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 日本人生徒がほとんどの学校で、朝鮮半島にルーツをもつ生徒たちに寄り添った日本人の先生がいた。30余年前、放課後にハングルを学ぶ場をつくり、共生の道を開こうと力を尽くした。そんな実話をもとにした新作劇を在日コリアン3世らの劇団が24、25両日、大阪市内で披露する。

 この先生は、私立帝塚山中学・高校(奈良市)で約45年間、教員を務めた大阪市在住の大空紀之(おおぞらのりゆき)さん(76)。在日コリアンの生徒はクラスに1人か数人いて、多くが通名(日本名)で通っていたという。

 ある在日の女子生徒は中3の時、「朝鮮高校へ行きたい」と相談に来た。彼女が在日だと知らない親友が朝鮮人を侮蔑する言葉を吐き、嫌になったという。結局、帝塚山高に進んだが休みがちに。でも、高2になると「先生、2学期から本名で学校に行く」と言い出した。夏休みに同世代の在日と語りあう機会があり、決心したという。「先生、朝鮮語を勉強したいねん」