神奈川県横須賀市の居酒屋で生で食べてはいけない豚のレバーを出したとして、経営者の男(36)が神奈川県警に食品衛生法違反の疑いで逮捕された。水曜限定の「裏メニュー」だったという禁断の一品。異例の逮捕に至った背景とは?
現場の店は京急久里浜駅から徒歩3分。カウンターとテーブル3卓のこぢんまりとした大衆酒場で、昭和の雰囲気が漂う。「焼き物と刺し身がおいしくて、いつもにぎわっていた」と近所の女性(43)は話す。
県警や厚生労働省によると、豚の生レバーを提供したとして逮捕者が出るのは初めてという。捜査関係者によると、男は「自分が好きだったので、お客さんにも喜んでもらえると思って出した。法律で禁止されているのは知っていたが、自分は一度もあたったことはない」と話しているという。
店の卓上に置かれたメニューには「裏メニュー 焼いて食べてください 毎週水曜日」とあったが、実際に出てくるのはネギを散らした生レバーだけで、コンロや七輪など、焼くための道具は出していなかった。ごま塩とにんにくしょうゆの2種類の味付けが選べ、1皿約70グラムで600円だった。客を装って入店した浦賀署の捜査員が「裏メニュー」を注文し、一部を持ち帰って鑑定したところ、豚のレバーと確認できたという。
「生ビールとやったら最高間違いない!」「数量限定です、お早めに」。男のフェイスブックには、毎週水曜日になると裏メニューの入荷をアピールする投稿が並んだ。逮捕された15日昼にも「生ビールと日本酒でやっちゃいますか」と書き込んでいた。
男は、水曜日に近所の精肉店で10人前を仕入れ、6~7人前が売れたと説明し、「客寄せの意味合いも強く、水曜日はいつもより売り上げが少し良かった」と供述しているという。
「豚レバーを出していると、このあたりの店ではうわさになっていた。知っている人も多いのでは」。同じ横須賀市内で飲食店を経営する男性は語る。
生肉を巡っては2011年、富山県などの焼き肉チェーン店で牛肉のユッケを食べた客が食中毒になり、男児2人を含む5人が死亡した事件をきっかけに厚労省が規制を強化してきた。
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