中国の"新皇帝"習近平がねらう「日本潰し」、そして「パックス・チャイナ」という野望

2016年06月24日(金) 近藤大介
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毛沢東の生き写しのよう

習近平主席の特徴の第2のキーワードである「毛沢東」に関しては、習近平主席の幼なじみから、次のような話を聞いたことがある。

「習近平は、父親の習仲勲(元副首相)が文化大革命前に失脚した影響で、15歳から22歳まで、北京の幹部用豪邸から陝西省の穴倉に追放された。その間、『人民日報』と『毛沢東語録』しか読むことを許されず、毛沢東主席にすっかり洗脳されてしまったのだ。

ある時など、『オレは毛主席の60年後に生まれたんだ』と吹聴していた。古代中国には『還暦の思想』(人間は60年で生まれ変わる)があったが、自分を毛沢東主席の生まれ変わりと思っているようだ」

習近平主席が、いかに尊敬する毛沢東主席をまねているかを示す例は、枚挙にいとまがない。演説にはほぼ必ず毛沢東語録が入るし、所作は毛沢東ソックリ。そして「中南海」での権力掌握術から、国民との接し方まで、毛沢東主席の生き写しのようなのだ。

毛沢東という名を聞いて中国人が想起するのは、建国の英雄であり、中国共産党の象徴であり、晩年には文化大革命を主導した独裁者である。

第3の特徴である「古代回帰」は、前述の通りだ。すなわち習近平主席は、盛唐の時代を理想型とする「冊封体制」を、常に頭に描いて執政しているように見受けられる。

この「北京人」「毛沢東」「古代回帰」という3つのキーワードを組み合わせると、習近平政治の本質が見えてくる。それを一言で言い表すなら、「21世紀の皇帝政治」である。

習近平政権のキャッチフレーズは、「中国の夢」(チャイニーズ・ドリーム)。これは略称で、正確に言うと、「中華民族の偉大なる復興という中国の夢の実現」だ。その意味するところは、自分が「アジアの皇帝」として君臨する「パックス・チャイナ」を、21世紀のアジアに構築することに他ならない。

それでは21世紀のアジアは、本当に「パックス・チャイナ」の時代を迎えるのか。

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