当サイトでご紹介した体験記の中に、
「ママがおちんちんをむくケアをしていたら、尿路感染症になってしまった」
という内容の記事がありました。
男の子ママにとって、おちんちんのことはわからないことだらけ。
「3歳までにむかなかったら、将来包茎になって手術が必要」などの噂もあり、おちんちんケアに母親としての責任を感じつつ、実際どうやったらいいのかわからないで悩む声が多いようです。
そこで、赤ちゃんのおちんちんはどんなケアが大切なのか、尿路感染症になったのはなぜか?を「おちんちん先生」と呼ばれる泌尿器科医、岩室紳也先生に伺いました。
Q ママが最初に見つけた白いものは何ですか?
それはおそらく垢です。赤ちゃんのおちんちんは、亀頭部に包皮がかぶった状態で、その間には隙間があります。赤ちゃんは生まれた時、垢だらけですね。おちんちんの皮からも当然、垢が出るわけで、上手に洗えていないと、その垢が包皮の中に残っていることがあります。なので、白いものは恥垢(ちこう)と呼ばれる、おちんちんについている垢です。お風呂でよく洗ってあげれば大丈夫です。
Q 小児科医に言われた「3歳までにむけなかった手術です」というのは本当ですか
残念なことに、未だに手術をする医者がいるのは確かです。しかし、おちんちんの皮がむけなくても手術をする必要はありません。おちんちんの皮は皮膚なので必ず伸びます。ママは妊娠しておなかの皮膚がびっくりするくらい伸びましたね。赤ちゃんのおちんちんの皮も時間をかけてゆっくり伸ばしていけば、皮はむけるので手術の必要はありません。ただ、包皮と亀頭が癒着しているときは剥がさなければなりません。
Q おちんちんから血が出てびっくりしたそうですが、そのままで大丈夫だったのでしょうか?
狭い包皮を少し強く広げて皮膚が少し裂けたり、包皮と亀頭部の癒着をはがしたりしたのでしょうね。他の傷と同様に、清潔にしていれば心配しないで大丈夫です。おしっこに菌はないので、傷にかかっても大丈夫。お子さんが痛がる間は無理をしない方がいいでしょうが、傷が治ったら、またむいてあげましょう。最初に垢の話をしましたが、おちんちんは包皮の内側に汚れがたまると、細菌感染して亀頭包皮炎という炎症がおこることがあるので、包皮をむいて洗ってあげることが大切です。
Q お子さんが「尿路感染症」になったのは、ママが皮をむいたことが原因ですか?
これは難しいですね。もし小児科医にそのような説明を受けたのであれば、大変、残念なことです。決してお母さんのせいではないので、自分を責めないでください。
そもそも、男の子は尿道が長いため、おちんちんの方から菌が入って膀胱まで届くことはありません。女性は尿道が短いため膀胱炎になりますが、男性に膀胱炎がないのはそのためです。男の子の尿路感染症は、おそらく喉などから入った細菌が、血液を通って腎臓にたどり着いて炎症を起こしたもの。発熱したのは腎盂腎炎を起こしたためです。
女性がよく経験する膀胱炎であれば、残尿感や排尿痛はあります。しかし、膀胱から腎臓に尿が逆流するような異常がなければ発熱することはありません。男の子の場合、オムツの中が不潔だと亀頭包皮炎になることはあっても、高熱が出るような尿路感染症になることはないのです。たまたまタイミングがあってしまっただけなのです。
尿路感染症には抗生物質がよく効くので、おそらくお子さんはもうお元気でしょう。おちんちんのケアは怖がらず、どうぞ続けてください。早くむけるようになっておいた方が亀頭部までキレイに洗えるし、おしっこもまっすぐ飛ぶのでトイレが汚れないというメリットもありますよ。
厚木市立病院泌尿器科医師。日本泌尿器科学指導医、日本思春期学会理事など。泌尿器科として特に小児泌尿器科の診察に力を入れる。著書に「ママもパパも知っておきたい よくわかるおチンチンの話」など