現代美術館で再生提案へ 戦後復興の象徴
戦後日本を代表する建築家、村野藤吾(1891〜1984年)が設計し、老朽化などで存廃問題が注目されている北九州市八幡東区の八幡市民会館について、現代美術館として整備する再生案が浮上してきた。地元経済界などでつくるまちづくり団体が計画案を作成。地元企業に改修費などの出資を要請する方向で調整中で、近く市に提案される。現代アートは近年、高い集客力に注目が集まっており、実現すれば大きな話題を呼びそうだ。【長谷川容子】
計画案は、約70の地元企業・団体などでつくるまちづくり団体「八幡夢みらい協議会」の下部組織「八幡市民会館リボーン委員会」が作成した。市は今年3月に八幡市民会館を閉館。建物の存廃について市は夢みらい協議会と協議するとしており、今月末が計画案の提出期限だったため委員会が実現可能な再生プランを探っていた。計画案は近く北橋健治市長に正式に提出され、これを受けて市は本格的な検討に入る。
計画案によると、美術館の名称は「北九州現代美術センター(仮称)」。建物の外観は可能な限り現状を維持し、内部をリノベーションして展示スペースを設ける。改修はスポンサー企業らが担い、改修費は約5億円を見込む。耐震補強やバリアフリー化の工事を経て、2019年春のオープンを予定している。運営は、市の補助金で運営される現代美術専門の研究機関「現代美術センター・CCA北九州」(理事長=梅本和秀副市長、同市若松区)に委託する。
八幡市民会館は1958年、当時の八幡市制40周年を記念して建てられた。地下1階地上4階の建物は茶褐色のタイル張りで、モダンと和風が融合した村野作品ならではの独特の外観は、戦後復興の象徴として市民に親しまれた。