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【国際】

「離脱ドミノ」EU警戒 英国民投票、懐疑派各国で台頭

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 【パリ=渡辺泰之】英国の欧州連合(EU)からの離脱が決まったことを受け、欧州に衝撃が走っている。EU始まって以来の加盟国離脱という事態に、EU首脳らは加盟国団結の必要性を強調。一方で、欧州内ではEUに懐疑的な勢力が台頭しており、英国に続く「離脱ドミノ」へ強い警戒感が出ている。

 「今後(英国以外の)二十七カ国で結束していく」

 EUのトゥスク大統領は、英国民投票の結果を受け、EU本部のあるブリュッセルでの記者会見でこう強調した。「歴史的な瞬間だが感情的な反応をしてはいけない」と、加盟国に冷静な対応を促した。

 中核国ドイツのメルケル首相は、「欧州への一撃、統合プロセスへの痛手だ」と言及し「欧州をさらに分裂させないように熟慮しなくてはならない」と呼び掛けた。フランスのオランド大統領は「EUの機能が不十分だったとの意識を持つことが必要だ」と指摘した。

 EUは二十八、二十九日に首脳会議を開催して対応を協議する。これに先立ち二十五日には独仏首脳がベルリンでイタリアのレンツィ首相らを交え、緊急協議を行うことを決めた。

 一方で英国の国民投票の結果を受け、EU懐疑派の勢いが増すのは必至だ。

 「自由の勝利だ。われわれは英国同様の国民投票をフランスや加盟国で実施する必要がある」。フランスの極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首は二十四日の会見でこう強調。来年四〜五月の仏大統領選に立候補予定のルペン氏は離脱の是非を問う国民投票の実施を掲げる。「流れは止められない。(今回の結果は)欧州の終焉(しゅうえん)の始まりだ」と語った。

 欧州では来年三月にオランダ下院選、来秋にはドイツで連邦議会選が相次いで実施される。EU懐疑派の伸長で国民投票を求める声が高まる可能性もある。

 これに対し、欧州議会のシュルツ議長は二十四日、「(英国民投票の結果が)連鎖を引き起こすことはない。EU加盟国が危険な道に踏み込むとは思わない」と語気を強めた。

◆前ロンドン市長ジョンソン氏「結果に誇り」

 【ロンドン=小嶋麻友美】EUからの離脱運動を主導したボリス・ジョンソン前ロンドン市長は二十四日、ロンドン市内にある離脱派の本部で演説し、辞意を表明したキャメロン首相をたたえるとともに、「国民投票の結果を非常に誇りに思う」と話した。

 次期首相の有力後継者と目されているジョンソン氏は「われわれの声を再び世界に見いだすことができる。それは世界五位の経済大国にふさわしい声だ」と語ったが、責任の重さを感じてか表情は硬かった。

 この日、ジョンソン氏が市内の自宅を出る際には、残留派の人びとに取り囲まれ、ブーイングや罵声を浴びせられる騒ぎもあった。

 

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