162/198
第222話 不思議な鏡
あけましておめでとうございます!
今年も『魔拳のデイドリーマー』をどうぞよろしくお願いします!
新年一発目は諸事情により、2話同時投稿になります。
前の第221話とあわせてどうぞ。
「ん……どれもなんと言うか、ぱっとしないというか……コレってもんがないな……」
「悪いねえお兄さん。こんな辺境じゃ、入荷する品物も限られてきちまうんだよ」
『リアロストピア』に入ってそろそろ3週間くらい。
またまた別な町に宿を取った僕らは、自由時間を思い思いに過ごしていた。
僕ら『邪香猫』もそれにならって各自自由行動にして……現在、買い物中。
骨董品店や雑貨店、古美術商めぐりをして、掘り出し物を探してみている。
お供はエルクとナナ。あと義姉さんと、肩にアルバ。
まあ掘り出し物といっても、珍しい骨董とか、大昔の名工の名品とか探してるじゃなく、珍しげなマジックアイテム的なものがないかどうか、ってことだ。
いい仕事してようがしてまいが、僕、骨董に興味は無いので。
しかし……仮に骨董に興味があったとしても、このへんの店で欲しくなるものはないだろう。
だって、その……品質があまりにも……
「まあ……内戦で焼け残ったものをかき集めて売ってるようなもんだからね。欠けたりひび割れは当たり前……正真正銘、物好きが観賞用に買っていくようなもんさ、最近はどこもね」
と、初老の店主さんは言う。
さっき僕、微妙に失礼なこと言ったと思うんだけど……それでも怒られなかった理由はここにあるのだ。到底実用に耐えるようなものや、まともな品質のものがないのである。
何度か話に上がったとおり、この国では最近まで内戦・紛争が続いていた……ってか、今も一部地域では続いてるらしいんだけど。
この北部では、もう内戦そのものは収まっているとはいえ、規模としてはかなり大きく激しい戦いがあったそうで……その傷跡がまだ各地に残っているというか、復興が進んでいないというか。
東部・南部に比べて、いろんな品物が不足している自体が続いているらしい。
ああ、ノエル姉さん今回、そういう町や村もターゲットにしてるって言ってたな……。
領主とか一部の金持ち、大き目の商店を相手に商売するって……ただの食料だけじゃなく、野菜その他の種とかも持ってきてたみたいだから、臨機応変に上手くやるだろう、姉さんなら。
それはともかく……この店もやっぱりはずれだな。ほしいもんないや。
僕の隣で終始退屈そうにしてたエルク達――目利きも値切り交渉もする余地がないので、早々に自分の存在意義を失ったそうな――に声をかけて、店を出ようとした時、
「お兄さん方、見たところ冒険者みたいだが……腕はたつのかい?」
店主のおじいさん? おじさん? が唐突にそんなことを聞いてきた。
「え? まあ、それなりには」
「なら……掘り出し物が欲しけりゃ、裏通りの店を回ってみるのもいいかもしれないよ? 治安は少々悪いが……表には出回らない曰くつきの品が売られてることもあるみたいだからね」
とのこと。へー、そうなんだ。
「どうする? 行くの?」
「んー……一縷の望みを託して行ってみる。どうせ暇だし」
呪われた鎧とか、いわくつきの武器とかあるかな……たまにそういうのの中に、効力が暴走してるマジックアイテムの名品とかあったりするんだよな。
ま、ほどほどに期待しておきますか。
「治安はまあ……別に問題ないでしょ。絡まれても、私らなら」
「そうですね……シェリーさん連れてくれてよかったですね」
「あー、嬉々としてついて来そうよね。てか、むしろ行った先の裏路地とかで会うんじゃない?」
「それはないと思うよ? 暇つぶしに郊外で逆カツアゲ巡りするって言ってたから」
「逆カツアゲって何よ……」
知らないよ。まあだいたい想像つくけど。
☆☆☆
で、店主さんに教えてもらった裏路地に入ってみて、予想通り絡んできた柄の悪いのを軽くぶっとばした後、『裏ルートのお店』って奴を見に行ってみると……
そこには、予想外の光景が広がっていた。
「……何コレ?」
「摘発されてんじゃないの? 見た感じ」
行った先の『裏ルートのお店』が……今正に、警備隊と思しき方々のガサ入れ?を受けている所だった。
戸口の所には、店主と思しき中年の人物が、この世の終わりのような悲壮感漂う表情で棒立ちになっていた。その両脇は警備兵の人達に抑えられていて、動けない様子。
その視線の先では、警備兵の人たちが、店の中から荷物やら何やらを運び出され……んん!?
警備兵の中に、何だか見知った顔が……
「スウラさんにギーナちゃん!? 何で!?」
「え!? み、ミナト殿!?」
「おや……これは予想外だな。こんな所で会うとは」
灰色の髪と水色の髪の、『ラグナドラス』以来となる軍人2人がそこにいた。
てかよく見ると……警備兵さん2種類いるな。制服が違う。
1つは、よく知っているネスティア王国軍の制服。それもさらに、騎士団と軍の2種類が混在している。
そしてもう1つは、この国に入ってからちょこちょこ見かける、リアロストピアの軍の制服。黒を基調とした感じで、ネスティア軍より若干シンプルで動きやすそうだ。
なんだこの状況? てか、何でネスティアの軍のスウラさんとギーナちゃんがここに?
そう聞こうとしたその時、突如、店の入り口のあたりが騒がしくなった。
「そ、それだけは勘弁してください! わ、我が家の家宝なんです、それだけは!」
「ええい放せ! 証拠品は全て押収しなければならないと言っているだろうが!」
「それに店主、お前身一つでこの町に来たとさっき言っていただろう! 嘘をつくな!」
「そ、それは……お、お願いします! その鏡だけは見逃してください! それは……」
見ると、店主の人が警備兵の人――現地の方だ――が、すがり付いて押収品の1つを取り戻そうとしている所だった。人の頭ぐらいの大きさの……装飾のついた鏡を。
相当に必死そうな店主さんに対し、うっとうしそうにする警備兵さん。
すると、その隣で店主を引っぺがそうとしていた別な警備兵が、鏡を見て何かに気付いた。
「うん? これは……旧王家の紋章か?」
「何ッ!? ではコレは、旧王家ゆかりの品か? どの道ガラクタのようだが、こんなものを大事にしているということは……貴様まさか、旧王家派の人間か?」
その言葉に、その場にいたリアロストピア警備兵のほぼ全員がぎろり、と店主を睨み……その迫力に押されてか、店主さんが手を離し、後ずさりする。
「……ただのケチな裏取引商かと思ったが……色々と聞かせてもらう必要がありそうだな」
「ち、違……私はガッ!?」
直後、背後からガスッと剣の柄で殴られ、店主さん、昏倒。うわ、荒っぽいな。
そのまま、後ろから抱えられて引きずられるようにして連行されていくのを、ぽけっとして見ていると……そこで、ふとこちらを見た警備兵が、僕らに気付いた。
「うん? 何だお前達? 見世物じゃないぞ、用がないなら帰れ、帰れ」
しっ、しっ、と煙たそうに言う警備兵。何か感じ悪いな。
まあ、別に用もない……というか、なくなったし、帰るけどね。
あ、でもその前に……
「ところでスウラさん達、何でこんな所にいるんですか?」
「ん? ああ……実はな……」
聞けば、スウラさんとギーナちゃんはなんと……『ローザンパーク』へ行く途中だったんだそうだ。訪問する使節団の護衛として、リアロストピア経由で。
まずこの国を訪問してから『ローザンパーク』に行く旅程なんだそうで、その道中だと。
しかしその最中、あるきっかけから、どうもこのへんの裏取引市場の中に、ネスティアからの横流し品や過去の盗品を扱っている者がいることが明らかになった。
だからといってよその国で軍隊業務やるわけにはいかないので、この町の警備隊さんに事情を話して対応をお願いした所、摘発を行うので立ち会って欲しい、ということになったそうだ。
そこで、盗品等の類がないかどうか見てもらいたい、と。
で、あそこにいたわけだ……2人そろって。
「そのローザンパークにいるのがミナト殿の兄君で、ミナト殿も一緒にいるかもしれない、というわけで、私たちが護衛として選ばれたわけでな」
「あー、そうなんですか……なんかここ最近そんな理由ばっかで動員されてません?」
「そう言われれば、確かに……」
「ミナト殿の専門機関のようになってる気がせんでもないな。まあ、重要な仕事を任されていると考えれば、やりがいもあるし悪い気分でもないが」
と、ギーナちゃんとスウラさん。いや、重要な仕事って……。
「それだけ注目されているということだろうな、ミナト殿は……ところで、ミナト殿はなぜここに? さっきの店に何か用でもあったのか?」
「ああ、それはかくかくしかじかで」
「なるほどな。まあ、それは残念だが、諦めてくれ……ああでも、一通り調べた後に不用品を処分するようだから、そこからなら何かもらえるかもしれないぞ?」
「え、どういうことですかそれ?」
処分? もらえる? え、何それ? 証拠品じゃないの?
そう聞いてみると……どうやら、基本的にこの国の警備隊その他は、現代日本の警察みたいに、証拠品を何年・何十年も保管しといたりはしないらしい。
よっぽどの大事件かわけありの事件じゃない限り、事件が解決したら証拠品その他はさっさと処分あるいは関係者に返却しちゃうんだとか。
で、中には捨てちゃうものも当然出てくるそうなんだけど……ぶっちゃけて言えばそれは『いらないもの』なので、貰うこともできるらしい。
無論、誰でもじゃないけど……関係者とか、コネで貰っちゃったりしてる人もいるとか。
貴金属類はさすがにダメで、国で没収したり、被害者に補償金支払う財源として、国が指定してる信頼の置ける業者を通して売却したりするそうな。
けど、そういう価値もないガラクタの類はホントに捨てるだけなので、欲しければどうぞ……ということなんだそうだ。
☆☆☆
「で……貰ってきた」
「あんたねえ……また変なもんを……」
はぁ、とため息をつくエルクと僕の目の前には……『ガラクタ』がいくつかある。
処分品の中から許可とってもらってきた、少し面白そうなガラクタが。
どうやらあの店、やっぱりというか、非正規・いわくつきののマジックアイテムも扱っていたようで、その中からいくつかもらってきた。表通りのガラクタよりはマシな品質だ。
そして、その中には……あの、店主さんが血相変えて守ろうとしていた『鏡』もある。
どうもこれ、ただのガラクタじゃなくて、マジックアイテムっぽいのだ。
魔法が組み込まれてるらしき気配はするんだけど……どういうマジックアイテムなのかは、詳しく調べてみないとわからない。
感じる魔力も弱いし、そんなに大したことない品物だとは思うけど……。
「大したことないと思ってるのに貰ってきたの?」
「うん。なんていうか……暇つぶしみたいな感覚だし」
例えるなら……そう、美容院の待ち時間とか髪切ってる間に読む雑誌的な感覚。
別に好きとかいつも読んでるとかじゃないけど、暇だからとりあえず何か目を通すものがあればいいや、的な感じ。
持ち込んだ研究素材とかも調べつくしていじりつくして、暇だったんだよね。移動中とか。
「まあ、いじるものがもうないわけじゃないんだけど……さすがにあれらの実戦テストをここでするわけにもいかないじゃない?」
「あれらって……ああ、こないだから作ってた、シェリー達の強化装備?」
そうそう。
『ローザンパーク』で、『黒真珠』と『琥珀』以外にも色んな有用な素材が手に入ったから、それらをフル活用して、シェリー達……というか、『邪香猫』全員の装備を強化してたんだよね、こないだから。
『黒真珠』と『琥珀』で作ったある発明品も完成したし、それから派生させたいろんなマジックアイテムを有効活用する意味でも、ってことで。
ただ……その際、かなり自重抜きにして張り切ったので、エルクたちに若干引かれてしまっていたりする。『何てもの作ってんだ』って。
なので、ひとまず実戦投入するのは見送り中であって……今、装備に反映しているのといえば、全員の武器・防具の強度を上げたり、マジックアイテムの性能を引き上げる程度の改造にとどまってるんだけど。
「あははは……いやあ、だってアレはさすがにねえ……」
「確かに……その、気軽に試せるような威力・規模じゃないですし……そもそも、普通に使うのがためらわれるくらいのぶっとんだ性能でしたから……」
シェリー、ナナが微妙に引きつったような表情でそんなことを言っていた。
そんな大げさ……でもないか。
自分で言うのもなんだけど、みんなのどの装備も、かなりアレな感じに仕上がった自信あるし。
そこらの普通の魔物に使うような武器……ではないのは確かだな、うん。
そんな話の最中、ふと思い出したように、シェリーが言った。
「そういえばさ……エルクちゃんだけ、未だに武器の改造、してないわよね?」
「うん? ああ、私はね……」
言いながら、エルクは腰にさしている『ダガー』にちらっと目をやる。
確かに、エルクの武器だけは僕、何も手を入れてないんだよな。時々砥いだりするくらいで。
まあ、それは師匠の所で『邪香猫魔改造計画』をやってた時に、エルクの『ダガー』は最初から十分に性能が高い武器だから、あえて改造しなくてもいいだろう……って結論に至ったからではあるんだけども。
けど、それももうそろそろ……って所に、最近来ているのも事実である。
「私事なんだけど……一応、母さんの形見、だからさ。手は入れたくないのよ……前も言ったでしょ?」
「うん、それはわかるんだけど……さすがにそろそろ、って思わなくもないからさ。ホラ、微妙にだけど……金属部分とか、劣化し始めてるでしょ?」
「強力なマジックアイテムとはいえ、数百年か数千年前に作られた、遺跡からの出土品ですしね……さすがに耐用年数的に厳しいものがあるでしょうし……」
と、改造をしぶるエルクに対して言う、シェリーとナナ。
2人が言ってることももっともなんだよなあ……エルクの『ダガー』、徐々にだけど間違いなく、品質が劣化してきてるから。
水晶の刀身の強度や切れ味はともかく、金具や取っ手なんかはそこまで上質な素材じゃないみたいなので、そろそろ何とかした方がいい状態になってきている。
僕も実は、そろそろ何とかしないとな、とはうすうす思ってたんだよね……。
エルクのダガー、このままじゃいつか壊れかねないし。
いや、というか……このままだと絶対に壊れる。今後の戦いや訓練の激しさにもよるだろうけど……おそらくは、もう1年するかしないかのうちに。
最低でも金具は交換したほうがいいし、できれば柄も取り替えたい。芯の部分に負担がかかってるだろうし、あそこをもっと質のいい素材に変えれば、刃の部分の出力も上がるはずだ。
けどそうなると、刃部分以外ほぼ全取っ替えするに等しいので、言い出しづらかったんだよね……さっきも言ったけど、お母さんの形見だからって、改造したがらないから。
だから実は、それならいっそ、別に武器を持ったらどうか……とか提案しようかな、って思ってたところだったのだ。
こういうこと言うのもなんだけど……今の僕なら、気合入れてやれば、エルクの『ダガー』と同等かそれ以上の性能を持つ武器だって作れるので。
「……まあ、近いうちに考えとくわ。私も……さすがに、このままコレをダメにするのは嫌だしね」
「何なら、帰ったらすぐに見繕うからさ。予備用か変えのナイフあたり」
「常識の範囲内でなるべく頼むわね……」
呆れと疲れの入り混じった表情で言うエルク。
彼女いわく、僕に改造を頼めないのは、一旦改造を許すと『否常識』化して原型なくなって戻ってきそうだから……っていう懸念もあるかららしいけど……。
そんなつもりは無いけど……くっ、前科が多大にあるだけに反論できん。
まあ、それもこれも帰ってからの話だし、今は……貰ってきたこいつらを使って暇つぶしといきますかね。
一応マジックアイテム『らしきもの』を選んでもらってきたけど……今のところ、具体的にどういう術式が組み込まれてるかもわかってない。その解析も含めて暇つぶしにしようと思ってる。
ああでも、この『鏡』だけは……1つだけわかってる機能があるんだよね。
実はこの鏡、手に持って魔力を軽く流すと……
「ほら」
「わ、光るんだ?」
(多分)装飾として、円形の鏡の外淵部についている、12個のガラス玉みたいな宝玉。
これが、ぽうっ、と光るのである。ちょっとキレイだ。
……何のための機能なのかはわかんないけど。
そして、それをみんなに見せた直後……もう1つ僕は、あることに気付いた。
「あれ? 光らないんだけど?」
「え、マジで?」
面白そうに見ていたシェリーに、『貸してー♪』って言われて、鏡を渡した直後のこと。
同じようにシェリーが鏡に魔力を流したんだけど……僕の時と違って、ガラス玉?が光らなかったのだ。1つも。
え、このタイミングで壊れた? と思って再び僕がやってみると……
「あ、光った」
「「「?」」」
☆☆☆
そのあと少し調べてみてわかったのは……どうやらこの鏡、なぜか発光機能が僕にしか反応しないらしい、ということだ。
シェリーに続き、ナナ、ネリドラ、義姉さん、あとついでにリュドネラにも出てきてもらって試してもらったけど、光らなかった。
何で僕だけ光るん? この5人になくて僕にあるもの……性別か、『闇』魔力か、あるいは『夢魔』の力か……うーん、わからん。
わからんけど、ちょっとこの謎面白い。退屈してたから余計に。
手始めに、その可能性の1つを検証すべく、別の馬車に乗ってたザリーをたずねて試してもらっていた時……それは、起きた。
「光らないね」
「だね。うーん、性別じゃなかったか……」
結局、ザリーでも光らなかった。
その結果に、じゃあ何だろうな、と考えていた所で……
「あ、ミナトー、お疲れ…………ん?」
「み、ミナトさん!? そ、それは……」
突然、背後からそんな声が聞こえてきて……振り向くとそこには、レジーナともう1人、見覚えのある女の子が立っていた。
黒髪おかっぱと小さなツインテールの組み合わさった髪型に、凛々しさとかわいらしさを同時に感じる整った顔立ちの美少女。
レジーナより少し年上に見える……確か名前は、ステラ、だったか。
その2人が……なぜか、思いっきり驚いた様子でこっちを……というか、ザリーと僕を交互に見ていた。
……正確には、その手元にある……鏡を。
「あ、あの、ミナトさんにザリーさん? そ、その鏡、どこで……」
「え? ああ、これですか? 実は、かくかくしかじかで……」
「そ、そうなんですか……あの、よろしければ、ちょっと見せていただいても? 前に見たことがあるような気がしたもので、驚いてしまって……」
そうステラさんに聞かれて、ザリーが視線で『いい?』と問いかけてきたので、首肯で返す。
それを受けて、ザリーがステラさんに、ステラさんがレジーナに鏡を渡した。
……それにしても……ステラさんかぁ……
「ん? 何ミナト君、ぼーっとしちゃって? ステラさんに見とれでもしてたの?」
「いや、テラさん元気かなー、と思って」
「……発想が安直過ぎるでしょ……」
ス『テラさん』………………クダラネ。
くだらないのはおいといて……たまに行ってみるのもいいかもな、あの海底都市。
ここで貰った素材からこんなすごいマジックアイテムが作れました、って、報告もかねて。
その時には、また新しいアンデッド専用食も作っていこう。お土産に。
それはそうと、なぜかステラさんがさらに鏡を渡したレジーナは、これまたなぜか、少し緊張しているような様子でそれを手にとり……両手で持った、その次の瞬間。
(あ、光った)
魔力を流したらしいことを感じた直後……僕以外誰がやっても反応しなかったガラス?玉が、光った。
でも、全部じゃなくて……1、2、3……5つだけ光ってる。何で?
「やはり、本物……まさかこんなところで、いや、『確認』が出来たことは幸いだし、今は……」
……こっちで何かステラさんがぶつぶつ言ってるのと関係あるんだろうか? ちょっと気になるな。
それにしても……気のせいか、コレ……
「……となれば、皆を集めて今一度……ミナトさん、突然申し訳ないんですけど、お願いが……あの、どうかしましたか?」
「え? ああ、はい……その……気のせいかもしれないんですけど、僕の時と比べて、少し光が弱いような気がして……」
「……え? 僕の……時?」
「はい。ホラ」
言いながら、レジーナから鏡を受け取って……同じように魔力を流す。
すると、レジーナが手を離した瞬間に光が消えてしまった鏡の玉が……再び光った。
今度は12個全部。そしてやっぱり……さっきより光も強い。
『ほらね』と言いつつ視線をステラさんにやると……なぜか、レジーナともども絶句していた。
「え……? な、ちょ、コレって……」
「そ、そんな……12個全部……!? これは……」
「「…………?」」
ザリーと揃って、再びきょとんとなる僕。
あの……どうかしました?
☆☆☆
その数分後。
当たり障りのないような説明で、言ってしまえば、ミナト達を『誤魔化して』別れた後――彼らがそれで『ごまかせた』かどうかはさておき――ステラとレジーナは、馬車に帰る道を歩みながら……小声で、しかしかなり切迫したような様子で話し合っていた。
「ちょっとステラ!? なんでアレをミナトが光らせられるの? もしかして……偽物だったの?」
「い、いえ、見たところ本物のようでした……。紋章も本物でしたし、あなたがやって宝玉が光ったわけですから……あれは間違いなく、『ユミルの目』です」
「で、でも……じゃあ、その宝玉を12個全部、しかも私より強く光らせたってことは……ミナトって、まさか……!」
「……ありえない、と言いたいですが……『ユミルの目』の審判に間違いはありません。12個全ての宝玉の点灯は、それすなわち、『直系』の証であり『資格』。彼はおそらく……」
その先に続く言葉を、焦りや不安、緊張からか……ステラは飲み込んだ。
その変わりにか……上を向いて空を仰ぐようにして、
「まさか、生き残っていたなんて……レジーナ以外にも、『王』の系譜が……!!」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。