ドイツのフォルクスワーゲンが、ディーゼル車の排ガス不正で被害に遭った米国の消費者に対し、総額102億ドル(約1兆423億円)を支払うことで合意した。ロイター通信が23日(現地時間)報じた。ところがフォルクスワーゲン・グループは「韓国などほかの国々では金銭的な賠償の計画はない」という立場を取っている。
専門家らは「韓国で、排ガス試験の結果をねつ造した疑いで役員が身柄を拘束されたにもかかわらず、フォルクスワーゲンは賠償責任を回避しようとして消費者を愚弄している」と批判した。
■フォルクスワーゲン「韓国は賠償対象ではない」
フォルクスワーゲンは、米国では賠償をすることにしたが、韓国については賠償できないという立場を取り、物議を醸している。フォルクスワーゲンの関係者は「金銭的な賠償をするには、違反の事実がなければならないが、韓国では法に背いたことはない。韓国では、(排ガス量を操作する)任意設定デバイスの禁止法は2012年1月から施行されたが、今回問題になった車は全てそれ以前に韓国政府の認証を受けており、法律上問題はない」と語った。韓国政府の法の不備で、賠償はできないという論理だ。これに対して米国の場合は、90年代から任意設定デバイス禁止規定があったのに加え、排ガスの基準も非常に厳しいためリコール措置だけでは基準値をクリアできず、払い戻しなど金銭的補償が避けられない-というのがフォルクスワーゲンの説明だ。しかしフォルクスワーゲンは、日本ですら、人気モデル「ゴルフ」の価格を16万円引き下げ、無償修理を提供するなど「補償」措置を取っているのに対し、韓国の消費者だけが「知らん顔」をされている、という指摘まで出ている。自動車産業協会長を務めた経験を持つ柳智穗(ユ・ジス)国民大学総長は「韓国で各種の排ガス試験の結果をねつ造した事実が次々と確認されているにもかかわらず、法適用試験を根拠にフォルクスワーゲンが『賠償できない』という態度を取るのは、消費者の立場からは受け入れられない」と語った。