「金夜は新規で土夜はルート営業だわ。」
一見するとこの発言主の友人は土日も仕事に精を出しているのであろうと思われそうだ。
しかしその実態は想像を大きく超えていた。
これは仕事ではなく女の子関係の業界用語だそうだ。
これらは女の子と遊ぶ上での専門用語だと理解されたし。
今日はそんな業界用語とも専門用語とも言えるであろう、ゲスを極めた内輪語録の数々を紹介しよう。
1. 新規
「新規」とは、その日に会う女の子が初対面かどうかを表しているわけではない。狭義の「新規」とはまだ肌を重ねたことのない女の子とのじれったい駆け引きのことを指すそうだ。これは一般的には「受注」段階の女の子と男女の交わりなど一切ない、白く清い関係性のことも暗じている。
広義の「新規」はじれったい駆け引きがそこにあるかどうかは厳密である必要がなく、当人が「攻略対象として認識しているかどうか」がベーシックな条件なのである。
2. ルート
「ルート」とは、既存顧客の満足度向上に寄与する一連の営業活動全般を指す。具体的には既にベッドインを完遂した仲の女の子と、2度目以降の関係構築の状態を指す。したがって、「ルート」営業だからといって必ずしもご飯やお酒を振舞うような行動のことを言っているのではない。むしろお互いを最大限リスペクトし、「また寝たい」と思えるような関係性でこそ、この「ルート」が成り立つのである。
ちなみにもっとも単純な(色恋)営業フローの段階分類としては「新規」の次のフェーズが「ルート」である。
3. 案件・受注・納品
案件とはまだ対人的かつ社会的な接触を果たしたばかりの段階を指す。つまりこの「案件」段階はもっともハードルが低い。とにかくなんらかの形をもって見込み顧客の獲得をしなければならない段階だ。
次に「受注」である。これは接触を果たした女の子に対して、1対1、複数対複数問わずに飲み会や合コン、あるいはデートを行う約束を果たした段階である。もっとも手間のかかる「案件」ベースが「受注」として結実することがまずは大事なのである。
最後に「納品」である。これは「受注」した「案件」の仕上げである。少々の飛躍を恐れずに言うとしたら、受注はあなたに対する期待感の表れであるとされる。そして最終形態、納品という段階を経て顧客である女の子の満足度が左右されるのである。つまりベッドでの「ひと乱れ」を保証された状態が「納品」である。
この項目をまとめよう。クラブでもナンパでも出会い系でも構わない。その初対面にして好い人ヅラしている段階が「案件」である。そしてまんまと顧客の気を引いて飲みやデートに誘い出した段階が「受注」である。そしてこれはいけるぞと思った時、あなたはすでに「納品」しているのだ。
さて、お気付きの方もいるかと思う。ちまたで話題の「相席屋」はこうした「案件」段階を一気に「新規」や「受注」段階にまでフローを展開させることができるのである。ここに30分1500円以上を支払う価値が存在するのである。つまり「案件」として顕在化させるのは実はもっともわかりやすい形でコストが生じているのである。相席屋はもっとも面倒かつ明朗コストな「出会い」をサポートする点に存在意義があるのだ。
ちなみに「新規とルート」および「案件・受注・納品」の厳密な定義は以下を参照されたし。
この2系列の違いは判然としないことであろう。そう、どちらの用法もそのときどきによっては正解なのである。すなわち気分によるところが寛大に許されている点で、言葉の真新しさが演出されているのである。つまり適当にてきとーでおkなのだ。
より正確に定義を分類するとしたら以下の具合である。
営業フェーズとして「ルート営業」にまで移行するにはやはり最初の「納品」が欠かせないが、納品するには①「受注」しているのはもちろん、②「新規」開拓先として動いている必要がある。そしてもっとも基本的に、「案件」としてそれぞれの営業マンが顧客の創出を実現していなければならない。
ではどうすればいいのか。そう、特に「新規 / 受注」の別は本人が一番適切だと感じる手応えに則って言葉をチョイスすればそれでよいでのだ。報告者がもっともわくわくする方法をとるべきなのだ。
4. 選択と集中
これは決してビジネスや経営学のフィールドで多用されるだけのワードではないそうだ。正しい用法は以下の通り。
「選択」とはもう少し拡大解釈する必要がある。「選択(肢を可能な限り増やす)」というニュアンスがこの単語には込められている。
具体的には友人が「案件」状態の女の子と土曜の夜にアポを取りたいと考えていたとしよう。そのとき結局のところ「案件」状態に変わりはないので不確実性がもっとも高いのである。だから貴重な金夜を空白にしないために、他の顧客5組ほどにもアポイントを打診するのである。
友人の感覚だと5組にアポをお願いすれば2〜3件は確約されるそうだ。0なんてありえないらしい。
そうしてこの段階を経て「集中」に入る。
これも拡大解釈が必要である。「(アポを比較検討した上でもっとも魅力的な受注段階に)集中(して他の受注案件はリスケする)」というものだ。
つまり蒔いた種は確実に収穫しなければならず、後日にでも回さなければ見込み顧客の信頼を勝ち取るのは難しい状況が出現するのである。
この「選択と集中」がうまくいけば、そのターゲットとなった週の予定は必ずや埋めることができるのである。そして効率よく、最小のアポ労力で最大限営業活動に勤しむことができるのである。
まとめよう。「選択肢を可能な限り増やして、アポを比較検討した上でもっとも魅力的な受注案件に集中して、それに準ずる受注案件はリスケしよう」
4. シェアハピ
俺がもっともゲス度の高い用語だと思ったのがこれ。顧客を介してその友人同士が意図的に血縁関係を結んでしまえというものである。 つまり穴兄弟になってしまえというものだ。
ただし、俺の友達の中では以下の紳士協定を含めて「シェアハピ」なのである。
まず、「弟」になるであろうものは必ず「兄」となるであろうものへと事細かい情報共有がなされなければならないのである。そして「弟」の方から伝達されたであろう報告に対して、「兄」は寛大な心とアドバイスを添えてやるのが兄弟の義理というものらしい。
無事に血縁関係を成就させたあと、「弟」はその儀式についての報告を「兄」にしなければならず、「兄」は自分の「弟」を労いつつ、その進捗管理はもちろん、プロジェクトの最終管理を完遂させるのである。そこに恨みっこなどないのである。
これがシェアハピである。「シェアハピ」とは人類が皆兄弟・親戚だと思わせてくれる強烈な仕組みの一つであり、平和構築のために欠かせぬ一手段である。
5. 素人()
友人的には2〜3ヶ月の間「案件から納品」プロセスを怠ったもの、またはルート営業先を「はがされた」ものは素人◯◯に降格されるというおそろしいルール。
仲間内では「女を知らぬ男」のラベルが貼られてしまうのだそうだ。
ちなみに「はがす」という単語の用例は下記を参照されたし。
6. はがす
これもゲス度が高い。
すでに誰かの「ルート」営業先になっている、または永久取引先と化している案件を、強力な腕力で自らの顧客とする事を指す。すなわちNTRである。
「はがす」行為はもっとも難易度の高い営業行為の一つとして仲間内には認識されている。これというのは、彼氏または彼氏に準じた存在がいる女の子を、言葉巧みに手を変え品を変え落城を狙うのである。つまりその存在よりも際立った魅力や途方もないメリットを相手に感じさせなければならないのである。
このような強引なプロセスを経た営業活動は、得てして事前事後に大きな労力が生じかねず、まさに炎上必至の危険案件そのものであるのだ。
ちなみに「はがした」結果、俺の友人は悲惨なことに陥った。
男女の交際など望んでいなかった相手に、「彼氏と別れた」と告白された挙句、「彼氏登録」されてしまったのである。これは自分の看板商品の名称を、すでにどこぞの馬の骨とも分からぬ輩に勝手に商標登録がなされてしまったあの衝撃的な感覚に似ているらしい。まあ、よくある話であろうか。
まとめ
いかがだったでろうか。
この手のテキストは今も昔も変わるぬのだと強気の姿勢を崩さぬ友人に俺は囲まれている。男女の色恋にはこうした裏話がより一層の酸味としょっぱみを引き立てるのであろう。
とはいえ、「ガールズトーク」の怖さ加減ときたら、目も当てられない。
大学時代の友人が、好きな女の子と「夜の関係」しか持てなかったことに悩んでいた。ある時、所属していたサークル内で周囲の人間たちに、「自分たちは付き合っている」かのような振る舞いと言動を働いたところ、当該女の子がみんなの前で全身全霊をかけて否定したそうだ。男のプライドも淡い恋心も瞬く間に炭化してしまったのであった。
一方で、当該女子はそんな男など御構いなしであったそうで、たくさんの「受注案件」と「納品待ち案件」と「ルート営業先」をお持ちのようだったから、女子も男子も救えない。