過労やいじめでうつ病など精神疾患を発症したとして、労災申請した人数は2015年度は1515人(前年度比59人増)で、過去最多を更新したことが24日、厚生労働省のまとめで分かった。労災認定は472人で前年より25人減ったが依然として高水準。いじめや過重労働など職場環境の悪化が原因で発症した事例が目立った。
労災認定された472人のうち自殺者(未遂含む)は93人に上った。
厚労省の担当者は「14年に過労死等防止対策推進法が施行されるなど過労死への関心が高まり、請求件数が伸びたのでは」と分析する。
労災認定された人の発症の原因は命に関わるような病気やけが、わいせつ行為などの「特別な出来事」が87人で最多だった。「仕事内容や仕事量の変化」(75人)、「嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」(60人)が続いた。「セクハラを受けた」(24人)、「上司とのトラブル」(21人)も目立った。
認定された472人の1カ月の平均時間外労働は「100時間以上」が172人(36.4%)を占め、「160時間以上」も65人(13.8%)いた。
労災認定は業種別に見ると、製造業が71人で最多。卸売業・小売業の65人、運輸業・郵便業の57人が続いた。年代別では40代が147人と最多で、30代が137人と働き盛りの世代が目立った。就労形態別では正社員が407人だった一方、パート・アルバイトは27人、契約社員が18人、派遣労働者が13人だった。
精神疾患とは別に、脳梗塞や心筋梗塞などで労災申請した人は前年度から32人増え795人で、4年ぶりに増加した。認定は26人減って251人だった。認定された人の1カ月の平均時間外労働「80時間以上100時間未満」が105人と最も多かった。