JTBは24日、不正アクセスで最大793万人分の顧客情報が流出した可能性があるとしていた問題で、詳細な経緯や再発防止策を観光庁に報告した。同日、記者会見した高橋広行社長は、外部専門家による調査委員会を立ち上げ、観光庁が設ける有識者の検討会とも連携して再発防止に努める考えを示した。
流出した可能性のある人数を793万人から重複分を除き679万人分に修正した。
顧客に対する補償に関して、高橋社長は「一律的な補償はせず、具体的な被害があれば個別に対応する」との方針を示した。現在、顧客から不審な連絡や個人情報が悪用された事例がないかを調べている。これまでのところ見知らぬメールを受け取ったとする事例が約100件あったという。今後、流出した情報との関連性を検証した上で補償を検討する。
今後の再発防止や、セキュリティー強化に向けた取り組みとして、最高情報セキュリティー責任者を置く。末永安生専務を7月1日付で任命するという。社長直轄でIT(情報技術)のセキュリティー対策の専門部署も設ける。
同社は今回、グループで情報伝達に不備があったことも認めた。高橋社長は「こうした事象が起きた時に経営層に速やかに伝わらなかったというのが最大の反省点」とし、改善に努める方針を強調した。
経営への影響については6月の主力の予約サイト「JTBホームページ」の販売額が前年を下回っていると説明。1年前は北陸新幹線効果などで売り上げが押し上げられていた影響が消えたとしながらも、高橋社長は「顧客は慎重になっている。正確な情報や今後の防止策をしっかり伝えていきたい」と話した。