新聞の立場、真っ二つ
【ロンドン三木幸治】欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国の国民投票で、残留、離脱の支持を巡る英国の新聞の立場が真っ二つに割れている。同じ系列の新聞でも平日発行の新聞と日曜紙で意見が異なるケースもあり、EU離脱問題の難しさを浮き彫りにしている。
残留を支持しているのは、高級紙タイムズ、ガーディアンや経済紙のフィナンシャル・タイムズ、大衆紙デーリー・ミラーなど。タイムズは18日付1面の記事で「英国は、自由貿易と改革に尽力する加盟国と(EU内で)新しい同盟を作るべきだ」として、残留支持を打ち出した。フィナンシャル・タイムズは16日付電子版で「EU離脱は英国経済に深刻な影響を与えかねない。欧州が移民などの問題に直面している現在、建設的な関与が不可欠だ」と主張した。
一方、離脱を支持するのは、国内最大の発行部数を誇る大衆紙サンとデーリー・メールのほか、高級紙デーリー・テレグラフ、日曜紙サンデー・タイムズなど。サンとサンデー・タイムズは、残留を支持するタイムズと同じメディア王のルパート・マードック氏がオーナーを務める。サンは13日付電子版で「EUは欲深く、無駄が多く、危機に対応できない。23日は(EU加盟という)歴史的過ちを正すことができる」との社説を掲載した。
世論調査では富裕層に残留支持が多く、労働者階級に離脱派支持が多い傾向にあるが、新聞は高級紙が必ずしも残留支持というわけではなく、複雑な構図になっている。