「お試し」の広告にひかれて通販の商品を購入したら、知らぬ間に定期契約になっていた――。こうした相談が2015年度に約5600件、国民生活センターなどに寄せられた。14年度の3倍と急増し、過去最多となった。20日までに同センターが明らかにした。
小さく表示された「定期購入が条件」という項目を見落とし、解約を拒否されるケースが多いという。同センターは「購入前に表示をよく確認してほしい」としている。
同センターによると、同様の相談は11年度に520件だったが、その後右肩上がりに増えている。11年度以降の相談は累計で約1万1800件に上り、85%が女性。30代、40代が多いが、10代も約1400件あった。
「初回お試し価格500円」とするサプリメントをインターネットで購入した事例では、実際は5回以上購入しないと解約できず、2回目以降は4千円。条件は画面の下の方に小さく書かれているだけで、気づかなかった。解約を申し出たが業者側は拒絶。「単品扱いにもできるが、通常価格の5千円になる」と言われたという。
15年度の相談では、8割が健康食品、2割が化粧品に関するもので、ホームページなどに掲載される広告にひかれて購入した人が多かった。広告で「ダイエット効果あり」「有名女優も使用」などとするうたい文句や、「お試し価格」を大きな文字で強調して消費者をひき付け、定期購入の記載を目立たせない仕組みになっているという。
また、15年度はネットをよく使う消費者に直接アピールできるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に広告を出す手法が拡大。トラブル増加の一因とみられるという。
「事業者に電話がつながらない」「海外の事業者で言葉が通じない」という解約希望者からの相談も寄せられた。解約できないまま次々と商品が届き、解約可能期間を過ぎるケースもあった。