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反EU政党に勢い

 【ブリュッセル八田浩輔、ローマ福島良典】英国民の選択は、移民排斥などを掲げて支持を広げる反EU政党を勢いづけた。反ユーロと不法移民排斥を掲げるイタリアの右翼政党「北部同盟」のマッテオ・サルビーニ書記長は「英国の自由市民の勇気に万歳! 今度は私たちの番だ」と支持者を鼓舞した。

     イタリア憲法は国際条約を問う国民投票を禁じており、EU離脱には憲法改正が必要との見方が一般的だ。だが、新興野党勢力「五つ星運動」のダニロ・トニネッリ下院議員はツイッターで「民主主義が勝ち、『銀行の(支配する)欧州』が負けた。変革を求める機運が強まっている」と主張した。

     債務危機以降、イタリアなど南欧では高い失業率が続く。来年はフランスで大統領選、ドイツで総選挙が行われる。反EU政党、右翼政党の伸長が予想されているだけでなく、他政党でもEUに懐疑的な有権者に配慮した公約を掲げる候補者が増えそうだ。

     米調査機関ピュー・リサーチセンターが今月発表したEU加盟10カ国の世論調査では、EUを好ましくないと答えた人は47%に上った。加盟国に権限をある程度戻すべきだと答えた人は42%に達し、EUに権限を移すべきだ(19%)を大きく上回った。

     ブリュッセル自由大のナタリー・ブラック講師(欧州政治)は「EUへの懐疑的な見方が広がっており、過去の危機とは性格が違う。EUが築き上げてきたものを根本的に問い直す必要がある」と話す。EUから加盟国が次々と離脱を求める「ドミノ現象」が起きるとの見方には否定的だが「EU懐疑派やポピュリズム政党を確実に勢いづける」と予想する。

     経済共同体から政治統合体に深化を続け、原加盟6カ国から28カ国に拡大してきたEUは、ギリシャ危機、難民危機に続き、大国・英国の離脱という異質な試練に直面した。

     「EU離脱」の投票結果を受けて会見したトゥスク常任議長(EU大統領)は「つらい時こそ人は強くなる」と述べ、英国が抜けた後も残る27カ国で結束していく決意を示した。

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