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見えぬ着地点…県、提訴せず 政府は当面様子見

国地方係争処理委員会の判断と今後の流れ

 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の県内移設を巡って対立する政府と県の司法決着の道筋が不透明になっている。翁長雄志(おなが・たけし)知事による名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しに対する政府の是正指示の適法性を審査していた総務省の「国地方係争処理委員会」が、適否の判断を避けたためだ。係争委の判断の後、県が政府を相手に提訴する前提だったが、翁長氏は当面、提訴しない考えで、政府側が対応に苦慮している。

     係争委の審査は、訴訟合戦を整理して裁判を一本化する福岡高裁那覇支部の和解条項に基づく手続きの一環。和解条項には「適法」「違法」いずれの結果でも、県が政府を提訴して司法判断を仰ぐ手順が明記されたが、係争委は17日、「いずれの判断をしても両者間の関係構築に資するとは考えられない」との結論を下した。

     菅義偉官房長官は20日の記者会見で「国の指示の違法性は認められなかった」との認識を強調。「不服があれば和解条項に基づき1週間以内に訴訟を起こすことになる」と述べ、県側に速やかな提訴を促した。

     一方の県側は「承認取り消しも有効なまま」(幹部)との見解だ。翁長氏は18日の記者会見で当面は提訴しない意向を示し、「この問題は法廷闘争で解決を図るべきものではない」と政府との直接対話を優先する考えを示した。

     これに対し、政府関係者は「ルール違反」と憤るが、有効な手立てがないのが実情だ。知事の求めに応じて実質的協議の新たなテーブルに着けば、昨夏の集中協議と同様、平行線となるのは必至だ。「知事が是正指示に従わない」として国が違法確認訴訟を起こす選択肢もあるが、和解の破棄と受け止められる恐れがある。また、仮に是正指示の「適法性」を掲げ、中断している埋め立て工事を再開すれば、移設反対グループが反発し、物理的な衝突に発展しかねない。

     政府は、22日に公示される参院選への影響も考慮し、当面は対応を慎重に検討する構えだ。ただ、早ければ来年1〜2月と想定されていた司法決着と春先の工事再開はずれ込む公算が大きくなっている。政府高官は「しばらく様子見だ。少し落ち着いた方がいい」と語った。【高本耕太】

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