HG創英角ポップ体は、点の一部を丸にする独特な表現があって、そこがすごくおもしろいですね「そこ丸にしたかー」というのを探すのがたのしいんです。
ロマンの木曜日
2016年6月23日
全体のバランスをかんがえて作る鳥のいちばん右の点が丸
「灬」(れんが)はなぜかひだりから二番目が丸
これはまさに、デザインのおもしろいところで、水本さんは、同じパーツでも全体のバランスをみて一文字ずつ位置を調節されてるんですよ。そこはさすがデザイナーさんですね。
たしかに、文字を確認してみると、同じパーツでも位置が調整されているものがけっこうある。
同じ忍や念でも、丸の場所が違う
よく見ると、丸の位置だけでなく、心の「し」のかたちも微妙にかえてあることがわかる。
ほかにもこんな文字もあった。 おなじ「豆」でも、豊の豆の下の左の点は丸じゃない。
豊の豆の点が丸じゃない。
おそらくつぶれてみづらいからだろうが、こういった、こまかな違いやくふうをさがしていると、フォントを鑑賞するのがだんだんおもしろくなってくる。書を鑑賞する楽しさはこういうところにあるのだろうか? わからないけれど。 まちにあふれるHG創英角ポップ体をみてもらうところで、やはりきになるのは街角でみかけるHG創英角ポップ体の文字。
そこで、デイリーポータルZライターの伊藤さんの協力をあおぎ、まちでみかけたHG創英角ポップ体を、梅原さんたちにみていただいた。 まずはこちら。 自衛官募集の看板
これは創英角ポップ体ですね。ただ、後ろの「ハイジャンプ」のカタカナは違いますね。ちなみに、下の自衛官募集中の文字はうちの新江戸ですね。
後ろのカタカナは「ジ」と「ン」が創英角ポップ体ぜんぜんちがう。言われるとたしかに。である。
犬吠埼マリンパーク
これはHG創英角ポップ体によく似てますが、ちがいますね。
なんと、この写真にはHG創英角ポップ体は存在しないという。
たしかに下の「地球の丸く見える展望レストラン」の部分は、よく見ると雰囲気がちがう。HG創英角ポップ体よりもはっちゃけている。上の犬吠埼マリンパークもよく似ている別のポップ体の書体らしい。 痴漢盗撮注意喚起のポスター
警察系の看板はポップ体をとてもよく多用するのだが、「痴漢」や、「盗撮」といった不穏なことばも、明るく楽しい雰囲気のポップ体をつかってしまっていいのだろうか? というおもいがないわけではない。
「巧妙な侵入戦略」もあかるくたのしげに
これらのポップ体の写真を提供してくれた伊藤さんによると、看板で3行書いてまんなかの1行を目立たせたい! となったときにHG創英角ポップ体をつかいたくなってしまうらしく、それを「メリハリの呪縛」と呼んでいた。
禁の字のたのしげな雰囲気はいなめない
自由に使えるフォントが明朝、ゴシック、毛筆、ポップ体ぐらいしかないなかで、強調したい文字についHG創英角ポップ体を選択してしまう「メリハリの呪縛」は、たしかにあるかもしれない。
「オカンアート」としてのHG創英角ポップ体
HG創英角ポップ体を生み出したのは、当時60歳代であった女性であった。
お母さんがつくった花がらの電話カバーや、毛糸のぬいぐるみなどをオカンアートと呼ぶむきがある。 その仕事量やデザインの質の高さからいうと、HG創英角ポップ体は、とてもオカンアートとならべることはできないものの、その親しみやすさや愛され方については、オカンアートひけをとらないのではないか。 伝説の創英企画に会ってきたぞー
お知らせ
すみません、こんにちは。ライターの西村です。
6月30日に、笠倉出版社から、私がいままでデイリーポータルZにかき散らした記事をまとめた本が出ます。 たぶん出ます。 紀伊國屋書店にブックカバーを譲渡したはなしや、石川県の栓抜きをつくったはなし、国語辞典の記述だけでコロッケをつくったはなしなど、かなり脈略のないラインナップですが、そういうことがかいてある本だということを踏まえて、みなさん月一回のサイゼリヤディナーを我慢して、この本を買ってください。 よろしくお願いいたします。 『「ファミマ入店音」の正式なタイトルは「大盛況」に決まりました』 出版社:笠倉出版社 発売日:2016年6月30日 価格:1296円(税込)
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