スポンサーリンク 広大な夜の畑の中に2人きり 2016/6/26 2016/6/26 ドイツ, 彼女と世界二周目 2016年6月17日(金曜日)【ドイツ】 ウルム朝がた目が覚めると雨が車体を叩く音が聞こえた。窓の外は曇り空。ふぅ………最近ずっと雨ではあるけど、なんとか雨の合間に歌って100ユーロ以上は稼げていた。1日中降り続ける日がなかったのはラッキーだったのかもしれないなぁ。「ねぇ、今日は休んでゆっくりしようってことだよ。フミ君歌って運転して、大変だから少しは休んで。」今の毎日は別にそこまで大変ではない。荷物を全部持って宿を移動したり野宿したりすることを考えたら車旅は本当に楽なもんだ。運転は少しは精神的に結構疲れるけども。だからといって貴重なシェンゲンの日数を無駄にすることはできない。できる限り歌って貯蓄しないとな。しばらく寝袋の中でもぞもぞと日記を書いていたら、やがて雨の音が小さくなってきて、9時くらいになった時に止んだようだった。車の外に出ると、どんよりした空ではあるけどとりあえず降ってはいない。今日も雨の合間に歌うパターンかな。でもやらないよりはマシだ。車のエンジンをかけて町に向かった。ゆうべのうちに結構走っていたおかげでウルムの町にはすぐに着いた。このところずっと田舎を巡っていたので大きな駅舎や広い道路がずいぶん都会に見えた。ウルムってそこそこ大きな町なんだな。ひとまず町の中の路面駐車スペースを探して、やっとこさ見つけたところに車を止めた。さすがに都会なので1時間で1.8ユーロだ。210円。ケンプテンとかでは2時間で1ユーロとかだった。風が強く、雨がぱらついてきたりして寒い。路上できるような空模様ではないけど、なんとかやらないとな。ウルムの中心地はとても賑やかだった。たくさんのホコ天のショッピングストリートがアミダのように旧市街の古い町の中に張り巡らされており、その中央に広場があり、ものすごく巨大な大聖堂が空にそびえ立っていた。うおーー!!こりゃデケェぞーーー!!!ケルンとかランスとか巨大な大聖堂はたくさん見てきたけど、それらに引けをとらないデカさだ。本当、テキトーに選んだ町でもこんな素晴らしい景色が待ってるんだからヨーロッパの旅はやめられん!!ショッピングストリートもとても活気があって、たくさんの人が行き交っている。何組かアコーディオン弾きのおじさんや物乞いのジプシーもいるが、気合いの入った路上パフォーマーはとりあえず見かけない。よーし、やるぞ!!ケバブ屋さんでピザとフライドポテトを頬張ったら、ギターを持ってメインのショッピングストリートへ。なんか最近気づいたことがある。ドイツにはミュラーっていう日本でいう東急ハンズみたいな雑貨屋さんがあるんだけど、だいたいどこの町でもショッピングストリートの真ん中にお店があって、そこの前だと警察に注意されないし、稼げる。完全にたまたまだろうけど、俺にとって縁起がいいってことだ。今日も町を回って選んだ1番のポジションの目の前には幸運のミュラー看板。よっしゃ、いい歌うたうぞ。すごくいい調子!!町の人からのウェルカム具合がバシバシ伝わってきて歌っててすごく楽しい!!みんな笑顔で、歩きながら歌を口ずさんでくれる人や、向こうのお店の人がレジを打ちながら踊ったりしているのが見えてこっちも気分がのってくる。CDも売れる!さらに、素晴らしいわ!と笑顔で話しかけてくれた赤ん坊連れのお母さんに、トラベリングアラウンドザワールドの看板をドイツ語で書いてもらったんだけど、これが効果絶大だった。みんなそのドイツ語の、「世界一周中!フロムジャパン」という文字を見て、興味深げに足を止め、そして歌を聞いて笑顔でコインを置いてくれる。そりゃそうだよ。ドイツって日本くらい英語が通じない国なんだもん。おじちゃんおばちゃんだったら、これなんて書いてるの?ってなって終わりだ。現地の言葉で書くことで、よりみんなに分かりやすくなる。もともと前回の旅では、最初の頃は路上看板を出してなかった。歌だけで足を止めてやる!と思ってマジでなんもなしでギターケースだけ地面に置いて生声で歌うというシンプル極まりないスタイルだった。ヨーロッパも中東もアフリカもずっとそのやりかただった。それがカナダに着いた時に、アメリカへの入国に大金が必要になり、稼ぎを上げるために看板を置いた。別に看板を置くことで物乞いみたいになるとは思わない。ただ、世界一周してます!っていう自己紹介みたいなもんだ。それに興味を持ってくれて旅の話で盛り上がって友達になるパターンも大いにある。親指だけでヒッチハイクするか、目的地のボードを持ってヒッチハイクするかの違いだ。みんなに何してるかわかってもらいやすい。カナダで看板を置くようになってから、やはり稼ぎは多少上がった。でも別に爆発的に上がったわけではない。やはり路上はパフォーマンスが1番。下手なことしてたらまったく入らない。でも、へー!世界一周してるんだ!めっちゃクールじゃん!って食いつきは良くなる。そうして世界一周の後半は看板を置くようになった。では今、あの頃看板を出さずに歌っていたヨーロッパで看板を置いたらどうなるのか結構楽しみだった。さらに英語があまり通用しない国で現地の言葉で書いたなら。まぁみんな立ち止まる。老いも若いも立ち止まる。そして歌を聞いてくれ、頑張ってね!とお金を置いてくれる。歌いながら旅をしてます、と看板を出してアピールすることは、多かれ少なかれ人の親切心をあおる。あぁ、頑張ってるんだな、応援してあげよう、って思う人もいるはず。そうなると純粋な音楽の力だけでの稼ぎではなくなると思う。でもそこで物乞いと思われないためには心を込めたパフォーマンスをすることだ。旅をしている、ということ自体が表現のひとつになるくらいの歌を歌わないといけない。カンちゃんが横にいることもすごく助かる。みんな遠い国から来た旅人と話したがるので俺1人だとみんなと話してたら歌が続けられなくなるけど、カンちゃんがいることでそんな人たちとコミュニケーションをとってもらえる。さらにCDを買いたい人の接客もしてもらえる。女の子がいることは相手に安心感を与えるもの。そう言った意味でカップルでいるだけで印象は変わる。路上に立つ時点でどう通行人に見られるかを計算するのはとても大切なこと。通り過ぎる人の気持ちが少しでも暖かくなってもらえればっていつも思いながら歌ってる。丸顔選手権大会出れるよ!!「あらー、日本人?珍しいわねー。こんな町に日本人がいるなんてー。」そこに声をかけてくれたのはこのウルムに住む日本人の女性だった。この町でドイツ人の旦那さんと暮らしているかたで、もう30年もいるんだそう。「何もない町だけどねー、知ってた?あの教会の塔は世界で1番高い教会の塔なのよ。」「え!そうなんですか!?知りませんでした!?」「あらまぁ。だったらここがアインシュタインの故郷ってことも知らないでしょ?」「マジで!すげぇ!!!」たまたま来た町がアインシュタインの故郷というドイツの実力ハンパない!!!ちょっと案内してあげるわ、とカンちゃんを連れて行ってくださった女の人。素敵な情報をありがとうございます!!!そらからもまた順調に歌っていたら、また日本人の女性が声をかけくれた。「あ!このCD知ってる!ブログ見たことありますー!」おお、こんなドイツの有名じゃない町に住んでるかたがブログ読んでくださったことがあるなんて嬉しすぎるな。マイさんというこれまたドイツ人の旦那がいるかたで、話しているところにカンちゃんが戻ってきた。「いやー、すごくお金入ってますね!!普段ストリートミュージシャンたくさんいますけどこんなに入ってるところ見たことないですよ!!やっぱり上手ですもんねぇー。」ヨーロッパって実はそこまでバリバリのセミプロがしのぎを削っているという雰囲気ではない。もちろん上手い人もいるけど、だいたいが地元の人が趣味がてらやってるような感じだ。そりゃ負けるわけにはいかない。ワイファイが欲しいと伝えると、いいフリーワイファイの場所がありますからということでカンちゃんを連れて行ってくださったマイさん。その間も1人で丁寧に歌った。しばらくしてカンちゃんとマイさんが戻ってきたんだけど、うっかり車の駐車時間のことを忘れていて1時間ほど過ぎてしまっていた。すぐにカンちゃんにチケットの延長をしに行ってもらったんだけど…………恐ろしいことにワイパーに罰金の紙が挟まっていたらしい………………やってしまった………………この物価が日本並みに高いドイツで駐車違反か………………一体いくら書いてあったのか………………その恐ろしい罰金の金額とは………………なんと10ユーロ。え?1200円?や、安いな…………普通に止めててもそれくらいなってたんじゃないかってくらい安い罰金だった。日本と同じく銀行に行って支払うパターンみたい。まぁ仕方ない。ヨーロッパって結構自由に路駐しているので油断してしまっていたけど、やっぱりちゃんとしてないとこういうことになるという良い勉強になった。これから気をつけないと。夕方になってもまだまだ人通りはたくさんある。気になっていた天気は途中から晴れ間が見えるようになり、久しぶりに雨で中断することなくずっといい天気の下で歌うことができた。この数日の鬱憤を晴らすように歌いまくったおかげでなかなかのあがりになった。4時間の演奏で312ユーロ。37600円。うん、雨に邪魔されなければこれくらいはいけるんだよな。いやー、いい街だ。でも先に進むけど。まだまだ素敵な旅がこの先に待ってるんだ。しばらくしてマイさんの旦那さんのミカエルさんもやってきて、このへんで路上を切り上げた。そしてマイの娘さんのミラちゃんと5人でカフェに行って、美味しいドイツビールで乾杯。久しぶりの暖かい太陽の日差しにビールがオレンジ色にきらめいてとても綺麗だ。見上げればウルム大聖堂が青空にそびえ、なんて贅沢なシチュエーションなんだろう。「いやー!天領うどんめっちゃ食べたい!!」「チキン南蛮食べたいよー!!!」驚いたことにこのマイさん、なんと宮崎出身な上に日向にも住んだことがあるという。このドイツの地方都市で天領うどんの素晴らしさについて語れる人と出会えた奇跡がマジで半端じゃない!!ドイツ生活、国際結婚、話題は尽きることなく続き、マイさんの明るくて素敵な人柄に和んでたくさん話し込んでしまった。あー、もっと話したかったなぁ。ビール美味しかったー!!そしてミラちゃんめっちゃ可愛い!!マイさん、ミカエルさん、ミラちゃん、素敵な午後の時間をありがとうございました!!またどこかで飲みましょう!!しばらく散歩して車に戻り、酔いを覚ましてからウルムを出発した。さてー、次はどこにしようかなーと地図を睨みつけ、選んだのはここからしばらく北に上ったところにあるバンベルクという町。ここもまたそこまで大きくない地方都市なんだけど、確か世界遺産の町だとどっかで見たことがある。明日はこの町で歌ってみるか。途中イケアでお買い物!!どこの国でもイケアは同じつくりだね。イケアで車内の細々したものを入れるケースや傘などを買った。ちなみに外国ではイケアのことをアイケアと言うそう。「じゃあ俺も日本でアイケアって言おうかな。あれ?あー、ごめんごめん、外国ではアイケアって発音するんだよね!つって。」「うわー、いやちゃりー。いやちゃりやわー。」2人でお買い物を抱えて車に戻った。車は草原の中の一本道を走っていく。やがて太陽が沈むと夜の田舎道は本当に寂しくて、対向車もおらず、早い月が丘陵地帯の上に浮かんでいた。今日も朝から運転して、歌って、さすがに疲れたのである程度まで走ったところで寝ることにした。晩ご飯はもちろん辛ラーメン!広大な草原の中にポツンとある寂しいバス停で風に吹かれながらカンちゃんと手を合わせた。田舎の幹線道路にはパーキングらしきところがなかなか見つからなかったので、テキトーに脇道に入ってみると、それは畑の間にのびる農道だった。両側に作物の茂る細い暗闇の道をゆっくりと奥へ奥へと入っていく。うっすらと夜霧がたちこめ、広大な畑の中にポツンと俺たちの車だけが光っていた。そしてもうこの辺りでいいかと車を止め、ヘッドライトを消したら俺たちもまた暗闇の中に見えなくなった。~~~~~~~~~~~~~~~~~ハノーファーのホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!これはさすがに誰かわかりました( ^ω^ )マジでありがとうございます!!!