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[FT]英国と欧州に運命の時(社説)

2016/6/23 14:15
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 英国の決断の日がついに訪れた。長く疲れるキャンペーンを経て、英国民は今日、欧州連合(EU)から離脱するかどうかを国民投票で決める。自国だけでなく欧州にとっても重大な結果が懸かる投票に臨む登録有権者数は4600万人強。世界の目がこれほど英国に向けられることはめったにない。

 この4カ月、残留派と離脱派の論戦は多くの人を動揺させるまでに国を二分した。しかし、英国民が発言権を行使する時が来た今、本紙の第一の義務は英国内の読者──そして広く英国民──に投票へ行くよう呼びかけることだ。

妻と投票所を訪れたキャメロン首相(23日、ロンドン)=ロイター
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妻と投票所を訪れたキャメロン首相(23日、ロンドン)=ロイター

 英国の選挙における投票率は近年、急激に下がっているが、今日投票に行くことは圧倒的に重大な責務だ。EU離脱の決断は英国に深刻な影響をもたらすだけでなく、引き戻すこともできなくなる。離脱は離脱なのだ。今回のように結果が見通せない国民投票では、全ての1票が重みを持つ。

 フィナンシャル・タイムズは、EU離脱は英国だけでなく欧州と西側にも打撃をもたらす重大な自傷行為であるとの信念を堅持している。最後の論戦にも、私たちの見解を変えるものはなかった。

 残留派はEUの一員であることの意義を論証するのが遅かったが、その論証の妥当性に疑いの余地はない。英国の良識と自由主義、民主主義の伝統が欧州に大きく貢献してきた。英国はこの貢献を続けるべきだ。欧州がイスラム過激主義やロシアの好戦姿勢、気候変動の脅威に直面している今、英国の建設的な関与は必須だ。EU残留への投票は英国をおとしめるものではなく、世界における英国の強い発言力を保つための投票だ。

 離脱派は最後の論戦でも、EU離脱は英国経済に悪影響もしくは壊滅的影響をもたらすという専門家の一致した見解を崩すことができなかった。また、EU離脱後の貿易関係についても一貫性のある計画を示せなかった。離脱派のリーダーらがテレビ討論にたけていることはわかったが、信頼できる明日の英国指導者ではない。

 24日午前に判明する投票結果の別を問わず、この国民投票のキャンペーンは長く傷痕を残すことになる。英国民はエリート層と政治機構への深い不信を示した。これは対処が必要な問題だ。多くの有権者が移民の流入に対する不安を吐露した。これを無視することはできない。離脱派キャンペーンの醜悪な排外主義とそれを操ったナイジェル・ファラージ氏(英国独立党党首)は、何をもってしても正当化できない。しかし、残留派が勝った場合にも、英国は移民問題をめぐる対話を広げる必要がある。

■英国は既に主権国家だ

 キャンペーンの中に表れた前向きな声も無視できない。最も前向きな声の一つは、EU残留支持が多数を占める若い世代から聞こえてきた。デジタル時代の中で若者は、自分たちの未来が分離と孤立でなく、つながりと参加にあることをわきまえている。年配層の離脱派が帝国の過去を回顧しているように見えるのに対し、若者はグローバルな未来に目を向けている。国民投票の結果に懸かっているのは、つまるところ彼らの未来だ。

 英国民は今日、欧州問題に最終決着をつける機会を迎える。投票所のブースに入る前に、この民主主義の権利の行使が自分の国について何を意味するのか、最後にもう一度考えてみるべきだ。離脱派は、英国は欧州の超国家から「主権を取り戻さなければならない」と言うが、その超国家は政治的実体であるよりも彼らの想像の産物である部分が大きい。現に、この国民投票は今も英国が主権国家であることの証しだ。投票を生かそう。自らが運命を決めるのだ。

(2016年6月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.


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