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【沖縄戦没者追悼式】
仲間里咲さん「平和ぬ世界どぅ大切」
沖縄県金武町立金武小6年の仲間里咲さん(11)は、23日の沖縄全戦没者追悼式で平和の詩「平和(ふぃーわ)ぬ世界(しけー)どぅ大切(てーしち)」を朗読した。「平和な世界が大切」との意味で、沖縄戦が終わった季節に響く蝉(せみ)時雨とともに平和の尊さを訴えたい、との思いを込めた。
沖縄戦を描いた絵本に「セミの鳴き声は、戦没者の悲しみを叫んでいる」という趣旨の一文があったことを、ふと思い出した。命の短いセミは「戦争を知らない私たちに、平和の大切さを教えてくれているのでは」と感じ、今回の詩を作ったという。
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「ミーンミーン」
今年も蝉の鳴く季節が来た
夏の蝉の鳴き声は
戦没者たちの魂のように
悲しみを訴えているということを
耳にしたような気がする
戦争で帰らぬ人となった人の魂が
蝉にやどりついているのだろうか
「ミーンミーン」
今年も鳴き続けることだろう
「おじぃどうしたの?」
左うでをおさえる祖父に問う
祖父の視線を追う私
テレビでは、戦争の映像が流れている
しばらくの沈黙のあと
祖父が重たい口を開いた
「おじぃは海軍にいたんだよ」
おどろく私をよそに
「空からの弾が左うでに当たってしまったんだよ」
ひとりごとのようにつぶやく祖父の姿を
今でも覚えている
戦争のことを思い出すと痛むらしい
ズキンズキンと…
祖父の心の中では
戦争がまだ続いているのか
今は亡き祖父
この蝉の鳴き声を
空のかなたで聞いているのか
死者の魂のように思っているのだろうか
しかし私は思う
戦没者の悲しみを鳴き叫ぶ蝉の声ではないと
平和を願い鳴き続けている蝉の声だと
大きな空に向かって飛び
平和の素晴らしさ尊さを
私達に知らせているのだと
人は空に手をのばし
希望を込めて平和の願いを蝉とともに叫ぼう
「ミーンミーン」
「平和ぬ世界どぅ大切」