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【政治】

一票の意義 若者に「一席」 お笑い交え「出前授業」

大学生らに授業を行ったお笑い芸人のたかまつななさん(中央)=14日、東京都国分寺市の東京経済大で

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 参院選で選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられることを機に、若い世代に政治参加を促そうと、若手の芸人が全国の高校や大学に出向いて自ら講師になり「出前授業」を行っている。自称「お笑いジャーナリスト」たかまつななさん(22)。生徒や学生に討論に参加してもらい、政治や民主主義の本質を体験してもらう授業が好評だ。 (安藤美由紀)

 たかまつさんは東京大と慶応大の大学院生で、「お嬢さま芸人」としてテレビや舞台で活躍。お笑いを交えて政治教育ショーの出前授業を行う株式会社「笑下村塾」を今年四月に設立し、出前授業をスタート。これまで北海道と関東地方の高校・大学計四校で実施した。活動資金はクラウドファンディング(インターネットを通じた資金調達)で集めている。

 今月十四日に東京経済大(東京都国分寺市)で行った授業は、一年生十七人が受講した。学生全員が十八歳の女子高生、二十四歳の会社員、四十五歳の主婦、六十五歳の会社員、八十歳のお年寄りの役柄に扮(ふん)し、架空の法案について議論した上で、模擬投票を行った。

 「五十歳以下の選挙権を廃止する法案」について、単純に一人一票で投票したところ、五十歳以下が多数派だったため否決された。しかし、世代別の人口と投票率を勘案した場合の投票結果は、若い世代は高齢者より人口が少なく投票率も低いため逆転し、法案は成立。驚く学生らに、たかまつさんは「これが実際の政治で起こっていること。若い人も投票しないと損する」と指摘した。

 終了後のアンケートでは十七人全員が、投票に行きたいと回答。参加者の一人、田中幸奈さん(18)は「選挙を身近に感じることができた。住民票は実家にあるが、不在者投票に挑戦したい」と話した。

 たかまつさんは「十八歳選挙権は七十年ぶりの制度改正なのに、(政府や政党は)若者が面白いと思える取り組みをしていない。今回の授業は誰でもできるように作ったので、もっと人を巻き込んで広げていきたい」と話す。たかまつさんは出前授業を行う学校を全国から募集中。詳細は「笑下村塾」で検索できる。

 

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