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 第2次世界大戦末期に日本で生まれた、敵艦に機体もろとも体当たりする特攻作戦。人間爆弾とも呼ばれた特攻機「桜花」への搭乗を、最初に志願した旧日本軍の兵士、林冨士夫さん(故人)を取り上げたフランスのドキュメンタリー映画がこの夏、国内で上映される。

 映画のタイトルは、「人間爆弾『桜花』―特攻を命じた兵士の遺言―」。監督を務めたのは、今年のカンヌ国際映画祭の受賞作をプロデュースした澤田正道さんだ。フランス在住の澤田さんは知人を通じて林さんと会い、2006年に日本で話を聞いた。計30時間の映像を76分にまとめた映画は、林さんへのインタビューだけで構成している。

 林さんは、今の笠間市を拠点にした筑波海軍航空隊に着任して間もなく最初の特攻作戦を知らされ、参加を志願した一人。自力飛行できない桜花は、親機となる攻撃機の胴体から切り離されると、滑空で敵艦に爆薬とともに体当たりする。搭乗員にとって決死の作戦だが、若くして大尉だった林さんは、志願兵に特攻のテクニックを教え、出撃する隊員を選ぶ役に回った。