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迷惑「アオサ」有効活用へ 高校生がエタノール製造に成功 谷津干潟で夏場腐敗臭…

千葉日報オンライン 6月26日(日)13時54分配信

 夏場の腐敗臭などが問題視されている谷津干潟(千葉県習志野市)の海藻「アオサ」の有効活用へ、県立津田沼高校(同市秋津、安田一夫校長)の生物部(高山美衣子部長)が、アオサを原料としたバイオエタノール(生物由来のアルコール)の製造に成功した。関係者は「迷惑がられているアオサが環境問題や食糧問題に貢献できるのでは」と期待を寄せている。

 谷津干潟のアオサは、ミナミアオサと呼ばれる種類が中心。ヒドリガモやオオバンなど干潟に暮らす鳥の餌として必要なほか、ヨコエビなどの生物のすみかにもなっている。一方で、夏場に枯れて腐敗臭を放つアオサが風や潮の流れで住宅地に近い干潟北側に漂着。環境省が除去などの対策を講じている。

 同部は、その有効活用を目指し、昨年10月末から吉田健太郎さん(16)ら2年生の男子部員がバイオエタノール製造に挑んできた。

 同部顧問の吉田裕志教諭(35)によると4月下旬~5月初め、乾燥と生のアオサのほか、比較するために生のサツマイモと原料なしの計4例で実験を行った。こうじ菌と酵母菌、水を入れたビーカーに原料を入れ温度35度の保温器で発酵。その結果、4例ともエタノールができた。

 それぞれアルコール度数を計測したところ、平均値で乾燥アオサが9・3度、生アオサ6・9度、サツマイモ7・4度、原料なしは2・9度。アオサ入りが原料なしより高かったことから、アオサを原料としたエタノールと判断したという。なお、エタノールは飲めないよう処理を行った。

 これまでも、エタノールができていた可能性はあるが、度数が不明だった。今回初めて数値によりエタノールの製造成功が裏付けられた形。実験の成功を、吉田さんは「今後につながる」と、高山部長(17)は「臭気などで迷惑がられているアオサが役に立ちそう」と、それぞれに喜ぶ。

 「サツマイモ以上の度数のアルコールが、アオサからできるとは思っておらず驚いた」という吉田教諭。「バイオエタノールの原料にアオサが使えれば、環境問題や食糧問題に貢献できるのでは」と期待を込めた。

 今後、同部はさらに条件をそろえて実験を行い、度数を比較することにしている。

最終更新:6月26日(日)13時54分

千葉日報オンライン