昨日の朝、「なーんだ、結局杞憂だったんじゃん」って夫と笑い合ってからいつもの騒がしくも平和な日常に戻るつもりで起きた。 ところが、Twitterフィードがおかしい、FBフィードもおかしい。
最初は何が起こっているのかわからない、現実が理解できない、呆然とひたすらニュースを読みあさる、そして24時間以上経った今はショック、そして怒り、悲しみ、まだ信じられない、そしてまた怒り・・・
これは、ほぼ全額ポンド建ての我が家の家計資産が一夜にして毀損されたとか、不況になったら自分の仕事はどうなる?、とかそういう個人的な経済上の問題ではない。 私たちの子どもたち世代の将来に、何十年にも渡って根深く悪影響を与える取り返しのつかないことをしてくれた、という怒り・悲しみである。
最初に前提を確認しておくと、私はビザ上は夫(オーストラリア人)の”UK Ancestry Visa”という「祖父母の誰かがイギリス人でコモンウェルス市民なら来ていいですよ」というビザの配偶者という形でイギリスにいるので(*1)、イギリスがEUの一員かどうかは直接的には私のビザステイタスには関係がない。 イギリスが自国内のEU住民を全員国外追放したとしても(そういうことは人道上起こりえないが)、私のビザには関係がない。 そういうテクニカルな問題とは別に、私たちがロンドンにやってきた理由(*2)は他のaspirationalなEU出身の若者とほとんど変わらない。
*1・・・参照:『大英帝国の末裔ビザ』
*2・・・私はいつも「イギリス」と「ロンドン」を使い分けている、東京が日本の全てではないのと同じ。 私たちがロンドンに来た理由はこちら。
ロンドンは簡単に言うとヨーロッパの首都である(「世界の首都」とまで言う人もいる)。 そうはっきり言ってしまうと語弊があるので、みんなあまり大きな声で言わないだけ。 EUのみならず世界中から大量に人が来るのは日本の高度成長期に地方から大都市に仕事を求めて大勢の人が上京したのと本質的には変わらない(*3)。
ロンドンは多文化で、だからこそ多様性に寛容で、リベラルで市場主義でクリエイティブでオポチュニティーに溢れている。 今年の5月に世界の大都市では歴史上初めてイスラム教徒を市長に選んだ。 アメリカでは「イスラム教徒入国禁止」などと叫んでいる人が大統領候補である一方で、イスラム教徒を市長に選んだロンドンを誇りに思ったLondoner(ロンドンっ子)は多いはずである。
*3・・・参照:『グローバル上京物語』、『ロンドンにとっての地方』、『Frenchman in London』、『ロンドン栄光の時代?』
今回の国民投票結果データはBBCのサイト(“EU Referendum”)で自治体別の結果が見られるが、私の住んでいるRichmond Upon Thamesは残留派69.3%、離脱派30.7%、以前住んでたLambethなど残留派78.6%、離脱派21.4%である。 これは外国生まれでイギリス市民権を持たない住人(800万人いるロンドン全体で200万人弱、私も含む)と選挙権があっても投票しなかった人口(若者が多い)、17歳以下の若者を含まずにこの率だから、体感的には残留派が大多数。 道理で離脱派は周りにほとんど見ないわけである。
今回、最終的には残留派が勝つと見られていたため昨日は大混乱だった。 日本ではたいして注目されていなかった英国民投票の結果が市場で大混乱を巻き起こしたことに対し、めいろまさんの「イギリスがEU離脱した理由」がわかりやすいと大拡散されていて驚いた。 内容はいつものめいろま節だけど、「離脱に投票した一般人はポピュリストの情報操作によって、記事の内容を信じこまされている」というポイントが完全に欠けている。 この記事を読んで「そりゃあ、これだと移民は嫌だと言うイギリス人の気持ちがわかる」というコメントが溢れていて仰天した、この「説明のわかりやすさ」が元凶だと言うのに。
子どもの人数が増えたので学校に入れない子が出てきた、病院の救急病棟の待ち時間が4時間、不動産が値上がりして一般サラリーマンが普通に家が買えない、EUの押し付ける法律がバカらしい・・・これらはこの国が抱える問題としては全て事実である。 ところが、問題の元凶が移民にある、というのはこれを政治利用したい保守党一部と右派である独立党(UKIP)のレトリックである。
まず、学校が足りない問題。 これは移民による人口増もあるが、一番大きいのは2000年以降のベビーブーム(*4)。 移民の生殖年齢の女性は全人口から見ると限られている、イギリス人が産んでるからこそ子どもの数が増えたのである。 ちなみに出生率は最新のThe Economistによると長引く不況で落ち込んだそうであるが、小学校の入学問題は数年前の出生率を反映している。
次に病院の問題。 これは最大の原因は高齢化と平均寿命の伸び、また肥満化により病院にかかる人が増えたからである。 移民の平均年齢はイギリス人の平均年齢より若い。 しかも基本的に働くために来ているので、若く健康でよく働く。 移民が増えたことによる地方財政への負担増ではなく、イギリス人自身が高齢化し長生きし肥満化しているから病院が逼迫しているのである。 高齢化は先進国共通の問題だし、肥満と貧困は密接に関連している。 地方の不況により、地方の自治体にお金がない、というのもある。 これはグローバル化の進行による都市と地方の格差の問題。
そして不動産価格が高騰している問題。 特にロンドンで顕著だが、最も大きい理由は建築規制で高層ビルが建てられず、また広大なグリーンベルトと呼ばれる開発規制がかかった地区がロンドンを覆っているからである(*5)。 ちなみに上記の通り、最も不動産価格が高騰し住宅が足りないロンドンはイングランドの中で最も残留支持が多い。
*4・・・参照:『働く女が産んでいる』
*5・・・参照:『ロンドンと摩天楼』
もう英メディアでは多く報じられているが、今回、離脱票が最も多かったのは移民が最も少なかった地域であり、残留票が多かったのは移民が最も多かった地域である。
The Guardian : Fear of immigration drove the leave victory – not immigration itself
日本では、老人に離脱票が多く若者に残留票が多いというニュースも報じられているが、老人 VS 若者という単純な構造でもない。
上のグラフはガーディアンのこの記事からだが、老人でも大卒だと残留派が多い。 移民も来ないような地方の低学歴ワーキングクラス(労働者階層)・ミドルクラス(中間層)が、精神論でアンチエスタブリッシュメントなポピュリスト政治家の言うことを信じてしまったのである。 つまり日本で例えると地方のマイルドヤンキー(高齢マイルドヤンキー含む)が東京都民の大多数が反対するにも拘らず、右派に同調してしまいそれが「国民の声」として「民意」となってしまった、に等しい。
「学校が足りないのも病院が混んでるのも全部The Economistに書いてあるから、新聞読めよ」と言いたいところだが、まさにanti intellectualism(反知性)が勝ったのが今回の国民投票だった。 EUという巨大で複雑なインスティテューションを移民というわかりやすい争点一点で切り取ってしまった。
右は国民投票前に拡散されていたツイートだが、完全に同意する。
ヨーロッパの歴史:
戦争
戦争
戦争
戦争
戦争
戦争
戦争
バナナでもめる正直言って、俺、バナナでもめる方でいいわ。#残留派
EUの最大の功績は数世紀に渡って戦争ばかりしていたヨーロッパ諸国がEUになってからは一度も戦争をしていないことにある。 ナショナリズムで二度の大戦の戦場となり、記憶に新しいところでもナショナリズムによりユーゴ紛争で民族浄化が起こっている。 統一市場による経済成長という最大の戦争抑止力でもってきたEU、(前述のめいろまさんの記事にも出てくる)「スーパーで売るバナナが曲がっていてはいけない」という奇妙な法律ができても「バナナくらいでガタガタ言うな」というのが普通の人の感覚だと思う。
自国(national)の利益や自由を多少犠牲にしてでも超国家(super national)の利益の観点に立ちましょう、というのが当初の精神で、EUは加盟しても脱会することはない片道切符の行政機構だったはず(そういう制度設計にももちろん問題はあるが)。
昨日だけで以下のことが起こった。
– スコットランドが再度、英国連合からの独立を問う国民投票実施を示唆
– アイルランドのシンフェイン党がアイルランドの再統一呼びかけ
– フランスの極右政党がBrexitに続くFrexit呼びかけ
– スペインがジブラルタル(英領)のイギリスとの共同領有を提案
– オランダの世論調査でオランダでも国民投票実施を支持する人が過半数を上回る
– 以下、略
パンドラの箱は開いてしまった。
友人のスコットランド人は「実家に電話したら”スコットランドはみんな独立したがっている”、と言ってた」と半泣きである。 同じ国に住んでいると思っていた家族といつの間にか別々の国に離れてしまった・・・これって東西ドイツ、南北朝鮮、ユーゴスラビアetc. 戦争の世紀だった20世紀に至るところで起こっていた風景では・・・
住人の半分が移民出身でグローバリズムの恩恵を受けているロンドン人の間でもイギリスを離脱する”Lexit”してEUに残りたい、という署名が集まっている。
私たち自身は「リベラルで差別・偏見がなく公平な民主主義社会に移ってきたつもりなのに、私たちの子ども世代に何をしてくれた?」という気持ちが強い。 が、正直言って私たちのような人は社会の空気が不穏になったらいつでも家を売って荷物まとめて出ていける、来たときと同じように。 結局、今回、離脱票を投じたような人たちが最も影響を受けるのである。 そこに今回の問題の根深さがある。
June 25th, 2016 at 9:17 pm
留学で渡英後、そのまま英国企業に就職して Tier 2 General ビザを取得しヨークシャーに居住している者です。
個人的にはロンドンとロンドン以外の差異は、東京と東京以外の差異より大きいと感じます。The Economist 読めよと書かれても、私の住んでいる都市(人口40万・都市圏人口200万)で買える店を見たことがないし、FT や Guardian ですら売っている所は多くない。よしんば売られていたとしてもヨークシャーメンは周囲に posh と言われるのを恥じて読まないと思います。記事全体はまあ正論だと思いますが、失礼な話、なにかロンドンと地方の感覚的ズレを見たような気がしました。
この辺りの庶民層は金融危機以降バンカーへの不信感も強く、英国のGDPの多くをシティが稼いでいることは知っていても、内心では滅んでしまえと呪っている。キャメロンとオズボーンは離脱の経済的デメリットを訴えるよりは、経営者層の給与に上限を設けて最低時給を引き上げる公約を空手形でも出すのが戦術的に有効だったろうと思います。経済的合理性のもとでは低い給与とゼロアワーに甘んじるしかない人にとっては経済的合理性はいくら科学的でも結局「敵の理論」でしかない。
シンガポールでは世論の突き上げをうけて外国人雇用税の引き上げ(移民制限)に舵を切っていますし、アメリカ大統領選は既成政治の否定が大きなうねりになってるし、イギリスも昨年はSNPの躍進や労働党首選で既成政治へのノーが強く出てましたし、反グローバリズム・反エスタブリシュメントが左派右派それぞれの形で世界的に力を増している流れの上では、離脱と結果が出るのはいたし方なかったのかなと個人的には受け止めます。サッチャー以前はストップ・ゴーと揶揄されるほど選挙に経済が翻弄された国ですし。
とりとめのない感想で失礼しました。今後も記事を楽しみにしています。
June 25th, 2016 at 9:32 pm
コメントありがとうございます。
全くおっしゃる通りだと思います。 私の周りはみんな離脱の結果に仰天してましたが、仰天してる方がナイーブだったのでしょう。
>キャメロンとオズボーンは離脱の経済的デメリットを訴えるよりは、経営者層の給与に上限を設けて最低時給を引き上げる公約を空手形でも出すのが戦術的に有効だったろうと思います。
私は「そもそもこんな重要な議題を国民投票で問うな」、「既成政治へのノーなら総選挙で言え」と思ってますが、相当な激震だったので現状の格差への是正案は何か出されるのでしょう。 それにしても今のカオスがすごすぎて笑えません。
June 25th, 2016 at 9:37 pm
[…] 情報源: Brexitというパンドラの箱 | 世界級ライフスタイルのつくり方 […]
June 25th, 2016 at 11:28 pm
> それにしても今のカオスがすごすぎて笑えません。
私の職場でも24日は午前中はあちこちでショックだーと話に花が咲いてましたが、2時間もするとほぼ通常モードで淡々としたものでしたね。いたって Keep calm and carry on でした。
私は学生時代を京都で過ごしましたが、イギリス人と京都人はなんか似ているなと思います。排他的だけど有益なお客さんにはとても優しい、伝統を重んじつつ新しいものを取り入れるのに貪欲。離脱しようとスコットランドに独立されようと、イングランドはおそらくしたたかに生き延びていくんだろうと思います。
June 25th, 2016 at 11:31 pm
漏れてくる報道では、みな残留が多かった。
本当に離脱するなんてロンドンのマスコミはこれっぽっちも考えてなかったのが良くわかる。
離脱に投票したほうも、euroが何かなんてわかってなかったし、シェンゲン協定も理解してないと思う。
でも投票は行われたし、イギリス人はアイリッシュより
よっぽど煽動されやすいのは証明されてしまった。
円高やめてほしい、、、
June 26th, 2016 at 12:10 am
シアトルでは真夜中頃のBBCニュースが「Brexitだ」と言い出したので、あれ、52%でRemainのはずでは?とびっくりしていたらキャメロン首相の敗北スピ-チが流れ出しました。ああ、驚いた。それでなくても物騒な世の中が、より不安定になるのはありがたくないです。どう見回しても、この乱世を無事に漕ぎ抜けることができそうなリーダーがいないのは本当に怖い。
June 26th, 2016 at 1:02 am
「移民も来ないような地方の低学歴ワーキングクラス(労働者階層)・ミドルクラス(中間層)が、精神論でアンチエスタブリッシュメントなポピュリスト政治家の言うことを信じてしまったのである。 」
こういう差別的な物言いをするから反発を呼んで離脱派を勢いづかせたんじゃないですかねえ。
離脱に票を入れた貧困層からしてみれば、それによってあなた方のようなエリート層に少しでもダメージを与えられたら本望、という気持ちもあるのではないでしょうか。結果的に自分達の首を絞める事になっても。
私はいわゆるマイルドヤンキー層とは違いますが、底辺です。『世界級ライフスタイル』を実践しているエリート様からこういうふうに見下されたらそりゃあいい気分はしません。自殺行為であろうともエリート様が敵視する方に入れてやろうという気分になってもおかしくないでしょう。
June 26th, 2016 at 2:12 am
ロンドンの壁ができる前にスコットランドに移住するべきですね。
June 26th, 2016 at 4:06 am
日本に住んでいては知り得ないことも幾つか知ることができました。
しかし「統一市場による経済成長という最大の戦争抑止力」には同意できません。
EUができたから戦争が無くなったのではなく、戦争の痛みを味わったから戦争が(今のところ)ないのです。
日本の憲法9条よりはEU内で話し合いの場があるということで、戦争の抑止力になる可能性はありますが、
EUがバナナのことを決めているようでは戦争を止める能力があるか懐疑的になってしまいます。
歴史的には経済格差や不平等感が戦争の引き金になってきました。
Social grade はHigher education やAnnual income と相関します。
そしてこれは世代を越えて保存されやすいものです。
(世界中でその傾向は強いので、イギリスではもっとそれが保存され易いはずです。)
イギリスではEU内では高福祉なので、まだ不満は削がれていたのでしょうが、EUによって潤っているのは大都市居住者や経営者のような人が多く、労働者にはその恩恵はあまり実感できないのではないかと思います。
富の分配機能がイギリスですら十分でなかったということは重大なことで、多くの連鎖を生むかもしれないと思います。
再び極左政権が東欧を支配したら困ると思い、EUは急いだのかも知れませんが、加盟国の追加や移民のルールについては性急すぎたということで、移民の受け入れはゆっくりやるべきだったと思います。
富の分配装置としてEUが機能するには文化も言語も、所得格差も違いすぎたのかなと感じます。
まず経済協定を結んだり、経済支援したり、人材交流させたりと旧社会主義国を取り込むのは時間を掛けた方が良かった。
変わるべきなのはEU側でしょう。
June 26th, 2016 at 4:07 am
私は今回メイロマさんという人を初めてフェイスブックのシェアで知りましたが、子供の頃長年イギリスに住み、また大人になってつい最近まで住んでいたものとしては、全く違和感を持つ彼女の解説だったので、驚いていました。彼女は投票者の気持ちを代弁しているのはよくわかります。まさしく彼女のロジックでこのような投票結果になったと思います。でも、その背後のロジックは事実関係とは違うので、まるであたかも移民が悪い、それがファクトだ、と書いている彼女には違和感。人種偏見ではないんだとは言いますが「東欧の人間」を「ユダヤ人」と置き換えれば、最終的にはracismの種だということに気がつくと思いますが。 そんな中、誰かがこちらのページをFBにあげていました。明確な説明。私もエコノミストファンです。これ、拡散されてないの残念! 友人が言っていましたが、今回の結果は結局「経済成長の恩恵が十分に再分配されていない社会の現象」と。まさしくその不満の爆発だったんでしょうね。 私は米国が一番長く、そのバカっぷりに悲しみ、British superiorityに思うところがありましたが、pot, meet kettle!
June 26th, 2016 at 4:14 am
日本の国内状況から類推するに、現地での受け止め方はこの通りなんでしょうね。貴重なレポートです。
ただこの文面からは良くも悪くも、世界のどこにでも移り住める富裕層が予想外の貧民の反乱に対して苦々しく思う気持ちが滲み出ていますね。
グローバリズム対ナショナリズムだけでなく、リッチ対プア、インテリ対フールの対立構造も内包した結果だという事なのでしょう。
集団の中の諸問題の責を身近な異物に負わせるのはナチスを持ち出すまでもなく歴史上の常套手段です。充分な警戒が必要です。お気をつけを。
June 26th, 2016 at 4:23 am
いやいや、石原慎太郎を4選している東京こそ右翼化してるのをスルーされては困りますね…
>日本で例えると地方のマイルドヤンキー(高齢マイルドヤンキー含む)が東京都民の大多数が反対するにも拘らず、右派に同調してしまいそれが「国民の声」として「民意」となってしまった
June 26th, 2016 at 12:17 pm
対抗馬が屑しかいなかったから4選しただけです。
June 26th, 2016 at 4:53 am
今回の国民投票には法的拘束力が無いのだから、国政に何か変化が欲しければ、取りあえず反対の離脱をぶち上げるものですよ。
地方の低学歴労働者層が変化を求めていて、現状に満足するインテリ層や若年層が変化を嫌っている、ということでしょう。
目立たなくても日本のインテリは、銃殺事件前には離脱派優勢とか、歴史文脈的に離脱の可能性が高いとする記事を出してましたよ。
冷戦中からNYやウィーンでは役人天国の国連も国連職員も嫌われていて、サッチャー時代にEU議会も同じことになると言いながら統合を頑張ったのは、冷戦後の経済混乱に備えるためだったような。
まあだからEU域外での紛争が増えても無事だったわけで、確かに良い保険でした。
それでも離婚できない結婚は不自然なので、離脱の前例をうまく作るチャンス、トルコ加盟前にEUにも良い経験になるでしょう。
それでも離婚できない結婚は不自然なので、離脱の前例をうまく作るチャンス、EUにも良い経験になるでしょう。
傑作コメディーが生まれるのが楽しみです。
June 26th, 2016 at 5:18 am
考えさせられる。これを書いている方は、自覚がないままに敗北宣言をしているのだけど、つきつめると「”リベラルで差別・偏見がなく公平な民主主義社会”は、地方の低所得低学歴を見下して、何の恩恵も与えてこなかったでしょ?そのツケだよ」というお話であるよう。
その状況で「ロンドンは人口の半分が移民だから、ロンドンだけ独立しようぜ」という話が周囲で盛り上がっているというあたりで、この人たちの「リベラルで差別・偏見がなく公平な民主主義社会」はここに至っても都市住民は地方の貧者・弱者との対話は無理という皮肉のきいたオチがついている。
「俺ら、ちょっと見えてないものがあったな。反省して地方もみんなで幸せになれる方法を探そう」とは決してならないから、きっともっと対立は深まっていくのだろうなあ・・・
June 26th, 2016 at 8:37 am
日本でも地方交付税交付金という形で地方にお金を払っている。東京はもらっていない
英国ではウェールズがEUからたくさん助成金もらっていながら離脱過半数。
何の恩恵も与えられたいなかったから離脱になったなんて話ではない。
June 26th, 2016 at 8:53 am
今回離脱に賛成したウェールズはEUからたくさん拠出金もらってるところですよ。
恩恵を与えていないからなんてのは嘘。
June 26th, 2016 at 9:53 am
その拠出金は土地に降りているだけで人に降りているわけではない。
イギリスの住人はそれなりに高い税金を払っているわけですし、EUから助けてもらっているという実感はないんでは?
目に見える形で恩恵がないなら、それを理由に人を動かすのは難しいのですよ。
June 26th, 2016 at 5:25 am
模型業界で働いているものです。
イギリスの友人とは飛行機模型と塗装工具で仲良くなったのですが、地方と低層労働者にすべてのツケを押し付けた反動
はこれからすべての国家で起こるだろうと言われました。
June 26th, 2016 at 8:52 am
イギリス地方在住です。こちらは、”Leave Vote”の声が大きく、まさか離脱するのでは、、、という危機感はありましたが、それでもまだ現実を受け止めるのに、時間がかかっております。
「結局、今回、離脱票を投じたような人たちが最も影響を受けるのである。」
強く同感いたします。一部の政治家の無責任な言葉を信じ、離脱票を投じてしまった(すでに離脱票を後悔している人もいるとの報道でていますよね、、、)今回の問題の根深さ、そして今後の影響の深さを感じます。
Economistを読んでいますが、”まだまだ理解できない、でもとっても重要そう!”な記事を、
葉子さんが解説してくださっていることが沢山ありました。感謝しています。
今後も、ブログを楽しみに待っております。どうか、末長く続けていただけると幸いです。
June 26th, 2016 at 9:15 am
はじめまして。ツイッターから、たどり着いたものです。
現地の空気が伝わるレポート参考にさせていただきました。
めいろまさん同様、葉子さんの主張も主観であると読み手も了解しているとおもいますが、いわせてください。
教育が足りない地方の人間だからだまされていると、いうのは、差別・偏見に満ちた発想ではないですか?
「リベラルで差別・偏見がなく公平な民主主義社会に移ってきたつもりなのに(以下略)」
このように、完全に差別偏見がない世界など幻想にすぎないのと同じように、
グローバリズム・新自由主義は資本主義の帰結とか、時代の流れだというのも幻想です。
しかし、
guchi さんのおっしゃるとおり、EUがあったから戦争が起こらない、という説(幻想)は
同意できないだけでなく有害であると思います。
パンドラの箱が空いた、というのは別な意味では正しいと思います。
グローバリストの提示する未来や理論が全く説得力をもたなくなったし、
象徴的な出来事(ベルリンの壁など)で、世界中のある幻想が目に見える形で崩壊し、
一気に時代が動くというのはよくあることです。
イギリスの法的にしばられない国民投票で、EU離脱に方針が決まっただけでドミノ倒しのように世界中に広がるならば、
それはグローバリズムの提示する社会幻想が、よっぽど無理筋だった、という証明です。
ベルリン崩壊前の共産主義国のように。
June 26th, 2016 at 4:20 pm
めいろまさんの挙げる問題点が7つくらいあるうち、6つめにしか反証してなく、弱く感じてしまいます。
つまり人口急増で問題が起きていることに反証しておられます。
そのうち学校の反証には説得力を感じますが、病院についての反証は断定的すぎるように感じます。
「高齢化と平均寿命の伸び」といってもここ最近で急に平均寿命が伸びたわけではないし・・・
ロンドンの建築規制についても昔からの文化であり、そこから高騰したのは何故かを考えないといけない。
これについては移民というよりも地方からの移住や都市のグローバル化による影響が大きいと推測しますが、
それらにより地方は都市部への怨嗟のようなものを持っているのではないでしょうか。
つまり、地方の才能を吸い上げ、都市生活スタイルこそが魅力的だと言い合い、得体のしれない付加価値を
付与し、自分たちの話題が都市の話に侵食され、それがさらに都市の価値を高めていくということに
疎外を感じているのでは?
そこへさらに得体のしれない移民がくるということに、疎外を強めているのでは?
June 26th, 2016 at 9:29 am
この記事を読んで思うのは、やっぱり、ロンドン在住のエリート層には、地方の気持ちは分からないんだな、ということ。
勉強熱心なのは結構ですが、The Economistなんて、なぜ国民みんなが読まなくちゃいけないんですかね?
現時点の各種問題が高齢化や出生率のせいだとしても、このまま移民を放っておけば、イギリス国内の経済格差がますます開くのは間違いありません。
そして、それがテロや犯罪の温床になることは、アメリカを見れば一目瞭然です。
政治を動かすのはロジックではなく、感情です。そして、それが常に間違っているとは思いません。
いまのEUは、閉鎖的で権力が集中しすぎていて、非常にキナ臭い。それを地方は、感じ取っているのです。
June 26th, 2016 at 9:41 am
う~ん。
この記事はどれも「めいろま記事」の論点からずれて反論してるので、全く説得力がないんですよね。
子供の出生率がイギリス人が高いと説明してるけど、めいろまさんは子供の移民のことを言ってるんだし、
医療についてもイギリス人の老人が増えているから苦しくなってると説明してるけど、めいろまさんは
その上でさらに移民が福祉をただで受けているからさらに大変なことになってると訴えているのだし。
そもそも、ここの時期では移民は若いと決めつけているし、若いから医療の世話にならないと読めるような文まで
書いている。おかしくないかな?
さらに、EUのおかげで戦争が起きてないと書いてあるのには驚きを通り越して笑ってしまった。
本当にそう思っているのだろうか。第二次大戦が終わって皆、戦争はこりごりだという意識があるからでしょう?
残念ですが、ここに書いてある記事はすべて説得力がないと言わざるをえないです。
もう少しイギリスの現状を勉強してください。
June 26th, 2016 at 10:07 am
拝見させていただきました。
で、コメントの流れをざっと見てました。
あれですよね、大雑把に「どんな目に遭ってもいいから自分たちを見下す輩に酷い目に合わせてやりたい」。
という流れそのものはわからんでもないのですが、それが移民苛めと移民への責任転嫁ってなんか話が捩れてますよね。
弱者差別と責任転嫁こそがインテリへの最大の攻撃って、そうかなぁ…。
なんか小学生襲って「誰でも良かった」と言ってるみたいな違和感。
いっそ腕力で挑んでくれるほうがなんぼか話がすっきりしてるんですが。
June 26th, 2016 at 10:46 am
はじめまして。今朝めいろまさんの記事をあまり批判的に読まずに引用してブログを書いたあと、あなたのこの記事を読んで色々考えこまされました。なるほど。確かに実際に自分が住んでいる地域における巨大事件としてはそれぐらいの反応があってしかるべきで、私は他人事的に軽い考えだった部分もあったかもしれないと反省しました。
しかしそれはそうと、ここで「論破したら終わり」という発想自体にその先がないような気もしていて、それについてブログを書いたので、もしよろしければお読みいただければと思っています。
http://keizokuramoto.hatenablog.com/entry/2016/06/26/193312
いくつか他ブログも拝読しましたが、あらゆる文脈を超えて自分たちの意志で人生を切り開く野心というかガッツというかには凄く共感を覚えました。私もそうありたいとおもいつつ全然違う方向に突っ走っていますが、ガッツの内容はかなり似ているように思います。あなたと考えが違う人も多いでしょうが、あなたの生き方を変える必要は全くないと思いますし、言われるまでもないでしょうがそのまま強く生きられることを祈念しております。ネットでの一期一会に感謝しつつ、それでは、さようなら。
June 26th, 2016 at 2:23 pm
世界大戦前も世界中で格差が広がり続け、多くの市民の不満エネルギーが他国侵略という形で噴出した(マスコミなどによりリードされた)という認識です。(現在の中国も似たようなガス抜きをしています。)
80年代から拡大し続ける格差エネルギーは、今の時代、段階では戦争という形では噴出しないでしょうけど。一人一票が与えられ、情報が昔より取りやすくなってる今の時代です。この投票結果は、不満エネルギーの抜け先としては真っ当かな。
人間だれしも完全ではないので、多数派の声を、政治主導でガス抜きや、希望など作ることも必要ではないでしょうか。
June 26th, 2016 at 2:48 pm
失礼な話かもしれませんが、今年の11月までに、イギリスの景気や為替が一気に落ち込んで、トランプの当選阻止に貢献したいただければと思っております。
June 26th, 2016 at 3:57 pm
今、米英で起きていることは行き過ぎたグローバリズムの揺り戻しなのではないでしょうか。少数のアングロサクソン的なリベラリスト/自由主義者が実社会を牽引する今日、彼らと、暴走したグローバリズムの綻びに不満不安を感じる人々との乖離が大きくなって、それが国内でも国家間でも対立を引き起こしている気が私にはします。私が出会ったデンマークの欧州懐疑主義の政治家は、「we need more democracy」と言っていたことを今でもよく覚えています。今こそ立ち止まって省みるいい機会では?
富裕層vs庶民とか、自国民vs移民とか、右翼vs左翼とか、アジテーターが好む陳腐な分かりやすい二項対立はもう止めです。だいたい分かりやすい解説なんて事態のほんの一部を掠め取っているから分かりやすく見えるだけでタチが悪いものも往々にしてあります。
そのためには義務教育レベルからダイバーシティが尊ばれる環境作りが必要だと幼稚ながら私は思います。