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 英国の欧州連合(EU)からの離脱が決まり、世界の金融市場に動揺が広がった。日本で円高・株安が急激に進み、欧州各国や米国の株式市場も大幅安となった。

 24日の東京株式市場では、昼前に「離脱派が優勢」と伝わると、欧州など世界経済の先行きへの警戒感が一気に強まった。日経平均株価は午後に入って下げ幅を広げ、一時1300円超も下落。終値は前日より1286円33銭(7・92%)安い1万4952円02銭と、約4カ月ぶりに1万5000円を下回り、2014年10月以来約1年8カ月ぶりの安値をつけた。下落幅は、2008年のリーマン・ショック時を上回り、ITバブル崩壊後の00年4月以来、16年2カ月ぶりの大きさだった。朝方からの乱高下で1日の値動きは1500円を超えた。

 大阪取引所では、日経平均先物に大量の売り注文が殺到した午後に、売買を一時停止するサーキットブレーカーを3年ぶりに発動した。

 東京外国為替市場でも、比較的安全とされる円を買う動きが一気に加速。円相場は一時、1ドル=99円ちょうど近辺と約2年7カ月ぶりの円高水準をつけた。朝方と比べて7円超も円高に振れた。ユーロは一時、12年12月以来3年半ぶりの円高ユーロ安水準となる1ユーロ=109円50銭前後をつけた。英通貨ポンドは急落して一時1ポンド=1・32ドル前後と、プラザ合意があった1985年9月以来、約31年ぶりの安値水準となった。

 「残留を見込んだ市場の読みと違う事態になり、金融市場全体がパニック状態になった」(みずほ証券の上野泰也氏)という。

 投資家はリスクを避けて各国の国債を買う動きを強め、日本の長期金利の指標となる満期10年の新発国債の流通利回りは一時、マイナス0・215%をつけて過去最低を更新した。

 欧州の主要な株価指数は一時、英国が前日比で9%、ドイツとフランスがともに10%も下落。ロイター通信によると、イタリアとスペインの株価指数は、1日の下落幅として過去最大を記録。英イングランド銀行は、2500億ポンド(約35兆円)以上の資金を追加で市場に供給する準備があると表明した。

 ロイター通信は24日、スイス国立銀行が、通貨スイスフランの急騰を嫌い、為替介入をしたことを認めたと報じた。ユーロを売って比較的安全とされるスイスフランを買う動きが強まったという。また、債券市場でも、比較的安全とされるドイツ国債を買う動きが広がった。代表的な10年物の利回りはマイナス0・16%と過去最低を更新した。

 24日のニューヨーク株式市場は急落して取引が始まった。大企業で構成するダウ工業株平均は一時、前日終値(1万8011・07ドル)に比べて500ドル超も値下がりした。

 主要7カ国(G7)の財務相と中央銀行総裁は日本時間の24日夜、緊急の電話会議を開き、「市場の動向と金融の安定を緊密に協議し、(各国政府や中央銀行が)適切に協力する」との声明を出した。

 声明は、金融市場で進むポンド安、ユーロ安について、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与えうることを再認識する」とした。(土居新平、ロンドン=榊原謙、ニューヨーク=畑中徹)

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