か。
こちらをどうぞ。
ねえ五百円札なんて嘘でしょ?親父はこれを防具の中に隠していたんだ。
(男性)三億円事件時効成立。
事件発生から…。
(関口)駆け引きでもしてるつもりかよ。
ったくよ。
(バイブレーターの音)はい。
次のニュースです。
今日の…。
これで向こうは下手に俺らを逮捕できないはずだ。
えっ?どういうこと?もし裁判にでもなってこんな物的証拠が表に出たら三億円事件の真相を社会がとことん暴こうとするだろ。
向こうが隠したいのはおそらくその真相なんだ。
ねえ向こうって誰よ?真犯人?分からない。
けど昔の親父を知っている人間だということは間違いないだろう。
それにしてはあの関口という刑事は若過ぎる。
分かりました。
(夏美)三億円事件ってどういうこと?事実を証明する書類だとか言ってあの2人はいったい何をしたの?
(泰成)まあ落ち着いて。
2人は偶然あの金を手に入れただけだ。
あれ本物なの?本物だから誰かがそれを追っている。
でそいつはその事実を隠したいから2人を始末しようとしている。
まあもっともあの2人は3億円のことを私にも隠しているつもりだけどね。
先生は何を知ってるの?その誰かというのは警察の人間も動かせるやつだ。
先生は何がしたいの?それは言えない。
これ以上君を巻き込むわけにはいかない。
いいよそれでも。
駄目だ。
君はもう家に帰って普通の予備校生に戻るんだ。
念のため夜道には気を付けた方がいい。
はい。
(夏美)やめてください!護身用に鈴木先生が用意してくれたんだ?役に立たなかったね。
山田落とし前つけろ。
(山田)はい。
(夏美のうめき声)お前の先生にやられた分はきっちり返してもらうからな。
ハハハ…。
(夏美のうめき声)
(銃声)
(関口)てめえに落とし前つけろっつったんだよ。
(うめき声)怖くないよ。
怖くないよ。
なああの2人どこだ?ホントに何も知らないんです。
どこだ?このままだと君も鈴木先生もあいつみたいになっちゃうよ。
うん?分かりました。
でもここでは言えません。
何で?うん?言えばここで殺されちゃうでしょ?私がそこまで案内します。
そこで私を解放してください。
賢いんだね。
うん。
夏美…。
私が教えたって誰にも言わないでください。
(関口)大丈夫だよ。
あの2人には消えてもらうだけだから。
これだけ流れてたら日本中大騒ぎになってるよね。
大半はいたずらだと思ってるだろうけど。
夏美ちゃんから連絡がないのはなぜかな。
送ってもらった封書と3億円が結び付かないんじゃない?そんなことはないと思うけど。
あの子は勘が良さそうだから。
泰成さんに何か言われたのかもしれないな。
えっでも泰成さんだってスーツケースの中身が何かは知らなかったはずでしょ。
そうは思えない。
あの人のことは今でも謎だらけだよ。
・はい。
泰成さん?そこをすぐに離れた方がいい。
おそらく関口という刑事がそっちに向かってる。
えっ…あっちょっと。
もしもし?どうしたの?関口がこっちに向かってるって。
どうして?とにかく急いでここを出よう。
ここを出てどうするの?俺たちが生きるためには三億円事件の真相をつかむしかないんだ。
そのためには東京に行くしかない。
いやだからどうやって!?町じゅう警官だらけなのよ!?ああ…。
どこのホテルだ?車から降りてそこまで歩いて案内します。
用心深いんだな。
ほれちゃいそうだよ。
・
(水原)君。
やっぱり君だ。
昨日公園で会ったね。
あっ。
(水原)君のお姉さんと旦那さんにもう一度会わせてもらえるかな?今どこにいるんだい?
(水原)この人は?この人私にほれてるお客さんです。
お客?
(夏美)これから一緒にカラオケに行くの。
ねっ?
(水原)いい年こいて恥ずかしくないのか?あんた。
とにかく交番で話聞かせてもらうから。
それじゃお客さん。
また今度ね。
(警察官)緊急連絡緊急連絡!中央区の中洲の橋から三億円の旧紙幣が大量にまかれた模様。
(水原)えっ!?
(警察官)市内の警官は直ちに現場に願います。
(警察官)下がってください!下がって下がって!逃げろ。
逃げ続けるんだ。
大和君。
(雄大)よし。
(雄大)他の人を雇ったってどういうことですか?まさかホントに来るとは思わなくてね。
(雄大)あなたの親戚の紹介ですよ!?いや親戚といっても遠い親戚でね。
軍艦島の炭坑で日雇いみたいに働いてたんだろ?昔からばくち好きの風来坊でさ。
迷惑してるというか…。
電話で頼まれたらふんふんと適当に聞くしか手がないじゃないか。
(雄大)そんな無責任なこと言わないでくださいよ。
僕は覚悟を決めて長崎から出てきたんですよ!寮にも入れるというからお金もろくに持たずに出てきたんです!悪かったよ!あっこ…これで何とか仕事を見つけるまで…。
施しを受けに来たんじゃありません。
まったく冗談じゃねえぞ東京!軍艦島なめんじゃねえぞ!
(雄大)働かせてください!
(女性)ごめんね。
うちでは雇えないから他へ行ってくれ。
(男性)帰れ。
忙しいんだ。
(雄大)何でもしますから!邪魔だ!どけ!
(雄大)あのお金もらっときゃよかったな。
腹減った。
(争う声)
(土門)仲間をかばいてえ気持ちはよく分かるけどよ竜。
勝手にポン引きされたんじゃ俺たちの顔は丸つぶれなんだよ。
ここは俺の顔を立てると思っておとなしく保を引き渡せ。
(竜)土門さん。
俺がこんだけ頼んでも駄目っすか?
(土門)お前の度胸は大いに買うが度胸だけで渡れるほど世間は甘かねえんだよ。
俺だって甘い考えでここには来てないっすよ。
(雄大)何だ?東京は町じゅう日活映画か?米軍の払い下げか。
そこまでしたきゃなカミナリ族なんか辞めて早くうちの組に来いよ竜。
しきたりに縛られてポン引き一つ許す自由もねえヤクザなんて御免だね。
(手下)土門さんそいつのヤサにはこの女しかいませんでした。
(響子)ごめん竜。
(竜)おい響子!うっ…。
残念だったな竜。
(竜)あ?
(土門)やっぱりお前素人だわ。
お前もあの女使って米兵相手にポン引きしてたんだろ?響子はそんな女じゃねえ!どうかな?おいお前らその女の身持ちを調べろ。
やめろ!おい離せ!
(響子)離してよ!
(土門)おとなしく見とけよ。
・おい。
(土門)うわ!ぐっ…。
お前らやっちまえ!
(手下たち)おう!
(手下)この野郎!うお!うわ…ああ!
(土門)何だ?てめえは。
日活映画がポルノ映画になっちゃおしまいでしょ。
(土門)何言ってんだ?こいつ。
警察がもうすぐここに来ます。
(土門)嘘つけ。
そんなんでな逃げると思ってんのか?こっちが。
・
(東海林)土門!
(土門)東海林さん…。
(東海林)銃声が聞こえたんで来てみりゃお前か?
(土門)いや誤解ですよ。
その拳銃をこのガキどもが持ってたんでね叱ってたところですよ。
望月竜か?相変わらずクズだなてめえも。
あとは俺が叱っとくからお前はもうこいつらに関わるな。
東海林さんがそう言うならお願いしますよ。
(土門)おい。
(手下たち)へい。
(東海林)ハァ。
お前らから事情を聞くのはめんどくさいな。
次は許さねえから真面目に働けよ。
分かったな?はい。
(雄大)うん!あーっ!
(雄大)あっ!うま!あー…。
(竜)お前ゆっくり食えよ。
(響子)ちょちょ…。
ほら水飲んで。
水。
はいはい。
ハァ。
あーっ!じゃお前わざと拳銃撃たせたのかよ。
はい。
それしかないと思って。
近くに刑事がいるって気付いてたの?あー今日一日この辺を歩き回って最近空き巣や放火が多いって聞いたんでそれなら巡回中の警察官も多いのかなって。
(竜)すごいなお前。
いやほとんど賭けでしたよ。
(保)竜さん!俺のためにすまなかった!
(竜)おい保!こいつ…。
お前名前何だっけ?川崎雄大です。
お前がホントに助けたのはこの保なんだよ。
雄大さんありがとうございました!あっいや俺は彼女が出てこなかったら…。
えっそうなの?ありがとう!あっいや…。
お前童貞だな?響子は駄目だけど。
おい保。
いい女紹介してやれ。
はい。
いくらでも。
(雄大)あっいや…。
それよりどこか寝る場所紹介してもらえませんか?あー!助かった!
(響子)ねえ。
どうして東京に出てきたの?長崎じゃ働く場所なかったの?いやそんなことはないですけど。
東京に行けば何か人生の目的が見つかるんじゃないかなと思って。
(響子)ふーん。
田舎者の考えだね。
(竜)失礼なこと言うなよ恩人に。
でも何でそれが府中なんだよ?よし。
こっちに会いたい人がいるんです。
こんな形で東京に来るなんて思わなかったね。
もうこんな部屋にしか泊まれないんだね。
うん。
どこまで手配されてるか分からないからな。
ねえ。
どうすんの?これから。
あの元刑事のことを調べる。
元刑事?7年前に俺と未来の前で死んだ男だよ。
(東海林)《お前の父親鳴海鉄也は…》《三億円事件の犯人だ!》《あの人はどういう人なんですか?》
(関口)《東京の府中っていうとこから来た人で定年までは私と同じ刑事だったようだ》あの男は府中にいたんだ。
たぶん三億円事件が起きたときにもこの府中で警官をしていたんじゃないか?そして7年前に何かを知って長崎で殺された。
いやでも…。
そんな人のことをどうやって調べるの?それを考えてる。
(爪をかむ音)ねえ爪。
未来しばらくここで待っててくれ。
えっ?2人で動くのは目立つ。
とにかく俺一人で何とかしてみるから。
やだよ!一人にしないでよ。
大丈夫。
一人にはしないから。
必ず戻る。
俺だけは信じろ。
いた!夏美ちゃん?この人覚えてる?福岡で会ったお巡りさん。
(水原)捕まえたぞ。
まずは見せてよ。
このスーツケースの中身。
そしたら水原さんも信じてくれるって。
君たちの味方になるわけじゃないよ。
警察の人間が君たちに罪を着せようとしてるなんて信じたくないからね。
あの刑事が殺した死体だってあったでしょ?だからそれも証拠に…。
(夏美)私のこと信じられないの?信じてくれたんじゃなかったの?だからそれを調べにわざわざ九州から来たんじゃないか。
非番まで取って。
大丈夫だから。
分かりました。
これを見てください。
すごい。
これが三億円事件の現物か…。
僕たちが三億円事件の犯人であるはずがない。
誰かが奪ったお金を手に入れてしまったんです。
この血は何なんだ?それは僕にも分かるはずがありません。
(水原)48年前の血か。
府中で刑事をしていた東海林という人なら分かるかもしれません。
だから東京に来たんです。
7年前に殺されたっていう元刑事のことを調べに?・
(ノック)閉めろ!あっ!痛い…。
・
(多喜子)大輔?
(水原)何?ばあちゃん!
(多喜子)やっぱりねお茶だけでも…。
(水原)分かった分かった。
俺やる俺やる。
俺やるから。
あのそうだ。
ばあちゃん。
(多喜子)えっ?この2人しばらくここに置いてやってもらえないかな?
(多喜子)うん。
大輔の頼みなら大歓迎よ。
この子ねバカだけどねバカ正直と正義感だけは本物だからね。
ねっ?うん。
バカ1つ多いよ。
それで夏美ちゃんはどうして私たちの居場所が分かったの?泰成さんに聞いたらしい。
どうして泰成さんが?たぶんこれだよ。
このイルカに発信器が仕掛けられていたんだ。
泰成さんが?俺たちの行動をずっと見張ってるんだよ。
無茶するなよ。
もう何なの!?みんな気持ち悪い!誰が何考えてんのか全然分かんない!壊すなよ。
今は気付かないふりをしていた方がいい。
何を考えてるか分からないけどいざというときこっちが利用できるかもしれないしな。
こっちが強くなるしかないんだよ。
切り札の証拠は…。
こっちが握ってるんだから。
・
(音楽)ここか。
・
(明葉)何ですか?
(明葉)お店は6時からですけど。
あの…。
土門茂さんに会いたくて来たんです。
おじいちゃんに?自分は警察の者で水原と申します。
東海林明さんという元刑事とおじいさまが知り合いと聞きそのことでお話を伺えないかと。
おじいちゃんなら死んじゃったけど。
(大和・水原)えっ…。
(水原)府中南署で東海林さんの部下だったという方からこの店のことを聞いてきたんです。
(茂雄)東海林さんが親父にこの店を持たせてくれたんです。
(茂雄)親父は死ぬまで東海林さんに感謝してたし尊敬してましたよ。
(明葉)私の名前明葉の「明」は東海林明さんから取ったんだよね。
茂さんはいつお亡くなりになったんですか?東海林さんがああいうことになったその年ですよ。
交通事故で。
事故だったんですか。
ひき逃げよ。
犯人はまだ捕まってない。
警察はいったい何してんだか。
茂さんは東海林さんから何か聞いたとか預かったとか言ってませんでしたか?いったい何を調べてんの?東海林さんを殺した犯人の手掛かりです。
おじいちゃんは遺品をもらっただけよね。
遺品?
(明葉)これ全部東海林おじさんの形見です。
どうせ捨てられるならってうちのおじいちゃんがお葬式の後に全部引き取ったんです。
まあ本なんか週刊誌しか読まない人だったのに。
(明葉)あっ。
これはもともと私のだったんですよ。
これを東海林おじさんの誕生日にプレゼントしたんです。
小さいころだったから自分の宝物あげて。
それを大事に取っておいてくれたんです。
「川崎雄大」?雄大?親父?「川崎雄大」?親父?
(マスター)じゃあしたから頼むよ。
(雄大)これからよろしくお願いします。
(マスター)OK。
(竜)よし。
これで仕事も決まったな。
竜さんありがとう。
(竜)「さん」なんか付けんなよ。
竜でいいって言ってんだろ。
(雄大)痛っ。
(保)よし。
それじゃお祝いしに行こっか。
あっいや。
俺そういうのはやっぱり…。
保さんもポン引きはヤバいでしょ。
心配すんなよ。
健全な所だ健全な所。
(竜)取りあえず飯食おうぜ。
飯。
(保)どうした。
ほら。
(沢田)あーっ。
くっ。
あっ沢田さん。
(保)盛んですね昼間から。
(沢田)バ…バカ野郎お前。
勘違いすんなよ。
これはな聞き込みだ。
(ヒロミ)慎ちゃん。
(ヒロミ)また遊び来てね。
(保・竜の笑い声)慎ちゃん?お前…雄大か?慎ちゃーん!
(沢田)おい雄大じゃねえかよ!何やってんだよこんなとこで!
(雄大)東京に出てきたんだよ。
取りあえず慎ちゃんがいる府中目指そうと思って。
そうかよ。
(竜)お前が会いたかった人って刑事の沢田さんかよ?
(雄大)そう。
同じ端島で。
僕は慎ちゃんに憧れて剣道も始めたんだ。
おい雄大。
何でこんなゴロツキとつるんでんだよ?いや竜さんたちいなかったら俺今ごろ東京で野垂れ死んでたよ。
やめとけ。
お前に不良は向いてねえよ。
ほら行くぞ。
(竜)おい。
じゃあなヒロミ。
(雄大)竜さんまたね。
不良刑事が。
(沢田)親が生きてればな。
お前の頭ならどこの大学でも行けただろうに。
(雄大)しょうがないよ。
自分の力で何とかしないと。
(沢田)駄目だよ雄大。
何の当てもなく東京出てきてもつぶされるだけだ。
そういう人間をたくさん見てきた。
だけど端島にいても先はないよ。
慎ちゃんが言ってたとおり石炭の時代は終わってくんだ。
東京はオリンピックからずっと景気がいいんでしょ?だけどなこの国で粋がれるのは恵まれた人間だけだ。
何の後ろ盾もない人間は社会の都合で軍艦島みたいに取り残されていくだけだ。
(雄大)慎ちゃんは警察官なんだからすごい後ろ盾があるじゃないか。
下僕には違いないよ。
俺たちみたいに学歴のない人間はプライドを持つことすら許されちゃいないんだ。
せいぜいヤクザかチンピラに威張るぐらいなもんだな。
組織に入るとそれがよく分かる。
石を投げてる学生よりも俺たちは身分が低いんだここでは。
社会の目はそう見てる。
だけどなこんな世の中を俺はいつか変えてみせる。
(沢田)雄大。
お前も何か意志を持て。
お前が今ここで生きてるって言える意志だ。
学生が気分で投げてる石じゃねえぞ。
人間としての誇りだよ。
それを見つけて社会に投げ付けてやれ。
うん。
分かったよ慎ちゃん。
(キャスター)分かりました。
憲法改正についての課題は引き続き国会内で議論していただくとしてせっかくですので沢田さんにぜひ伺いたいことがあるんですが。
(沢田)ほうほう。
何でしょう?
(キャスター)最近三億円事件の紙幣だという札束が送られてくる事件がこの局にもあったんですが沢田さんはかつて警察官でありまた三億円事件の捜査官でもあったというご経歴を踏まえてですねどういうふうにご覧になってますか?
(沢田)そうですね。
まあ正直申し上げてね私興味はございませんですね。
ご興味ない?
(沢田)はい。
まあもしいたずらだとしたらねこれは相手にもしたくもないしまた仮に本物だとしてもですねその犯人の意志それから目的っていうものちょっと分かりかねますね。
ええ。
時効からずいぶんたちますが真犯人は自分だというアピールではないでしょうか?いまさら自己満足ですかね?まあ当時ね私はねペーペーの捜査員でしたけれどもその盗んだ金をまいて喜ぶようなねそんな犯人をですね必死に追い掛けていたのかと思うとね…。
ちょっと何と言いましょうかね。
やるせない思いがいたしますね。
(キャスター)さすがはたたき上げの警察官からたたき上げの政治家になられた沢田さんならではの。
沢田さん今日は本当にありがとうございました。
どうもありがとうございました。
(女性)はいお疲れさまでした。
(沢田)はいどうもありがとう。
(キャスター)お疲れさまでした。
ありがとうございました。
色々すみません。
二世はやっぱり東京に現れました。
府中をかぎ回ってるみたいです。
なかなかめげない男ですよ。
もういいかげんに始末しなさい。
お前の遊びに付き合ってる暇はないんだよ。
(夏美)少しは気分転換にでもなりましたか?うん。
何か久しぶりに買い物して自分がどこにいるのか忘れそうになった。
ここにいますよちゃんと未来さんは。
私もいますから。
ありがとう。
私も夏美ちゃんみたいに強くなりたいな。
違いますよ。
私は受験から逃げてるだけなんです。
あっ。
じゃあ来年も浪人させてごめん。
ひどい!もう落ちるって決め付けて。
やんなっちゃうもう。
・
(ノック)・
(夏美)未来さんちょっといい?はい。
どうぞ。
水原さんのおばあちゃんがね私たちが出掛けてる間に何度も無言電話を受けたんですって。
4〜5回かね。
まったく知らない番号だから無視すればいいんだけど。
番号って非通知じゃないんですか?ちょっとすいません。
嘘…。
どうしたの?ううん。
何か気持ち悪いと思って。
・
(呼び出し音)いないってどういうことだよ?
(夏美)さっき消えたの。
スーツケースも鍵もなくなってる。
さっきって何してた?いや私は未来さんに頼まれて薬買いに行ってたの。
気分が悪いって言うから。
ばあちゃん何やってたの?
(多喜子)ああ…私はお風呂掃除。
いいよそんなの…俺やるから。
何か変わったことは?
(夏美)いやそれなんだけど昼間に無言電話が何度もあって。
でその電話の記録見て未来さん何か驚いてた。
どうした?未来の…お父さんの携帯番号です。
お父さんに会いに行ったのか?
(夏美)関口のわなかもよ。
(水原)おい!乗って!君から連絡が来るとは思わなかったよ。
気付いてたのか?発信器。
キーホルダーなんて分かりやすいでしょ。
未来はわざと持っていったんですよ。
きっと。
俺に助けてと言ってるんです。
呼び出したのは関口に間違いない。
どうして分かるんですか?もう一つの発信器がある。
お久しぶり。
またイメチェンしたんだね。
カワイイよ。
お父さんとお母さんはどこ?その前に…。
お金は持ってきました。
スーツケースの鍵もあります。
もちろんそれも頂くけど。
五百円札は?あれは嘘です。
嘘?そんなものどこにもないんです!大和の嘘なんです!本当です!それまで認めたら大和の命が危ないとでも思ってんのか?泣けるな。
自分の親が死にそうなのに。
生きてるなら証拠を見せてください!だったら大和をだましてでも五百円札持ってこいよ!チッ。
ったく使えねえな。
許してください。
このお金で…もう許してください!お父さんとお母さんを返してください!じゃあれだな。
五百円札の代わりに君の体で返してもらうよ。
君が出てくれ。
もしもし。
(関口)あれ?大和君?ちょうどよかった。
君と連絡取りたいと思ってたんだよ。
どうして泰成さんの番号を知ってるんですか?これ夏美ちゃんの携帯電話でね。
夏美ちゃんには残念ながら振られちゃったけど今度未来ちゃんと楽しませてもらおうかな。
よせ!よせ!やめろ!じゃあ君が未来ちゃんを五百円札で買い戻すか?分かった。
・
(関口)おはよう。
ただ眠ってたんじゃつまんないからね。
元気出していこう。
嫌…嫌!嫌!・
(関口)ここなら泣いても叫んでも誰にも聞こえないからもっと泣け!もっと!叫べ!嫌〜!!・
(関口)もっと!そう!そういいぞいいぞ…!助けて!嫌!・
(関口)いいね〜。
泣いても叫んでも助けに来てもらえないときの顔って最高だ。
いいぞ。
(叫び声)・
(関口)そういうときどうしたらいいと思う?嫌…。
あっ…!そういうときはな楽しめばいいんだよ。
よいしょ!嫌…嫌…!・「チャランラランラランララン」嫌!・「チャランラランラランララン」・「タンララランラランララン…」嫌〜!!静かに〜!!嫌〜!!静かに〜!!よし。
よしよしよし。
よし。
こっから静かに。
なっ?どうせ人間最後は死んじゃうんだからよ。
楽しまないとな。
いい顔してんな。
あーっ!嫌…嫌…!放して!嫌〜!!何した?お前。
放せ!痛たたた…。
嫌…!何だ?これ。
好きだよこういうの。
放せ!放せ!ああー!ほれちゃうぞ!
(銃声)
(銃声)
(泰成)銃声か?あそこです!
(泰成)大和君こっち。
はい。
未来!あっ大和…。
大丈夫か?誰が?さっきのやつ…。
誰かが口封じに関口を撃ったんでしょうか?分からない。
私を助けてくれたみたい…。
弾は貫通してるけど出血を止めなきゃな。
薬と包帯買ってくる。
助けるんですか?聞きたいこと山ほどあるんだろう?フッ…。
何助けちゃってんだよ。
後悔すんぞ。
助けちゃいないよ。
こうするためだよ。
(関口)あっ!うっ…!動くと傷口がまた開きますよ。
一応はこれで応急手当てしておきましたけど。
(関口)いいね大和君。
犯罪者の目になってきたよ。
俺撃ったのお前か?それとも鈴木先生か?あんたの仲間じゃねえのか?仲間に見放されたんだ。
(関口)仲間?仲間なんかいないんだよ。
黒幕は誰だよ!誰があんたを動かしてる?この非通知の相手は誰だ?こいつが三億円事件の犯人か?犯人はお前の親父だろうがよ!勘違いするなよ!関口さん!よし…ハハハ…。
立場は完全に逆転してんだ。
そっか。
俺が死んで困んのお前だもんな。
えたいの知れない敵におびえ続けなきゃなんない。
一生夜道の暗闇や電車や車に気を付けなきゃなんない。
未来ちゃんを一人にもできない。
ハァハァ…。
私のお父さんとお母さんはどこ?答えて。
そうだ。
それを知るすべもなくなっちまうよ。
どうすんだよ?答えて!
(関口)「立場が逆転した」だ?なめてんじゃねえぞお前!黙れよ!もっと来い!ほら!もっと来いよ!黙れっつってんだろうが!
(関口)お前の暴力なんかなカワイイもんなんだよ。
お前の親父はなもっとましな抵抗したぞ!来い!おら!来いよ!・
(泰成)よせ!関口のペースに乗るな。
そいつは死ぬことなんてみじんも恐れちゃいない。
(関口)フッ。
さすが人を見る目があんな。
のぞきや盗み聞きが趣味なだけあるよ。
国家権力ほどじゃありませんよ。
五百円札は俺が持ってます。
あなたの裏にいる人間に掛け合ってもらえませんか?未来の両親を解放してくれたら五百円札はあなたに渡します。
(関口)そりゃいい案だ。
だがその誰かが信じてくれるかどうかだな。
それを信じさせんのがお前の役目だろ!
(泰成)落ち着け!カードはわれわれの手の内にあるんだ。
じっくり考えよう。
食事を買ってきた。
まずは大和君と未来ちゃん体力を維持するのが先決だ。
ほら。
あんたには包帯を巻いて少しでも長く生きてもらいますよ。
(泰成)痛み止めです。
(バイブレーターの音)何するんですか?
(泰成)交渉するのはまだ早い。
未来!未来!どうしたの?やられた…。
五百円札がない。
泰成さんだ。
裏切られた。
鈴木泰成も…。
俺たちの敵だったんだ!
(泰成)あんたにはまだ活躍してもらわないとな。
あのモンタージュを生んだ人間が本当の捜査線上に浮かび上がるまでは。
(呼び出し音)
(アナウンス)留守番電話に接続します。
発信音の…。
俺の負けだ。
しょせんは世間知らずだったんだ。
切り札を持っていかれたら打つ手がない。
もう駄目だ。
どんなに頑張っても結局…。
それより大きな力には勝てないんだ。
勝ち負けをやってんじゃないのよ!これは…。
私のお父さんとお母さんの命が懸かってる!大和の命が懸かってる!私の命も懸かってるの!私を…。
一人にしないと言ったでしょ?大和が一人にならないでよ!また昔の大和に戻らないでよ…。
大和だけは信じさせてよ。
私を一人にしないでよ…。
そうだよな。
これは勝ち負けをやってるわけじゃない。
だけど…。
絶対に負けたくない。
俺が今生きてるのは…。
未来たちを守るためだから。
大和…。
切り札がもう一つあった。
名前は川崎雄大になってるけど親父の若いころだろ?そう言われればそう見えるけど。
こうなったら…。
若いころの親父に真相を聞くしかない。
えっ?どうやって?その看板のジャズバーを調べたらまだ府中にあったんだ。
そこへ行ってみよう。
ジャズバー?
(水原)うん。
大和君が現れそうな場所といったらもうここしか考えられない。
マスター。
お久しぶりです。
(マスター)お前…雄大!?生きてたのか!いえ。
もう死んでいます。
三億円事件だけがまだ生きているんです。
当時の3億円は現在の貨幣価値にすると20億円以上になる
今の自分にとってあのときの3億円はどれほどの価値があるのだろう
命を投げ出す価値はあるのか?
だけどその扉を開けずにはいられなかった
いらっしゃい。
(さんま)さあ何をやってもねツイていないフジテレビ。
(今田)そんなことないですよ。
そろそろツキだしてるでしょ!?2016/06/25(土) 21:00〜23:10
関西テレビ1
土曜プレミアム・モンタージュ〜三億円事件奇譚〜前編[字][多]
20世紀最大の未解決事件、三億円事件の紙弊が48年の時を経て、軍艦島で見つかったその直後から発見者の大和と未来は無実の罪をきせられ謎の男に追われ始める
詳細情報
番組内容
1968年12月10日に、東京都府中市で発生した20世紀最大の未解決事件「三億円事件」。空前の規模で大捜査が行われたものの、犯人逮捕には至らず、時効を迎えた。
舞台は2009年の長崎、高校3年生の鳴海大和(福士蒼汰)は通学路の途中で、幼なじみの小田切未来(芳根京子)と共に、瀕死の老人・東海林明(香川照之)を発見。大和は唐突に、東海林から「お前の父親は、三億円事件の犯人だ。誰も信用するな」と
番組内容2
告げられる。その日の夜から、突然、姿を消した大和の父親・鳴海鉄也(唐沢寿明)は、三日後に長崎から遠く離れた東京で水死体として発見される。
時は過ぎ、2016年の長崎、25歳になった大和は、フリーターとして日々を無為に過ごしていた。日々を漫然と過ごす大和は、その不満を埋めるかのように、7年前に東海林から告げられた「お前の父親は、三億円事件の犯人だ」という言葉に妄想を膨らまし、「三億円事件」について
番組内容3
詳しく調べ始める。そんな折、大和は父親・鉄也の形見の剣道着から、血痕が付着した旧・五百円札を発見する。
数日後、未来の父親・武雄(デビット伊東)と母親・葉子(西尾まり)が失踪。夫婦の失踪と三億円事件の関連を疑う大和は、彼らが今は誰も住んでいない孤島、軍艦島に向かったことに気付く。夫婦を追って、軍艦島にたどり着いた大和と未来は、三億円事件で奪われたと思われる旧一万円札の束が詰まった袋を発見する。
出演者
福士蒼汰
芳根京子
劇団ひとり
ムロツヨシ
杉咲花
野村周平
門脇麦
ホラン千秋
三浦貴大
遠藤憲一
夏木マリ
香川照之
唐沢寿明
西田敏行
他
スタッフ
【原作】
渡辺潤「モンタージュ 三億円事件奇譚」(講談社・ヤングマガジン)
【脚本】
大森寿美男
【プロデュース】
長部聡介
牧野正
【演出】
水田成英
【制作】
フジテレビ ドラマ制作センター
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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