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大英帝国分裂!?EU離脱派勝利“残留派”スコットランド独立示唆
ロンドンで国民投票の開票速報に頭を抱えるEU残留支持派の人たち
Photo By ゲッティ=共同 |
欧州連合(EU)から離脱するか残留するかを問う英国民投票は23日投開票され、離脱支持票が51・89%となり、離脱派が勝利した。選挙管理委員会が24日、発表した。残留派が多かったスコットランドでは、英国からの独立の住民投票が再度行われる可能性が急浮上。英国が分断される懸念がでてきた。離脱ショックは世界経済に衝撃を与え、1000を超える日本企業が英国から撤退する異常事態も考えられる。
英国のEU離脱が決定的となった。地元メディアがいっせいに離脱派の勝利を伝えると、運命の時を待っていた支持者らは歓喜に沸いた。EU離脱を党是に掲げてきた英独立党のファラージ党首は支援者を前に「英国の独立記念日だ」と叫び、大きな拍手を浴びた。
選管によると、離脱支持が約1741万票、残留支持は約1614万票。BBC放送によると得票率はそれぞれ51・89%、48・11%だった。英政府は今後、EU基本条約に基づき、EU首脳会議に離脱手続きに入ることを通告。EUと約2年間の交渉に入る見通しだ。
残留を主張しながら国民投票の実施に踏み切ったキャメロン首相は結果を受け、引責辞任する意向を表明。「国民の意思は尊重されなければならない。私が次の目的地に向けて国のかじ取りをするのは正しいことだとは思わない。この国には新たな指導者が必要だ」と述べた。次の首相候補には、早くも離脱派リーダーのジョンソン前ロンドン市長の名が挙がっている。
英国では、インドやパキスタンなどから年間30万人以上の移民が流入。離脱派は押し寄せる難民に税金や雇用機会が流れていることなどを不満に思い、難民排斥を訴えていた。投票結果が僅差だったことで今回、国民の間に大きな亀裂を残した。今後、英国が一つとなれるかは未知数だ。
その要因の一つとして懸念されているのが、英北部スコットランドの独立問題だ。残留派が多かったスコットランド行政府のニコラ・スタージョン首相は「スコットランドの未来はEUの一部となることだ」と発言し、独立の是非を問う住民投票実施の可能性は「極めて高い」と述べた。
スコットランドは伝統的にEU支持派が多い。2014年に住民投票を行ったが、英国への残留支持が多数を占め、独立は否決された。スコットランドでは今回の投票でEU残留票が6割以上を占めたことを受け、スタージョン氏らは独立を果たした上で将来的なEU加盟の可能性を探る考え。離脱を叫んだ国民が歓喜に沸く一方で、大英帝国は分裂の危機に瀕(ひん)しようとしている。
▽EU(欧州連合) European Unionの頭文字。EC(欧州共同体)を基礎に、外交・安全保障政策の共通化と通貨統合の実現を目的とする統合体で、現在28カ国が加盟。1993年11月、マーストリヒト条約(欧州連合条約)の発効により創設。域内の多くの国では、出入国や税関の審査が廃止されており、人や物が自由に移動できる。02年には、単一通貨ユーロを導入。最高決定機関は各国の閣僚級の代表者で構成された理事会で、本部はベルギーのブリュッセル。
[ 2016年6月25日 05:30 ]
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