北陸新幹線誘致、地元負担など議論停滞 京都・舞鶴
年内にも決まる北陸新幹線の敦賀以西ルートについて、京都府舞鶴市議会の一般質問で15、16日、府と北部7市町が推す「府北部ルート」を巡って議論になった。市は国や国会議員への要望や山陰新幹線を求める自治体との連携で誘致実現を目指す姿勢を示したが、地元負担や在来線の存続については、国の調査結果を待つ「停車」状態。22日公示の参院選で市民の関心が高まるかは不透明だ。
敦賀以西ルートは小浜-京都、小浜-舞鶴-京都、米原ルートの3案を国土交通省が調査、事業費や所要時間、需要見込みなどを10月にもまとめ、政府・与党が早ければ年内にも決める。
府北部ルート実現に向け、当初は福井県小浜市などとの連携に期待もあったが、同市や福井県はJR西日本が示した府北部を通らない小浜-京都案を所要時間や費用などの点から強力に推し、3月議会で決議した。府や舞鶴市などは山陰新幹線との接続メリットも訴えて巻き返しを図る。
北部7市町などでつくる「府北部ルート誘致促進同盟会」は今月8日、山陰新幹線早期整備を訴える鳥取市や松江市の首長らとともに、石破茂地方創生担当相が会長の「山陰新幹線を実現する国会議員の会」などに要望活動を展開した。
「政治決断」による誘致実現に向けて同盟会が手を尽くす一方で、負担への懸念は根強い。舞鶴市議会では議員が「事業費や地元負担はいくらか」「在来線がどうなるのか」などとただしたが、市は「国交省の調査結果を待つことになる」(企画管理部)と金額を明示せず、福井県の事例を引用。金沢-敦賀間(福井県内74・2キロ)の事業費想定は約7800億円で県負担は約1300億円とした。
在来線を地元自治体など出資の第三セクターが引き受ける「並行在来線」の問題についても、市は「国交省の調査で対象区間が明らかになる」と見通しについて答弁を避け、「負担金や並行在来線の対応以上の効果が新幹線誘致にはある」としたが、ある市議は「市民には分かりにくい」と指摘した。
市民の思いはどうか。市議会の特別委員会が5月末に開いた意見交換会で自治会代表者らは「夢のある話で歓迎するがメリットばかり聞こえてくる」と負担を不安視、「住民の盛り上がりが必要」との声も出た。
参院選で自民党は北陸新幹線の整備加速を訴える方針で、府内での論戦も注目される。舞鶴選出の池田正義府議(自民党)は「府北部は日本海側の重要地域で、山陰新幹線との接続を考えれば府北部ルートしかない」、小原舞府議(民進党・府民クラブ)は「日本海側の国土軸の形成に府北部を通るルートが必要」と訴えに備える。共産党の舞鶴市議員団は「負担や在来線の問題が明らかにされるべき」とする。
新幹線整備には多額の国費が投入される。各党、各候補者の訴えが市民の関心を高める試金石になりそうだ。
【 2016年06月26日 17時00分 】