視点・2016参院選 「2院制」議論 いっそ第三者に任すか=論説委員・与良正男
自民、公明両党と憲法改正に前向きな政党を合わせ参院でも改憲発議に必要な3分の2以上の勢力を確保するのかどうか。それが参院選の大きな焦点であるのは間違いない。
だが、少し立ち止まって考えたいことがある。こうした獲得議席の想定計算は参院議員が所属政党の方針通りに動くという前提で成り立っていることだ。
おさらいしておこう。
終戦後、連合国軍総司令部(GHQ)は貴族院を廃止し1院制にするよう求めたが、日本側の要請で2院制は維持された。
当時の担当閣僚は参院に求められる人材は「知識経験のある慎重熟練の士」だと国会で答弁している。期待されたのは衆院の行き過ぎを抑え、補完する「良識の府」。実際、1947年の第1回参院選で当選したのは政党に縛られない無所属の候補が半数近くを占めていた。
直ちに原点に返れとはいわない。しかし、その後、参院が政党化されていった結果どうなったろう。時に「衆院のコピー」と参院無用論までささやかれ、逆に衆参で与野党のねじれが生じると「決められない政治」の元凶などと言われてきたのではなかったか。
参院選をどう位置づけるかも実は明確ではない。
民進党の岡田克也代表は参院選は政権交代を問うものではないから、今後連立を組むかどうか分からない共産党と候補を一本化するのは構わないという。
安倍晋三首相は今回、「国民の信を問う」と明言している。「信を問う」は通常、衆院選で使う言葉で、進退をかけるということだろう。首相は参院選であろうと政権構想を明らかにしないで選挙協力する野党は無責任だとも批判している。
ただし、その首相も第1次安倍政権時代の9年前の参院選で自民党が大敗し、党内からも責任論が取りざたされた際には「参院選は政権選択選挙ではない」を理由に挙げて選挙直後は辞任を拒んだと記憶する。
衆参両院の役割分担について改革の必要性は認めながら、選挙になると自己保身からか与野党そろって現状維持に向かってしまう。長年、そんな繰り返しだったのが実情だ。
今回は自民党が憲法を改正して「鳥取・島根」などの合区を解消しようと言っているが、これも関係選挙区の回復が主眼のようで、参院のあり方そのものを考える議論となっていない。
一体、いつになったら重い腰を上げるのだろう。このままでは、いっそのこと(正真正銘の)「第三者」に議論を任せようか、という話になる。