安倍政権は「中国に対抗する」選択肢を選んだ
日本は、2世紀ぶりに「アジアの中心」に躍り出つつある中国と、どう対峙していくか。これは21世紀日本の最大の外交問題である。
その選択肢は大別すると、「中国に従う」「中国に対抗する」「中国を無視する」……と、いくつか存在する。
2012年12月に発足したいまの安倍晋三政権は、「中国に対抗する」という選択肢を選んだ。この3年半の安倍外交は、「中国への対抗」という一点に収斂されると言っても過言ではない。
現役の首相として、10年前に退陣した小泉純一郎首相以来となる靖国神社参拝を果たしたのも、昨年4月にアメリカ連邦議会で演説したのも、今年3月に安全保障関連法を施行させたのも、すべては中国に対抗するためだ。
今年3月に内閣府が発表した世論調査によれば、日本人の実に83・2%が、中国に親しみを感じていない。日本が100年以上維持してきた「アジアの盟主」の地位を、中国が奪おうとしているのだから、日本人の中国への嫌悪感は、ある意味、当然とも言えるだろう。
また安倍政権は、そうした国民の「反中感情」のバックアップを受けて、3年半に及ぶ長期政権を維持しているのである。
次に、中国の立場に立った視点からも見てみよう。
中国が2世紀ぶりに、アジアの盟主になれるのかという大事な時期に、北京の「中南海」は、習近平という指導者を、「第5代皇帝」に推戴した。習近平とは、一体どのような指導者なのか?
私は、習近平政治の特徴を、「北京人」「毛沢東」「古代回帰」という3つのキーワードで言い表せると考えている。
まず、「北京人」について説明しよう。1949年にいまの中国を建国して以降、「初代皇帝」毛沢東は湖南人、2代目の鄧小平は四川人、3代目の江沢民は江蘇人、4代目の胡錦濤も江蘇人(もしくは安徽人)なので、習近平は初めての生粋の北京人である。
私は2012年11月に、習近平新総書記の就任演説を間近で聴いたが、完璧な標準中国語を話すのに驚いたものだ。中国は日本の25倍もの国土があるので、出身地が違えば、言葉から食事、気質まで違うのである。
北京人の特徴とは、思いつくままに縷々書き連ねれば、プライドが高い、メンツ重視、頑固、短気、大胆、保守的、大雑把、お人好し、政治好き、経済オンチ……といったことだ。これは、過去2代の江蘇人指導者の最大の特徴だった「リスク回避の志向」とは、まるで異なる。
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