貯蓄する高齢者に対して、麻生太郎氏が「さらにためてどうする。金は使って回さないと」と発言し、物議を醸している。
2. この言葉は乱暴に見える。しかし、「ある意味で正しいと思ってしまう」とツイートしたのは、@sow_LIBRA11さんだ。
その理由は、SOWさんのおばあさんにある。
3. うちのおばあちゃんが、乙女に戻った日
1931年、満州事変の年に生まれたおばあさんは「青春期は戦後のドタバタ、一番遊んでいい時代に遊べなかった」。大阪大空襲を経験し、街が焼け野原になる様を見ていたからか、「贅沢は言っちゃけいない」と育ったようだ。
そんな彼女は、密かな趣味を持っていた。「くまのプーさん」だ。40年以上前から、少しずつグッズなどを集めていたという。
4. 77歳、躊躇しながらはじめての東京ディズニーランド。
喜寿のお祝いにSOWさんは「1回ディズニーランドに行ってみる?」と声をかけた。おばあさんは「私みたいな年寄りが言ったらアカンやろ。夫を家において、妻が旅行にいくなんて」と戸惑いを見せた。
背中を押したのは祖父だった。「いいから行ってきなさい」。旅費は全額おじいさんが払った。
5. 「プーさんのハニーハント」に7回連続で乗るほど大興奮。そして…
到着するなり「いやーん、わーん、きゃーん!」と乙女の瞳になって大興奮。グッズストアではダンボール1個分の買い物をし、「花火はシンデレラ城の前で見たい」と全力疾走するほどだった。
一度走りだした乙女は止まらない。「グッズで囲まれた部屋で、プーさんの絵本を読むのが至福の時」だと言い、「日本語訳やと伝わらない。原文で楽しみたい」と英語を勉強するまでになった。そして、英国に飛んだのだ。
6. 祖母が目指した1万キロ先にある聖地
彼女が向かったのは、プーさんの森「ハートフィールド」だ。写真はそこへと向かう姿。
もともと、おばあさんの家庭は貿易関係の仕事をしていたため、英語を勉強する機会はあったという。日常生活の中で錆びついてしまった英語力は、プーさんの絵本を通して蘇ったのだ。乙女の好奇心とともに。
家族総出で「やっとばーさんが自分のしたいこと言い出した!」と団結し、旅費を出しあい、空港の送り迎えをした。明治生まれのおじいさんは「何かしてあげたいけれど」と長年悩んでいたようだが、キラキラと目を輝かせ海を渡るおばあさんを見て安堵の表情を浮かべたという。
7. せっかく貯めてきたお金は、こうやって使ってもいいんじゃないか。
SOWさんは祖母への想いをこう締めくくった。
「いいんだよ、年寄りが年寄りらしく枯れてなきゃいけないなんて誰かが決めたわけじゃない。何か1つでいい、楽しむことを見つけてほしい。こう言うとなんですが、私にとって世の中で一番素晴らしい女性だと思っています」