現行計画の2045年から最大8年の前倒し開業が決まったリニア中央新幹線の大阪延伸を巡り、関西の自治体の間でルート誘致の綱引きが激しくなってきた。ルートを決めるのはあくまで東海旅客鉄道(JR東海)だが、経由地をどこにするか、関係する知事や市長が自らの主張をアピールしている。
リニア中央新幹線は全国新幹線鉄道整備法に基づき整備される。名古屋―大阪間には三重、奈良の両県に中間駅を設ける。11年の整備計画では主要な経由地として「奈良市付近を通る」とする。
京都府の山田啓二知事は23日に開いた定例記者会見で、「奈良市付近」にはそもそも京都府が含まれると主張。京都駅、奈良のほか、京都・大阪・奈良の3府県にまたがる関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)を通るルートについても、京都で独自に調査している。「中間を取るなら『けいはんな』もある」と述べた。
京都市の門川大作市長も20日の記者会見で「京都駅ルートを一貫して主張していきたいが、あらゆることを複眼で考えていかなければならない」と軟化した。
一方、奈良県内ではリニア駅誘致を決議したのは奈良市、大和郡山市、生駒市の3市だ。奈良県の荒井正吾知事はこれまでの会見で「着工に向けて環境影響評価を早く行ってほしい。そうすればルートや駅が確定する」と述べ、京都側をけん制している。
大阪府の松井一郎知事は23日、「答えを出しても事業主体のJR東海を動かすことにはならない。議論してもめれば、かえって悪い印象を与える」と述べた。終点の大阪としては前倒し開業を優先すべきとの立場だ。