モデル・タレントとして活躍しながら、1児のママとして子育てにも奮闘中の優木まおみさん。変わらない美しさを保っている優木さんに美容のことや子育てのこと、モデル業についてなどうかがってきました。

――本当に全然変わらない美しさですね!
とんでもないです。出産前は体重が増えてしまいましたし、普段なら節制できるところを自分の意志とは関係なく食べてしまったりして、焦ったりしました。産後すぐは体重を戻したいという思いと、寝不足とで精神的に疲れてしまう事も…。それでも食料を買いに行かなければならないですし、でも娘はまだ外出ができないという状況。産後3カ月くらいすると逆に体重が産前よりもマイナスになって、周りから少し心配されるくらいでした。なんとなく元気も出なくて、やっぱり急激に体重が増減するのは、体に良くないんだなと思いましたね。
――そんな時期もあったのですね…。
でもその生活は、娘が1歳になるくらいにはぐっと楽になったんです。子育てに自分が慣れたのもありますし、達観してきました。今は娘が2歳2カ月なんですが、自分にも目を向けられる余裕が出て、お仕事や美容についても考えられるようになりました。先日は神崎恵さんと対談させていただいたんですが、美容についていろいろうかがえて、とても感化されました! かけがえのない娘という存在が大事なのは当然なんですけど、自分自身もまた、世界に一人しかいないので大切にしなければという気持ちがやっと芽生えたように思います。
――忙しくても、ご自身を大切にすることで気持ちが落ち着くというのもあるのでしょうね。
そうなんです。今は時間はあまりないけれど、自分にも手をかけるようにしています。日をたくさん浴びたときはシートパックをしたり、ネイルをかわいくしてみたり、アクセサリーをつけたり。仕事のときはヘアメイクさんやスタイリストさんがやってくれますけど、それをプライベートでもできるようになってきました。今は気持ち的に落ち着いているし、充実している感じがしています。
――余裕がなかった時期があるように見えないのがすごいです。
撮影の現場ではプロの方々が最大限キレイにしてくださるので、もしかしたらわからなかったかもしれないんですけど、自分の中ではかなり変化がありましたね。でも手をかけてあげればそれだけ体も応えてくれます。たとえ1でも、積み上げていけば10にも100にもなる、ということがやっとできてきたんじゃないかな?という感じです。出産前の自分が全てだったときとはまた違う気持ちでお仕事にも生活にも向き合えていると思います。

ママになってから、人に優しくなれました
――バランスがとれているんですね。
結婚も出産もしていない独身のときは、どこか自分中心に世界がまわっていて、自分の時間を好きに使うことができたんですけど、今は時間やできることの制約があるからこそ、生活を楽しめています。逆に前よりも楽しくなっているかもしれないですね。
――それが結婚や出産のいいところなのかもしれないですね。
どうでしょうね。結婚や出産のいいところは、自分だけじゃどうにもならない、自分以外の人と暮らすことなのかもしれません。娘は今食べたいと言ったものをいらないと言ってみたり、理不尽極まりないことを言ってくるんですけど(笑) 結婚する前に仕事で触れ合っていた人たちがどれだけ理不尽ではなかったかということがわかりました。仕事がなかなかスムーズに進まないな、と感じることがあっても、娘と比べたらぜんぜんスムーズなわけなので(笑)
――みなさん大人ですものね(笑)
そうなんです(笑) たとえば娘とだと、「今日は公園に行って、そのあとアイスを食べて、おもちゃ屋さんに寄って帰ろうね」といったスケジュールすら、途中のアクシデントで全然こなせないので、それと比べると世の中は何て過ごしやすいんだろうと思います。娘を産んでから、人に優しくなれましたね。
それまでは完璧主義で、「私ならもっとこうできる」という気持ちがあったんです。でもそうではなくて、自分ひとりでは世界は回っていないということが実感できるようになりました。以前は仕事でも、演者として自由にしゃべっているつもりでも、収録の前には構成作家さんやディレクターさんたちが会議をして内容を決めて、出演するタレントさんを決めてスケジューリングして、衣装さんやメイクさんがいて、という当たり前のことを考えずに仕事をしていたんです。
子育てにしてもそうで、私が仕事をするためには、保育園が必要ですし、人の大切さ、誰かの時間を割いてもらっていることへの尊さを感じる日々です。

――ママになって、人間としても成長されたんですね。逆にママになってから悩んだこと、大変だったことはありますか?
悩むことばかりですよ。自分は生まれてからずっと両親の子どもだったことしかなかったのが、急にママになるわけです。旦那さんや子どもからはママなんだから何でもできるでしょ? って思われているけど、おむつひとつ、実際には替えたことがないんです。それなのに旦那さんから「どうやって替えるの?」って聞かれても、私も知らない、って本当は思います(笑) そういうのを旦那さんとも一緒に学んでいくわけですけど、「ママって本能的にできるものでしょ」っていう見えない圧力をまわりからかけられている気がするんです。
――ママへのプレッシャーですね。
そうですね。おっぱいをどうやってあげるのかとか、抱っこのしかただって、女の人なら簡単にできるものなんでしょ、っていう雰囲気になることにすごく戸惑いました。産んですぐには何もわからないので、どのくらいでおっぱいが張ってくるのかすらわからなかったです。マネージャーさんに「仕事は何時間入れて大丈夫?」って聞かれて、聞かれた時点では大丈夫と思っても、現場に行ってみたら胸が張ってきてしまって痛くて、休憩中に控え室に駆け込むこともありました。
子どもは急に病気になるので、1カ月前には大丈夫だと思っていた仕事で後悔することになったりもしました。そういう心の整理も含めて、ハラハラしていたんですけど、今は同じことが起きても、まあ何とかなるでしょうと思って乗り越えられるようになりました。
――わずかな期間にすごいですね。
そんなことないです。妊娠中と出産したあとでママへの周囲の扱いが変わるので、そのギャップに戸惑っていた部分もあったのかもしれません。妊娠中はみんなから大丈夫? って言われて、主人も優しくて手厚く助けてくれたんです。それが出産したその日から母になって、今度は子どものケアをするばかりになって。でも体が一番しんどいのは、実は妊娠中よりも産後すぐのほうなんです。それに精神的にもつらいなと思うことが増えて…。たとえば電車で立っていても、ベビーカーが邪魔だというそぶりをされたり、逆に気を使わせてしまうことが受け入れられない時期がありました。今はタフになって、人に何かしてもらうことを待つのではなく自分からお願いするとか、考え方を変えると、同じことが起こってもすごく楽に感じることができるようになりました。
――だんだんとポジティブになっていったんですね。
なっていかないとやっていけないですね(笑) 最初は産後うつのような時期もあったのかもしれません。子どもが1歳になるくらいまでは、毎日が曇り空のような感じで、気持ちがどんよりしていました。洗濯をしようと思っても、娘におっぱいをあげるだけで疲れ果ててしまって、洗濯も満足にできないのかと落ち込みました。旦那さんが帰ってきて「えー、ごみも片付いてないの?」みたいに言われてカチンときたり。
――それはきますね!(笑)
旦那さんも夜遅くまでお仕事頑張ってきてくれて疲れているのはわかっているんですけどね。でも親があたふたしていても、子どもはしっかり育っていくんだなぁと娘を見ながら思いました。いつの間にか言葉も覚えてしゃべれるようになって、生命力がすごいんです。

時間がない中での美容法
――ママの職業のことももうわかっているんですか?
どうなんだろう。ママという生き物はみんなテレビに出るものだと思っているかもしれないです。テレビで私を見つけるのは得意で、「あ、ママ!」って言ってくれます。雑誌を見ても私を見つけてくれますし。
――だんだんと、自分も出てみたいって言い始めるかもしれないですね!
そうですね。写真を撮られるのは好きですね。私が私服をブログ用などで撮っていると隣に来て、ポーズをとったりします。
――子育て、してみたくなってきました。
でも現実的に自分の時間は本当になくなりますよ。妊娠中にママの先輩たちから、産んだら自分の時間はなくなるから、ごはんとか、行きたいお店は行きつくしておいたほうがいいよって言われていたんですがいまいち実感がなくて、子どもを連れていけばいいんじゃないかなって思っていたんです。でも、確かに子どもを連れていくこともできるんですけど、前みたいに友だちとわいわいしたり、彼氏と行っていたときと同じ気持ちには絶対になれないんですよね。行ってもあのときの楽しさはもうないんです。帰って早く寝かせないととか、この椅子は座らせにくいなとか、これは子どもが食べるには味が濃いなぁとか、いろいろと考えてしまうんです。それなら、ファミレスや座敷のあるお店がいいかなと。
――生活は変わりますよね。
そうですね。ご飯も基本的には毎日作りますし。仕事と仕事のあいまに家に帰ってお米を炊くことだけはしておいたり、カット野菜を買っておいたり、効率を考えています。それでもまだまだムダが出るんですけど、こういうのは慣れなんですよね。作り置きをストックしておいたりもしています。とりあえずいっぱい煮ものを作っておいたり。カボチャの煮つけを3日間食べたりとかしてます。
――その中でこの美しさを保っているのはすごいことだと思うんですけど。めちゃくちゃお肌がきれいです!
美容面は、丁寧に日々を暮らす、ということだけは心掛けています。よく寝ること、バランスの良い栄養をとること、適度な運動。ジムに行くほどの時間はないので、娘と公園に行って遊ぶとき、私の運動もさせてもらっているくらいの気持ちでいます。娘を何度も抱っこして滑り台を滑っても、二の腕のトレーニングだと思うようにすると娘にありがとう、という気持ちになれます。ご飯を作るのも面倒だなと思うときもありますけど、自分にも良い食事を作ったなと思うようにしています。
あとはお風呂にゆっくりとつかることと、遅くとも23時には寝るようにしています。あと、カーテンを閉じずに寝て、朝の光を浴びることで目が覚めるようにしています。美容のためだけでなく、娘のためにもいいみたいです。寝かせたい時間に部屋を完全に真っ暗にすると、人間は本能的に眠くなって、朝はまぶしい光を浴びると自然に目が覚めるみたいなんです。目覚ましを鳴らさずに起きると頭もスッキリして、一日を元気で過ごせます。

マイルールはがんばりすぎないこと!
――お食事はこれを絶対とると決めている素材があるんですか?
肉と野菜をメインにしてたんぱく質をとって、豆類も必ずとります。野菜はサラダにしたり、煮物にしたりして、たくさんとるようにしています。お味噌汁もなるべく具だくさんにして、1日35品目の目標に近づくように。
――和食なんですね、やっぱり。
家で自炊するときは和食です。でもこれはマイルールなんですけど、毎日自炊しないとと思うと窮屈な気持ちになるので、月~金はがんばって自炊しますが、土日はサボって外に食べに行くことにしています。主人が休みではないときは娘とふたりだったり、ママ友や友だちとだったり。生活にメリハリをつけると日々の義務もそんなに苦ではなく、義務と思わずに楽しめるようになってきました。心のバランスをとることも大事ですね。
――お子さんへのしつけは何か決めてやっていることはありますか?
特にこれと決めていることはないですね。たとえば食べたお皿は自分で洗うと決めているおうちもありますけど、私自身、子どものころにそんなことができていたかといえば、しない子どもだったので、娘にそれを押し付けるのも変な話かなと思っていて。時間の流れとともにやってくれる子になってくれればいいな、くらいです。
――働きながら家事をやるというのも相当大変ですよね。
大変は大変なんですけど、仕事をしているぶん、手抜きをする言い訳もできるんですよ。でももし家事を専任でやっていたら、プライドもあるでしょうし、手抜きを許せなくなると思うんです。世の中のお母さんたちは本当にすごいなと思います。サボりたくなる気持ちをどうやって切り替えて、家事をやっているのかなということには興味がありますね。
――旦那さんがお礼を言ってくれない、と悩まれる主婦の方も多いですよね。
それはありますよね! ちょっとのお礼やささいな一言でモチベーションは上がるものなので、世の男性陣には奥さんの気持ちを上げるうまいテクニックを身に付けてほしいと思います。お世辞でもいいんですよ。言われたらうれしいですから。言わなくてもわかっているだろう、と夫婦は思いがちですけど、他人同士なので、言わなければ伝わらないこともありますしね。

働くママの葛藤、社会に伝えたいこと…
――お話をうかがっていると、ママになると女性は本当に精神的に変わるんだなと思いました。
すごい変わりますね。仕事に対する考え方もそうですし。成功って何だろうと考えたりもするようになりました。育児には成功も失敗もないので。でも仕事に対してはまわりが成功した、失敗した、って決めつけちゃう。あと、仕事に関して言うと、男の人は子どもができても生活リズムがそんなに変わらず、守るものができたからがんばろうって人が多いと思うのですが、女の人は現実的に時間が割けなくなってしまう。
私も若いころからこの業界にいますけど、やっとやりたいことができるようになってきて、仕事が楽しい時期と、出産のリミットがかぶるんですよね。出産は先延ばしにできないから今やるしかなくて。
――それは、働いているママはきっとみんなそうなんでしょうね。
子どもを産む前はいっぱい仕事をすることが正義だったんですが、それだと子どもとの時間が減ってしまう…それに罪悪感を覚えてしまって、何がしたいのかわからなくなってしまうこともありました。それは女の人特有のものなので、男の人も、子育てをしながら一緒に成長していく、という同じ状態になるといいのになと思います。
――日本ってまだまだそういうところで、女性に負担がかかっていて、いったん仕事が止まってしまうんですよね。
止まってしまいますよね。しかもそれが1年とかの規模ではないじゃないですか。2人3人ともし産んだら、かなりの時間止まってしまう。それならもう退職しようかってなってしまいますよね。男の人も17時くらいに子どもを迎えに行けるような文化が職場でできたら、月水金は奥さんが行くけど、火木は旦那さんが行くとか決められるのにと思います。時短勤務も奥さんだけではなくて旦那さんもできたり、世の中自体が変わればいいのにって思いますね。
――残念ながら子育てにおいて、女性が戦わなければならない社会ですよね。
そうなんですよね。産休のうちはまだしも、産休が終わって復帰しても、女性のほうがやらなければならないことが多いですね。旦那さんが手伝いたい気持ちがあっても、社会的にまだまだ難しい事の方が多いですしね。
――そうやってママもパパも戦っていく中で、少しずつ社会全体が変わっていくといいですね。働くママについてたくさんうかがえて、勉強になりました! 最後に、今後のお仕事でやっていきたい方向性や夢があれば教えてください。
今、チャイルドマインダーという資格を取ろうとしているんですが、今後はもっと人とかかわるような仕事をしていければと思っていて。今はファンの方ともなかなかお会いする機会がないので。
たとえばなんですけど、世の中で私みたいに子どもを初めて産んだときに悩んだりつらい思いをした方たちに、寄り添ったり交流ができるような場所を設けていきたいなと常々思っています。まだぼんやりとした構想段階なんですけど。講演をしたり、ママ会もやってみたいですね。子育てや美容についてみんなで話すような。ママ友がほしいけどなかなかできない同世代のママさん同士が出会える場を作ったり、企画してみたいです。
――楽しみにしています! LINE BLOGでも企画していきたいですね! ありがとうございました。



優木まおみ 公式ブログ
ママとして、ひとりの女性として進化中の優木さんはキラキラ輝いていて、女性にとって大切なのはバランスなのかもしれないなぁと思いました!
会いたい “あのひと” を身近に ―― LINE BLOG。
変化することを恐れずに生きていきたいですね!
それでは、また。
(撮影/奥田耕平、取材・文/Mikity)
――本当に全然変わらない美しさですね!
とんでもないです。出産前は体重が増えてしまいましたし、普段なら節制できるところを自分の意志とは関係なく食べてしまったりして、焦ったりしました。産後すぐは体重を戻したいという思いと、寝不足とで精神的に疲れてしまう事も…。それでも食料を買いに行かなければならないですし、でも娘はまだ外出ができないという状況。産後3カ月くらいすると逆に体重が産前よりもマイナスになって、周りから少し心配されるくらいでした。なんとなく元気も出なくて、やっぱり急激に体重が増減するのは、体に良くないんだなと思いましたね。
――そんな時期もあったのですね…。
でもその生活は、娘が1歳になるくらいにはぐっと楽になったんです。子育てに自分が慣れたのもありますし、達観してきました。今は娘が2歳2カ月なんですが、自分にも目を向けられる余裕が出て、お仕事や美容についても考えられるようになりました。先日は神崎恵さんと対談させていただいたんですが、美容についていろいろうかがえて、とても感化されました! かけがえのない娘という存在が大事なのは当然なんですけど、自分自身もまた、世界に一人しかいないので大切にしなければという気持ちがやっと芽生えたように思います。
――忙しくても、ご自身を大切にすることで気持ちが落ち着くというのもあるのでしょうね。
そうなんです。今は時間はあまりないけれど、自分にも手をかけるようにしています。日をたくさん浴びたときはシートパックをしたり、ネイルをかわいくしてみたり、アクセサリーをつけたり。仕事のときはヘアメイクさんやスタイリストさんがやってくれますけど、それをプライベートでもできるようになってきました。今は気持ち的に落ち着いているし、充実している感じがしています。
――余裕がなかった時期があるように見えないのがすごいです。
撮影の現場ではプロの方々が最大限キレイにしてくださるので、もしかしたらわからなかったかもしれないんですけど、自分の中ではかなり変化がありましたね。でも手をかけてあげればそれだけ体も応えてくれます。たとえ1でも、積み上げていけば10にも100にもなる、ということがやっとできてきたんじゃないかな?という感じです。出産前の自分が全てだったときとはまた違う気持ちでお仕事にも生活にも向き合えていると思います。
ママになってから、人に優しくなれました
――バランスがとれているんですね。
結婚も出産もしていない独身のときは、どこか自分中心に世界がまわっていて、自分の時間を好きに使うことができたんですけど、今は時間やできることの制約があるからこそ、生活を楽しめています。逆に前よりも楽しくなっているかもしれないですね。
――それが結婚や出産のいいところなのかもしれないですね。
どうでしょうね。結婚や出産のいいところは、自分だけじゃどうにもならない、自分以外の人と暮らすことなのかもしれません。娘は今食べたいと言ったものをいらないと言ってみたり、理不尽極まりないことを言ってくるんですけど(笑) 結婚する前に仕事で触れ合っていた人たちがどれだけ理不尽ではなかったかということがわかりました。仕事がなかなかスムーズに進まないな、と感じることがあっても、娘と比べたらぜんぜんスムーズなわけなので(笑)
――みなさん大人ですものね(笑)
そうなんです(笑) たとえば娘とだと、「今日は公園に行って、そのあとアイスを食べて、おもちゃ屋さんに寄って帰ろうね」といったスケジュールすら、途中のアクシデントで全然こなせないので、それと比べると世の中は何て過ごしやすいんだろうと思います。娘を産んでから、人に優しくなれましたね。
それまでは完璧主義で、「私ならもっとこうできる」という気持ちがあったんです。でもそうではなくて、自分ひとりでは世界は回っていないということが実感できるようになりました。以前は仕事でも、演者として自由にしゃべっているつもりでも、収録の前には構成作家さんやディレクターさんたちが会議をして内容を決めて、出演するタレントさんを決めてスケジューリングして、衣装さんやメイクさんがいて、という当たり前のことを考えずに仕事をしていたんです。
子育てにしてもそうで、私が仕事をするためには、保育園が必要ですし、人の大切さ、誰かの時間を割いてもらっていることへの尊さを感じる日々です。
――ママになって、人間としても成長されたんですね。逆にママになってから悩んだこと、大変だったことはありますか?
悩むことばかりですよ。自分は生まれてからずっと両親の子どもだったことしかなかったのが、急にママになるわけです。旦那さんや子どもからはママなんだから何でもできるでしょ? って思われているけど、おむつひとつ、実際には替えたことがないんです。それなのに旦那さんから「どうやって替えるの?」って聞かれても、私も知らない、って本当は思います(笑) そういうのを旦那さんとも一緒に学んでいくわけですけど、「ママって本能的にできるものでしょ」っていう見えない圧力をまわりからかけられている気がするんです。
――ママへのプレッシャーですね。
そうですね。おっぱいをどうやってあげるのかとか、抱っこのしかただって、女の人なら簡単にできるものなんでしょ、っていう雰囲気になることにすごく戸惑いました。産んですぐには何もわからないので、どのくらいでおっぱいが張ってくるのかすらわからなかったです。マネージャーさんに「仕事は何時間入れて大丈夫?」って聞かれて、聞かれた時点では大丈夫と思っても、現場に行ってみたら胸が張ってきてしまって痛くて、休憩中に控え室に駆け込むこともありました。
子どもは急に病気になるので、1カ月前には大丈夫だと思っていた仕事で後悔することになったりもしました。そういう心の整理も含めて、ハラハラしていたんですけど、今は同じことが起きても、まあ何とかなるでしょうと思って乗り越えられるようになりました。
――わずかな期間にすごいですね。
そんなことないです。妊娠中と出産したあとでママへの周囲の扱いが変わるので、そのギャップに戸惑っていた部分もあったのかもしれません。妊娠中はみんなから大丈夫? って言われて、主人も優しくて手厚く助けてくれたんです。それが出産したその日から母になって、今度は子どものケアをするばかりになって。でも体が一番しんどいのは、実は妊娠中よりも産後すぐのほうなんです。それに精神的にもつらいなと思うことが増えて…。たとえば電車で立っていても、ベビーカーが邪魔だというそぶりをされたり、逆に気を使わせてしまうことが受け入れられない時期がありました。今はタフになって、人に何かしてもらうことを待つのではなく自分からお願いするとか、考え方を変えると、同じことが起こってもすごく楽に感じることができるようになりました。
――だんだんとポジティブになっていったんですね。
なっていかないとやっていけないですね(笑) 最初は産後うつのような時期もあったのかもしれません。子どもが1歳になるくらいまでは、毎日が曇り空のような感じで、気持ちがどんよりしていました。洗濯をしようと思っても、娘におっぱいをあげるだけで疲れ果ててしまって、洗濯も満足にできないのかと落ち込みました。旦那さんが帰ってきて「えー、ごみも片付いてないの?」みたいに言われてカチンときたり。
――それはきますね!(笑)
旦那さんも夜遅くまでお仕事頑張ってきてくれて疲れているのはわかっているんですけどね。でも親があたふたしていても、子どもはしっかり育っていくんだなぁと娘を見ながら思いました。いつの間にか言葉も覚えてしゃべれるようになって、生命力がすごいんです。
時間がない中での美容法
――ママの職業のことももうわかっているんですか?
どうなんだろう。ママという生き物はみんなテレビに出るものだと思っているかもしれないです。テレビで私を見つけるのは得意で、「あ、ママ!」って言ってくれます。雑誌を見ても私を見つけてくれますし。
――だんだんと、自分も出てみたいって言い始めるかもしれないですね!
そうですね。写真を撮られるのは好きですね。私が私服をブログ用などで撮っていると隣に来て、ポーズをとったりします。
――子育て、してみたくなってきました。
でも現実的に自分の時間は本当になくなりますよ。妊娠中にママの先輩たちから、産んだら自分の時間はなくなるから、ごはんとか、行きたいお店は行きつくしておいたほうがいいよって言われていたんですがいまいち実感がなくて、子どもを連れていけばいいんじゃないかなって思っていたんです。でも、確かに子どもを連れていくこともできるんですけど、前みたいに友だちとわいわいしたり、彼氏と行っていたときと同じ気持ちには絶対になれないんですよね。行ってもあのときの楽しさはもうないんです。帰って早く寝かせないととか、この椅子は座らせにくいなとか、これは子どもが食べるには味が濃いなぁとか、いろいろと考えてしまうんです。それなら、ファミレスや座敷のあるお店がいいかなと。
――生活は変わりますよね。
そうですね。ご飯も基本的には毎日作りますし。仕事と仕事のあいまに家に帰ってお米を炊くことだけはしておいたり、カット野菜を買っておいたり、効率を考えています。それでもまだまだムダが出るんですけど、こういうのは慣れなんですよね。作り置きをストックしておいたりもしています。とりあえずいっぱい煮ものを作っておいたり。カボチャの煮つけを3日間食べたりとかしてます。
――その中でこの美しさを保っているのはすごいことだと思うんですけど。めちゃくちゃお肌がきれいです!
美容面は、丁寧に日々を暮らす、ということだけは心掛けています。よく寝ること、バランスの良い栄養をとること、適度な運動。ジムに行くほどの時間はないので、娘と公園に行って遊ぶとき、私の運動もさせてもらっているくらいの気持ちでいます。娘を何度も抱っこして滑り台を滑っても、二の腕のトレーニングだと思うようにすると娘にありがとう、という気持ちになれます。ご飯を作るのも面倒だなと思うときもありますけど、自分にも良い食事を作ったなと思うようにしています。
あとはお風呂にゆっくりとつかることと、遅くとも23時には寝るようにしています。あと、カーテンを閉じずに寝て、朝の光を浴びることで目が覚めるようにしています。美容のためだけでなく、娘のためにもいいみたいです。寝かせたい時間に部屋を完全に真っ暗にすると、人間は本能的に眠くなって、朝はまぶしい光を浴びると自然に目が覚めるみたいなんです。目覚ましを鳴らさずに起きると頭もスッキリして、一日を元気で過ごせます。
マイルールはがんばりすぎないこと!
――お食事はこれを絶対とると決めている素材があるんですか?
肉と野菜をメインにしてたんぱく質をとって、豆類も必ずとります。野菜はサラダにしたり、煮物にしたりして、たくさんとるようにしています。お味噌汁もなるべく具だくさんにして、1日35品目の目標に近づくように。
――和食なんですね、やっぱり。
家で自炊するときは和食です。でもこれはマイルールなんですけど、毎日自炊しないとと思うと窮屈な気持ちになるので、月~金はがんばって自炊しますが、土日はサボって外に食べに行くことにしています。主人が休みではないときは娘とふたりだったり、ママ友や友だちとだったり。生活にメリハリをつけると日々の義務もそんなに苦ではなく、義務と思わずに楽しめるようになってきました。心のバランスをとることも大事ですね。
――お子さんへのしつけは何か決めてやっていることはありますか?
特にこれと決めていることはないですね。たとえば食べたお皿は自分で洗うと決めているおうちもありますけど、私自身、子どものころにそんなことができていたかといえば、しない子どもだったので、娘にそれを押し付けるのも変な話かなと思っていて。時間の流れとともにやってくれる子になってくれればいいな、くらいです。
――働きながら家事をやるというのも相当大変ですよね。
大変は大変なんですけど、仕事をしているぶん、手抜きをする言い訳もできるんですよ。でももし家事を専任でやっていたら、プライドもあるでしょうし、手抜きを許せなくなると思うんです。世の中のお母さんたちは本当にすごいなと思います。サボりたくなる気持ちをどうやって切り替えて、家事をやっているのかなということには興味がありますね。
――旦那さんがお礼を言ってくれない、と悩まれる主婦の方も多いですよね。
それはありますよね! ちょっとのお礼やささいな一言でモチベーションは上がるものなので、世の男性陣には奥さんの気持ちを上げるうまいテクニックを身に付けてほしいと思います。お世辞でもいいんですよ。言われたらうれしいですから。言わなくてもわかっているだろう、と夫婦は思いがちですけど、他人同士なので、言わなければ伝わらないこともありますしね。
働くママの葛藤、社会に伝えたいこと…
――お話をうかがっていると、ママになると女性は本当に精神的に変わるんだなと思いました。
すごい変わりますね。仕事に対する考え方もそうですし。成功って何だろうと考えたりもするようになりました。育児には成功も失敗もないので。でも仕事に対してはまわりが成功した、失敗した、って決めつけちゃう。あと、仕事に関して言うと、男の人は子どもができても生活リズムがそんなに変わらず、守るものができたからがんばろうって人が多いと思うのですが、女の人は現実的に時間が割けなくなってしまう。
私も若いころからこの業界にいますけど、やっとやりたいことができるようになってきて、仕事が楽しい時期と、出産のリミットがかぶるんですよね。出産は先延ばしにできないから今やるしかなくて。
――それは、働いているママはきっとみんなそうなんでしょうね。
子どもを産む前はいっぱい仕事をすることが正義だったんですが、それだと子どもとの時間が減ってしまう…それに罪悪感を覚えてしまって、何がしたいのかわからなくなってしまうこともありました。それは女の人特有のものなので、男の人も、子育てをしながら一緒に成長していく、という同じ状態になるといいのになと思います。
――日本ってまだまだそういうところで、女性に負担がかかっていて、いったん仕事が止まってしまうんですよね。
止まってしまいますよね。しかもそれが1年とかの規模ではないじゃないですか。2人3人ともし産んだら、かなりの時間止まってしまう。それならもう退職しようかってなってしまいますよね。男の人も17時くらいに子どもを迎えに行けるような文化が職場でできたら、月水金は奥さんが行くけど、火木は旦那さんが行くとか決められるのにと思います。時短勤務も奥さんだけではなくて旦那さんもできたり、世の中自体が変わればいいのにって思いますね。
――残念ながら子育てにおいて、女性が戦わなければならない社会ですよね。
そうなんですよね。産休のうちはまだしも、産休が終わって復帰しても、女性のほうがやらなければならないことが多いですね。旦那さんが手伝いたい気持ちがあっても、社会的にまだまだ難しい事の方が多いですしね。
――そうやってママもパパも戦っていく中で、少しずつ社会全体が変わっていくといいですね。働くママについてたくさんうかがえて、勉強になりました! 最後に、今後のお仕事でやっていきたい方向性や夢があれば教えてください。
今、チャイルドマインダーという資格を取ろうとしているんですが、今後はもっと人とかかわるような仕事をしていければと思っていて。今はファンの方ともなかなかお会いする機会がないので。
たとえばなんですけど、世の中で私みたいに子どもを初めて産んだときに悩んだりつらい思いをした方たちに、寄り添ったり交流ができるような場所を設けていきたいなと常々思っています。まだぼんやりとした構想段階なんですけど。講演をしたり、ママ会もやってみたいですね。子育てや美容についてみんなで話すような。ママ友がほしいけどなかなかできない同世代のママさん同士が出会える場を作ったり、企画してみたいです。
――楽しみにしています! LINE BLOGでも企画していきたいですね! ありがとうございました。

優木まおみ 公式ブログ
ママとして、ひとりの女性として進化中の優木さんはキラキラ輝いていて、女性にとって大切なのはバランスなのかもしれないなぁと思いました!
会いたい “あのひと” を身近に ―― LINE BLOG。
変化することを恐れずに生きていきたいですね!
それでは、また。
(撮影/奥田耕平、取材・文/Mikity)