残留・離脱、激しい応酬…代表者が公開討論
【ロンドン坂井隆之、三木幸治】英国で23日に実施される欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票で、残留・離脱両派の代表者による公開討論が21日、ロンドンで開かれた。残留派が経済への悪影響を強調したのに対し、離脱派は移民や国家主権の問題を前面に押し出し、聴衆の感情に訴える作戦で対抗。激しい言葉の応酬となった。
「投票前の最後の支持拡大の機会」(BBC放送)とあって全英の注目が集まり、会場には約6000人が詰めかけた。離脱派にボリス・ジョンソン前ロンドン市長、残留派にサディク・カーン現市長も登壇し、新旧市長対決も注目も集めた。
経済の議論では、カーン氏らが「全ての専門家が、離脱で悪化すると言っている。どうやって雇用を守るのか」と迫ったのに対し、ジョンソン氏らは具体的説明は避け「英国の力を信じるべきだ」などと、楽観的な見方を強調した。
一方、移民問題では、ジョンソン氏が「離脱で権限を取り戻せば、オーストラリアのように(能力などの評価を基に入国を審査する)ポイント制によって制限する」と強調した。これに対し、カーン氏は「オーストラリアでは、移民は倍増している」と反論し「離脱派がやっているのは、憎悪のプロジェクトだ」などと批判した。
会場を訪れた主婦のキャサリン・プレットさん(50)は「ジョンソン氏は『権限を取り戻そう』と言うばかりで、自らの主張の根拠を示さなかった」と批判。一方、無職のディレール・フォーラーさん(72)は「残留派議員はこの国を信頼していない」と非難し、ジョンソン氏が討論の最後に「23日は英国独立の日だ」と訴えた部分が「一番感動した」と興奮気味に話した。