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入試情報

医療を志す君たちへ

本学部が求める人材

 信州大学医学部の各学科、各専攻を卒業すると、医師、看護師、助産師、保健師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士などの医療専門職の国家試験の受験資格を得ることができます。しかし、本学では、単に医療職の国家資格を得るためだけの教育を行っているわけではありません。医療人になるためには、知識レベル、技術レベル、態度レベルの3つの要素が必要であると考えております。知識レベルは講義と試験、技術レベルは実習により身に付くように本学部のカリキュラムは作成されていますが、いちばん難しいのが医療人にふさわしい人格を育成して身に付ける、態度レベルの教育です。

 本学部に入学するためには、膨大な知識を身に付けなければならず、結果として高い偏差値が要求されることになります。しかし、もっとも大事なのは、医学に興味があり、将来、医療に携わることについて明確な目的意識を持っていることです。そして、他人の考えを受け入れる余地があることです。学生諸君はまだお若いので、人間として未熟であってもそれは問題ではないのですが、大切なことは、コミュニケーション能力なのです。研修医が医療現場で遭遇するトラブルのほとんどは、コーメディカルスタッフとのコミュニケーション不足が原因といわれています。チーム医療が大前提となる現代では、十分なコミュニケーション能力がなければ医療人になることはできません。欲望や衝動を抑制し、自分とは違う他人の考えを受容する度量。これらは「人としての素養」という態度レベルの資質です。偏差値やステータスだけから本学部を目指すと、医療人としての適正レベルで脱落していく可能性があります。

カリキュラムの特長

 本学部のカリキュラムは、未熟な自分を直視し、何が求められているのか考えるきっかけになる「気づき」を与える場です。1年生の「早期体験学習」は、老健施設や障害者施設でのケア体験です。ハンディキャップがあるなど弱い立場に置かれている人たちの心に触れるとともに、ケアワーカーの方々の仕事を観察することから多くのことが学べるでしょう。2年生の「外来患者体験実習」では、信大病院に来院される外来患者さんに付き添い、患者目線で診察の流れを把握します。「看護体験実習」では、附属病院の病棟で看護師とともに日勤・夜勤を体験します。このように、臨床実習が始まる4・5年生になる前にさまざまな局面から医療現場を体験することで、医学部生は「気づき」に遭遇できるのです。また、将来の医学研究の礎となる「研究の芽」の養成も大切なことです。3年生の「自主研究演習」では、研究の大切さと面白さに触れることができるでしょう。

 いま臨床実習は、見学型から診療参加型へと大きな変化を迎えています。本学部でも2014年度から臨床実習数が増えるとともに、実習生は3~4人のチームのもう一人の一員として臨床現場に参加します。5年生後期には「150通りの選択肢からなる参加型臨床実習」と題して、県下の病院に協力いただき、6ヶ月6コース、1診療1人ずつ学生自らが選択できる実践的な臨床実習を行います。より実際の医療現場に近い実習が増えるということは、責任も大きくなるということですので、進級判定は必然的に厳しくなります。現状でCBTで落第する学生が少なくはありません。このことは肝に銘じておいてください。

学ぶうえで大切なこと

 医学部に合格するための受験勉強と、医学部に入ってから身に付けなければならない勉強は全く別のものです。例えば進級判定においても、一夜漬けや丸暗記では対処できないようにしております。大事なのは知識ではなく、知識を学ぶ前提となる考え方を身につけること、つまり、多岐にわたる知識を前に脈絡を持って理解することです。よく土を耕しておかないと、その上にいくら水をまいても土に吸収されることなく流れていってしまうように、学び方の基礎ができていないと、医学部で学ぶことになる膨大な知識を身につけることはできないでしょう。

 信州大学医学部は、地域の医療機関のご厚意とご協力から充実した臨床実習が可能になっております。そのため、高度な医療技術に触れる機会も多く、また、地方大学としては類をみない総合大学としての規模を誇っています。本学部では、誇り高い医療人となり、社会に貢献したいと強く願う優秀な若者に入学していただきたいと考えています。「松本の地において国際的レベルの医学知識を学び、世界に通用する医療技術を身に付ける」という自負とともに、充実した学生生活を送れるものと信じています。

信州大学医学部長
池田 修一