1990年代のバブル崩壊後の日本と比べてみると、中国の不良債権問題の深刻さがよくわかる。日本の銀行の不良債権の償却ずみ累計と残る問題債権合計の対GDP比率はピーク時の2000年3月末で12%だった。中国はその水準をはるかに超えるし、しかも不良債権は増え続けている。
不良債権の元凶は鉄鋼、石炭、セメントなどのゾンビ企業群と、14年に起きた不動産バブル崩壊だ。国有銀行大手は不良債権処理を先送りして企業向け融資を増やし、ゾンビ企業はそれをよいことに過剰生産体制を温存している。
習近平政権はさらに、不動産向け融資を促進させ、上海、深●(=土へんに川)、北京など沿海部の大都市の不動産相場を急騰させている。バブル崩壊対策は、次なるバブルの創出というわけである。まさにめちゃくちゃ、中国は世界経済を破壊する不良債権を巨大化させることしか考えない。 (産経新聞特別記者・田村秀男)