「炉心溶融」と言うなとの指示
未曽有の原子力事故となった福島第一原発事故から5年余りが経過しても、東京電力は相変わらず非常識で、依然として自浄能力を醸成できていない。そのことを浮き彫りにする調査報告が先週木曜日(6月16日)に公表された。
皮肉にも、その事実を裏付けたのは、事故当時、原子炉内の核燃料が溶け落ちる「炉心溶融(メルトダウン)」の公表が2ヵ月以上遅れた問題について、東電が調査を委託した「第三者検証委員会」と称する組織の報告である。
同報告は、問題の原因を「(官邸から「炉心溶融」の言葉を使わないように言われた)清水正孝社長の直接の指示」「(社長の指示が)東電社内で広く共有されていた」としながら、その結果生じたメルトダウン隠しを「故意ないし意図的と認めがたい」などと、我田引水の結論に導く内容だった。
この報告に、柏崎刈羽原発の再稼働問題を抱える、新潟県の泉田裕彦知事は「(これまで同県の)技術委員会に虚偽の説明をしていた。極めて遺憾」とコメント。
メルトダウン隠しの張本人と名指しされた首相官邸側(当時)は、菅直人元首相や枝野幸男元幹事長が「(参議院議員選挙の)選挙妨害の疑いもある」などと反論する騒ぎになった。
折しも、高浜原発の運転差し止めを命じた仮処分に対する関西電力の執行停止申し立てを大津地裁が却下したり、先の熊本地震の知見を原発の安全基準に加える要求が原子力規制委員会の前委員から出されたり、原発再稼働を巡る議論がここへきて再びヒートアップする様相を呈している。
来月に投票が迫った参議院議員選挙の争点としても、クローズアップされそうな雲行きになってきた。
不祥事を起こした企業が、事実関係の調査と称して時間を稼ぎ、客観性を装って自らの主張を盛り込むために設置する「第三者委員会」。もっともらしい「第三者」というネーミングとは裏腹に、その組織には常に胡散臭さが付きまとう。
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