「韓国は一体いつまでこんなことを続けるつもりなのか。日本ばかりか、国際社会の信頼も失いかねないことに全く気づいていない」
海上自衛隊幹部は苦虫をかみつぶしたような顔つきでこう吐き捨てる。海自や米韓両海軍などが5月25日〜6月3日に韓国海域で行った共同訓練で、計画されていた韓国・済州島への各国艦艇の入港が、韓国側の判断で直前になって中止されたからだ。
韓国の複数メディアが自衛艦旗である「旭日旗」を掲げる海自艦艇に激しく反発したことから、韓国政府が国内の反日感情に配慮したとみられる。軍事交流や安全保障政策には互いの歴史認識や政治案件を持ち込まないのが国際的なセオリーだが、韓国はその真逆をいく。
問題が表面化したのは日米韓のほか豪州、シンガポール、マレーシアの各海軍が参加した西太平洋潜水艦救難訓練「パシフィック・リーチ」。その閉幕式と訓練の事後研究会は、観光地としても知られる韓国の済州島で行われる計画だった。
ところが韓国海軍は「各種要素を考慮した」などとして入港中止を土壇場で参加各国に伝達。閉幕式は開幕式と同じ韓国南部の鎮海海軍基地で行われた。
単なる計画変更とみる向きは少ない。火種は共同訓練が始まる前からくすぶっていた。海自はパシフィック・リーチに潜水艦救難母艦「ちよだ」と練習潜水艦「おやしお」を派遣。5月24日に韓国南部の鎮海海軍基地に入港した。
その際、海自艦艇が旭日旗を掲げていたことに複数の韓国メディアが反発。ハンギョレ新聞(電子版)は旭日旗を「かつての日本軍国主義の象徴だ」とした。