日本関与にこだわり＝本格国際機関目指す—ＡＩＩＢ

　【北京時事】アジアインフラ投資銀行（ＡＩＩＢ）の関係筋によると、設立前の早い段階で金立群総裁は、国際会議の場を利用して鳩山由紀夫元首相に接触するなど、熱心に打診してきた。何らかの形で日本を関与させることに強いこだわりを見せていたという。
　「日本政府の明確な支持を期待している」。金氏はＡＩＩＢ設立前の昨年１０月、北京で公明党の山口那津男代表と会談した際、改めて日本の参加を促した。その後、鳩山氏を招き、顧問就任を正式に要請した。
　ＡＩＩＢ構想には当初、「日米外し」の狙いがあると言われた。だが、金総裁の本音は逆だった。特に「同じアジアの大国である日本に参加してほしかった」（ＡＩＩＢ関係筋）。
　日米主導のアジア開発銀行（ＡＤＢ）と肩を並べる本格的な国際金融機関に育て上げるには、職員の派遣も含めて、日本政府の協力が必要だった。ＡＩＩＢでは鳩山氏を顧問として迎え入れるほか、近く日本人を幹部職員として採用する方針だ。
　これで、日本政府とＡＩＩＢの関係が急速に緊密化することは考えにくい。しかし、債券発行を通じて投資家から資金を調達する際や、融資を受ける可能性のある途上国に対して、「日本もＡＩＩＢを支持している」との前向きなメッセージを送る効果は見込める。
　ＡＩＩＢは今後、日本企業に対しても、プロジェクトへの関与を促すなどして、関係強化を図っていく可能性がある。　

［時事通信社］