今回レビューするのは「」。匿名性の強さから生まれた「増田の書き手は11人説」というネタを用いて、主要人物を全て増田と括っている一発ネタの出オチ作品。読み切りで終わらせる分には「全部同じで分かりにくいなあ」というネタとして消化できなくもないのだが、なんと本作は連載である。
さて、本作は一言で表現するならば「分からない」作品だ。構成、登場人物、ネタ、面白いかどうかも分からない。誰が誰なんだかさっぱりだし、何をしてるかも意味が分からないし、内輪ネタかどうか判断に困るし、分かったところで面白いかどうか判断に困るし、とことん「分からない」作品だった。分からなくても面白い作品や、分からないことがむしろ面白さになってる作品はいくつかあるけれど、これはそのどちらでもない。分からないし、面白くない。多分、作者本人も面白いと思って書いていないんじゃないだろうか。
まず上述のとおり登場人物の区別が困難なので、構成を理解するための読者の負担は計り知れない。後ろに(数字)をつけるというみっともない差別化を図るものの、焼け石に水である。そもそも(数字)をつけられても、読者はキャラクターを把握しきれていないのだから分からない。もし、ちゃんと理解するなら0話で説明された設定を別ウィンドウで開いて、各話を読むことになるだろうけれど、果たしてそこまでして読みたいと思うような読者が何人いるか(少なくとも私にはそこまでする気力はなかった)。
分からない作品だが、コンセプトは明らかだ。「内輪ネタを散りばめた、なんちゃって作品」で、これは最語まで一貫している。なのに失敗しているなら、それはコンセプトが失敗しているからだろう。最近だとアニメにもなっている「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」とかは、ネットスラングを知っていたほうが楽しめる作品ではあるが、知っていなくても楽しめるのは作品を構成している主な要素が「内輪ネタ」ではないからだ。
本作の失敗は、内輪ネタを主な構成要素にしたことだ。内輪ネタというものは、知っていなければ基本的に面白くない。もし、それを話の主体にすれば、話そのものについていけないことになる。当然、増田を利用しているからといって、はてブや増田で使われているネタを全ての利用者が把握しているとは限らない以上、意図的であろうがなかろうが、この構成は無謀でしかない。
作者が、この難点を理解していなかったといえば、恐らく理解はしていただろう。内輪ネタをちょっと捻った表現をして、馴染ませようとしている箇所がいくつかあるからだ。そうすることで、それが内輪ネタだと分からなくても読み進められるように配慮したのだろう。だが、そもそもが「内輪ネタ」を主体にした作品なので、それを理解できない状態で読み進めても面白くない。むしろ、捻って内輪ネタを表現したせいで、本来なら理解できたであろう読者すらふるいにかけており本末転倒である。結果、誰も本作をちゃんと理解して読むことはできない。
総論として、出オチ作品を連載で続けた時点で無謀もいいところなのに、読者に優しくない書き方、内輪ネタの使い方を誤った救いようのない作品だ。仮にそれらを乗り越えて読んだとして、面白いかと問われると、これまた何とも……。批評を書くにあたって全文読んだんだけれど、ツラくて後半は流し読み気味だった。読者にあそこまで負担を強いる構成なのに、それに見合った面白さを提供してくれない。本当に疲れた。仮に評価できる点があるなら、難産で生まれたのが奇形児なのに、それを育てきった作者の根気だろう。むろん、奇形児を生むのもそれを育てる判断をしたのも作者自身なので、同情も賞賛もするものではないのだが。
周りの反応や結果もそれを物語っており、この作品を賞賛する人も酷評する人もほぼいない。大半の人にとってそもそも評価の対象としてみられていない証拠だ。作者の前作が、面白いかどうかを判断することが容易な程度には読者に優しかった点を考えれば、本作は文章が重たくてそもそも読む気が起きない作品といえる。別に「分かる人には分かる作品」自体がダメというわけではない。読者に寄り添わない点ではダメだが、分かる人にはカタルシスを与える点でダメとは言い切れない。問題は本作が、誰にとって「分かる作品」なのか分からないことだ。
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私は結構、お嬢鯖好きだなぁ。 お嬢鯖にはたまにレスしてるけど、 あの短文の味わい深さはほかの増田には書けないものがあると思ってる。 内容よりも、言葉の選び方がイインダヨ。
小ネタにそういう遊びを仕込んでたというだけで発狂しながら俺にはわからなかったから駄作と言い出すマン、ときどき見かけるけど本質と周縁の区別がついてないって感じ
小ネタがあくまで小ネタである分には、理解できてもできなくても本筋は問題ないから、まだいいんだけどなあ。 増田戦国史レベルになってくると、読者の理解の問題で済ませるのはち...