メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

「米海兵隊削減を」平和宣言で翁長知事

平和宣言を読み上げる翁長雄志沖縄県知事=沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園で2016年6月23日、須賀川理撮影

 太平洋戦争末期の沖縄戦の犠牲者などを悼む「慰霊の日」の23日、沖縄県糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で「沖縄全戦没者追悼式」が営まれた。翁長雄志(おなが・たけし)知事は平和宣言で、在沖縄米軍の大半を占める米海兵隊の削減を含む米軍基地の整理縮小などを直ちに実現するよう日米両政府に強く求めた。安倍晋三首相はあいさつで「今後も国を挙げて基地負担軽減に一つ一つ取り組んでいく」と述べた。沖縄中で犠牲者の冥福を祈るこの日は県内各地で慰霊祭があった。

 沖縄では20歳の女性を暴行・殺害したなどとして元米海兵隊員で米軍属の男が逮捕される事件が発生。事件に抗議して約6万5000人(主催者発表)が集まった19日の県民大会で海兵隊撤退を求める決議が採択されるなど、県民の反基地感情が高まっており、翁長知事は平和宣言で異例の「海兵隊の削減」要求に踏み込んだ。

 翁長知事は事件について「広大な米軍基地があるがゆえに長年、事件事故が繰り返されてきた」と指摘。日米安全保障体制の負担を国民全体で負うことや米兵・軍属の特権を保障する日米地位協定の抜本的見直しも訴えた。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設問題については「県民の理解は得られず、これを唯一の解決策とする考えは到底許容できない」とした。

 これに対し、安倍首相は「米国と地位協定上の軍属の見直しを行うことで合意し、現在詰めの交渉を行っている」などと述べ、「政府として二度と痛ましい犯罪が起きないよう対策を早急に講じる」と強調した。県と対立する辺野古移設については言及しなかった。

 翁長知事は式典後、記者団に「沖縄が置かれている環境はこの1年間も変わっていないし、71年間通しても私たちの思いは伝わっていない。その中で一番重要なことを全責任者の安倍首相に(平和宣言で)訴えさせてもらった」と語った。

 一方、沖縄戦で負傷兵の看護に当たり、動員された生徒と教師計240人のうち136人が犠牲となった「ひめゆり学徒隊」の慰霊祭が、糸満市伊原の「ひめゆりの塔」前で開かれた。約350人が参列し、元学徒たちが卒業式で歌うはずだった「別れの曲」の歌声が響くと、ハンカチで涙をぬぐう参列者の姿もあった。

 元学徒でひめゆり平和祈念資料館の島袋淑子(よしこ)館長(88)は「亡くなった友達を思うと戦争を絶対に許せない気持ちでいっぱい。それなのに沖縄にはまだたくさんの基地がある。私たちの力で平和を守っていきましょう」と呼び掛けた。

 姉が犠牲になった同県与那原町の普天間兵光(へいこう)さん(74)は「勉強熱心だったという姉は、10代の若さで激戦地に送られた。二度とこんな戦争はしてはいけない」と力を込めた。【佐藤敬一、川上珠実】

関連記事

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 千葉・柏の2児殺害 精神疾患の母親「子育て不安」連絡を 市が医療機関に要請へ
  2. 個人情報悪用 セブン−イレブンに賠償提訴 東京地裁
  3. 横浜・家族2人殺害 逆送の少年、家裁移送 横浜地裁決定 裁判員裁判、殺人で初
  4. クローズアップ2016 参院選 毎日新聞総合調査 「1人区」野党苦戦 共闘の効果薄く
  5. 参院選 改憲勢力3分の2うかがう 毎日新聞序盤情勢

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

[PR]