★欧州での英国のEU離脱是非の国民投票は離脱と決まった。米国では大統領選挙が大詰めを迎え、日本では参院選挙の真っ最中。24日の東京金融市場は、日経平均株価が一時500円超も値下がりし、円相場は一時1ドル=99円台と13年11月以来の円高ドル安水準になるなど大混乱期に入ったといえる。

 ★そんな中、大いに注目を集めるのが今日25、26の両日、北京で中国が鳴り物入りで作ったアジアインフラ投資銀行(AIIB)の第1回年次総会だ。AIIBにはアジアの途上国や欧州の西側先進国など計57カ国が参加したものの、日米は透明性が保てないなど、主に政治的観点から同銀行に懐疑的で、両国は参加を見送った。現在は他に30カ国が参加を表明。日米が最大の出資国で66年に設立され、フィリピンに本部を置くアジア開発銀行(ADB)は歴代総裁が財務省出身者だ。が、そのお株は完全に奪われ、参加国の規模でも間もなく大きく水をあけられる。

 ★今回の年次総会では世界各国の元首や首相などの要職の経験者10人程度で構成する「国際諮問委員会」が設置される見通しで、金立群総裁が人選に奔走。これで中国主導との批判や透明性にも一定の評価が与えられるだろう。また、「ロンドン、ニューヨーク、フランクフルトといった金融センターに資金調達を担う拠点を設ける」と既に発表しているが、東京が資金調達から外されている印象を世界のマーケットに示している。既にAIIBは、ADBや、欧州復興開発銀行(EBRD)、世界銀行とも協調融資の協議は進んでいて日本包囲網は出来つつある。伊勢志摩サミットの経済合意とは一体何だったのか。(K)※敬称略