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【日曜講座 少子高齢時代】外国人「単純労働者」の解禁 不足する労働力の精査が先だ 論説委員・河合雅司

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【日曜講座 少子高齢時代】
外国人「単純労働者」の解禁 不足する労働力の精査が先だ 論説委員・河合雅司

前提次第で見通し変化

 欧州など多くの国が移民や外国人労働者の対応に悩んでいる。「なぜ日本が欧米の後追いをするのか」といった治安や雇用環境の悪化に対する不安の声は少なくない。だが、それ以前の問題としてすべきことをしていない。人口減少に伴って不足する労働力は一体どれくらいの規模かの精査だ。この視点が、日本における外国人受け入れ議論で決定的に欠落している。

 これまで通りに仕事を進めようとするならば現在の労働力人口が比較基準となる。しかし、前提を変えれば見通しは大きく違ってくる。

 介護を例に引こう。高齢者数も人口減少に伴いいずれ減る。その前に健康寿命の延びで要介護者が減れば、介護ニーズの予測は変わる。イノベーション(技術革新)による省力化をどう織り込むかによっても数字は異なってくる。ボランティアを活用するような介護保険外の仕組みが普及すれば、不足する介護職員数はさらに変わる。

 人口が減るからといって安易に外国人労働者に飛びつけば、後に「思わぬ社会コスト」に苦しむことになる。

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