残留か離脱か…固唾のんで開票見守る
【ロンドン三木幸治】英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票は24日未明(日本時間同日午前)から開票作業が進む中、残留、離脱の両派が固唾(かたず)をのんで結果判明を見守った。両派が拮抗(きっこう)する中で、残留派の英国民に加えて、EU加盟国首脳らが「現状維持」を唱える一方で、離脱派は「EUからの独立回復」という「運命の時」を待ち構えている。
残留派の先頭に立つキャメロン英首相は23日午前、ロンドンの首相官邸近くで投票を済ませた。前日の22日には「残留すれば英国は今よりも安全で豊かになるだろう」と語り、有権者に向けて「最後の訴え」を試みた。
残留派の国民は長年加盟していたEUからの離脱が決まれば、急激な変化に見舞われる事態を恐れている。服飾店の女性販売員のホーリー・ドゥーリンさん(27)は「もし離脱したら、何が起きるかわからないし、怖い。ビジネスも落ち込むだろうし、ポンドも下落する。誰も何が起きるかわからない」と話す。貿易面の影響を恐れる有権者も少なくなく、男性公務員のマイケル・デービスさん(27)は「EUとの貿易がすぐには回復できなくなり、製造業などに大きな影響を与えるだろう」と言う。
英国離脱の危機を恐れるEU中枢国の首脳も、投票が行われた23日に改めて「エール」を送った。ドイツのメルケル首相は「英国がEUの一員であり続けることを願っている」、フランスのオランド大統領は「英国がEUに占めるべき場所があり、立ち去ることはない」と語った。
開票作業が着々と進む中で、離脱派のトーンもしぼんでいない。
「英国は欧州の法律(EU法)に支配される失敗国家になってしまった。経済が落ち込んでも、そのうちに回復するだろう。EUから独立することが重要なのだ」。ロンドンのシャドウェル地区にいた男性弁護士のマイケル・フリーマンさん(69)は、そう訴えた。
高所得者が多いノッティングヒル地区でも、女性公務員のジャネット・フィールドさん(41)が「独立の意義」を強調。「この国の主権を取り戻すというのが離脱派に投票した大きな理由。移民の問題もあるが、それは私の大きな関心事ではない。英国のアイデンティティーを取り戻すことが重要だ」と話す。
英国内で同派のリーダー格となっているジョンソン前ロンドン市長は投票日前日の22日に訴えていた。
「明日を『英国の独立記念日』にしよう」