飯塚真紀子/在米ジャーナリスト
銃撃事件で、銃保有支持派が増加中
フロリダ州オーランドで起きた銃乱射テロは、アメリカで銃規制の議論を再燃させている。だが、結論は「お決まりのもの」になってしまった。オバマ大統領も強く銃規制を訴えてきたが、20日に行われた上院議会では、提案されていた銃規制強化法案は否決されてしまった。
またしても、である。多数の死傷者を出す銃乱射事件が何度も起きているにもかかわらず、いつまでも通らない法案。実際、銃規制は前に進むどころか後退しているようだ――。そんな現状を指し示すデータが、6月12日付けの『ワシントン・ポスト』紙に紹介されており、興味深い。
例えば、今回のような多数の犠牲者を出す銃乱射事件が起きると、アメリカの市民は銃規制に対する見方を変えるのかどうかを示す以下のデータ。
ピューリサーチセンターが行った調査では、2012年7月、コロラド州オーロラの映画館で起きた銃乱射事件で12人が亡くなったが、事件後に行った調査では、銃規制強化支持が2%増、銃所有権支持は3%減に留まった。
また、2011年1月にアリゾナ州ツーソンのスーパー駐車場で6人がなくなった銃撃事件の発生後は、銃規制強化支持が4%減少し、銃所有権支持が3%増加。事件が起きても、数%の微増減しか見られず、銃乱射事件は市民の見方にそれほど大きな影響を与えていないことがわかったのである。
さらに、2014年12月、コネチカット州ニュートンの小学校で26人という多数の犠牲者を出した銃乱射事件後に行われた調査では、52%が銃所有権を支持し、46%が銃規制を支持、20年ぶりに、銃所有権を支持する人々の割合が上回る結果となった。
ギャラップの調査では、2012年では58%が銃規制強化を支持していたものの、2014年には47%と半分以下に減少、38%が現状維持されるべきだと考えており、逆に規制が緩和されるべきだと考えている人が14%もいる。
データからわかるように、「銃規制論」はアメリカではポピュラーではなくなっているのである。
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